谷口悟朗&中田栄治スペシャルインタビュー
『コードギアス 双貌のオズ』連載1周年を記念して ホビージャパン2013年6月号に掲載された、『コードギアス 反逆のルルーシュ』シリーズの監督、谷口悟朗監督と、メカデザインとして深く『コードギアス』世界に関わっている中田栄治氏のインタビューを特別掲載!(全二回)
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■企画のなりたち
――『コードギアス 双貌のオズ』のストーリーがアニメ1期と2期の間の時間軸のストーリーであることや、企画の成り立ちについて連載1周年ということでお聞かせいただければと思います。
サンライズ・谷口廣次朗(以下サンライズ) :もともとこの企画は、谷口悟朗監督から「ROBOT魂」で企画をやってほしいっていうのが最初のオーダーでした。
実際TVシリーズの映像では拾えなかったメカの設定やネタだけはいっぱいあったので、
それをなんとか補完できないかなっていうので始まったのがいちばん最初でしたね。
で、ROBOT魂を主軸に据える性質上話の内容は、やっぱり(1期とR2の)真ん中にしたほうがやりやすいと思ったんです。それで谷口監督に僕はアドバイスをもらいに行き、「それはいいんじゃない?」みたいなお墨付きを頂いたと(笑)。
谷口悟朗(以下谷口):まぁ別に好き勝手言っただけだから(笑)。
基本的には、『コードギアス』にはやはり「ロボット」がある程度ずっと出てる形にはしておきたかったんですよ。世界観としてそういったラインがあったりしたほうがシリーズとして楽しめるし、遊べるっていうのがありますし。
例えば舞台だったりミュージカルだったり、もしくはパチスロだったりとか色々なラインでプロジェクトがいろいろ発展して動いているときに、ロボ成分だけがちょっと無いな、と思ったんですよ。それで、そのラインを補完するという意味でもサンライズでもロボやトイが好きなスタッフである谷口君たちに動いてくれると嬉しいなとは思っていたんですが、まさかそれが、「ホビージャパン」「ニュータイプエース」二誌を巻き込んだ形でまとめてくるとは思わなくて(笑)、あれはちょっと驚きました。
これは個人的な見解になっちゃうんですけど、ロボものというジャンルというのは、やっぱり正式にこれが成立してるのって日本のアニメーションぐらいだろうと思ってるんですよね、実は。海外では確かに特撮と言うかSFXを使ったりっていうことで、ロボの表現手法そのものはありますが、なかなかそれは根付かない。というか主流にならないじゃないですか。そうするとロボットアニメがあるというのが、日本のテレビアニメーションの流れのひとつなんだろうとは思うんですよ。で、せっかくロボを出したんだからもっとロボを出せる場を作っていきたいなと思っていながらも、なかなかロボものって企画書が通らないところがあって(笑)。じゃあいいよ、立体物からやっちゃえばいいじゃないのっていうのが『双貌のオズ』の原点でしょうか。
■二人の「オズ」と主役ナイトメア
――二つの雑誌で並行して連載するのにあたって男女の主人公を設定されたのはどのようないきさつがあったのでしょうか?
サンライズ:あれは企画の打ち合わせの時に、ホビージャパンさんは男の子の主人公が、角川さんが女の子の主人公がいいなってそれぞれに言われたんで(笑)。どうしようかなと思って谷口監督に相談したら、「じゃあ二人作ればいいんじゃない」ってあっさり言ってもらって、なるほどな、と(笑)。
谷口:だって二人作るしかないじゃない(笑)。ある時は男、ある時は女ってわけにはいかないし、まさかあしゅら男爵みたいなキャラを出すわけにもいかない。一人のキャラクターなんだけどギアス能力で性転換するっていうのもアイデアとしてあったけれども、それは誰も嬉しくもなんともない(笑)。
サンライズ:ひと通り話して、二人作るしかないなっていうところに落ち着いたんですよね。でも、ここから『コードギアス』の世界の広さだと思うんですけど、ちゃんと神聖ブリタニア帝国っていう国があったうえでそれ以外の国があったので、二人の主人公っていうのは作りやすかったんです。それでもう一方の主軸であるナイトメアに関しては谷口監督の決めたコンセプトがあって。
谷口:『コードギアス』では、まずブリタニア側のナイトメアは補給などの面に関しては心配はないし、基地や設備もしっかりしているので弾薬とかが使い放題なのに対して、テロリスト側は基本的には補給がなかったとしても戦えるように近接武器がメインになる、ということを最初に安田(朗)さん、中田さんにお願いしていました。
サンライズ:それを踏まえて中田さんと打ち合わせをし、出来上がってきたのが白炎とランスロット・グレイルなんですよ。特に七式統合兵装右腕部に関しては、白炎はテロリスト側だから、武器はケースインワンで済むようにしましょう、ってなったんですが、そこからが中田さんにスゴく考えてもらってデザインしてもらいました。
本当に無茶ぶりでしたね。でも最初の僕らの想定では発売済み商品のリデコのつもりだったんですが、バンダイさんがランスロットと紅蓮弐式はROBOT魂で作り直してそれをベースにしてくれるっていうので、完全新規になってラッキーという感じでした(笑)。
中田栄治(以下中田):デザインとして赤ランスロットも出せるようになりましたからね。当時からあの赤ランスロットは商品化してほしかったんですよ。チャンス! と思いましたからね、この企画(笑)。グレイルのコクピットや肩なんかも一部わざと赤ランスロットと形を似せているんですよ。(※)
サンライズ:ランスロットとグレイルの型を使えば赤ランスロットが商品化できるかな、という企みもあります(笑)。ニュータイプエースでも登場しましたし。
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(※)このインタビュー掲載から4ヵ月、赤ランスロットこと「ランスロット・トライアル」が商品化。魂ウェブ商店にて受注中!
■企画のなりたち
――『コードギアス 双貌のオズ』のストーリーがアニメ1期と2期の間の時間軸のストーリーであることや、企画の成り立ちについて連載1周年ということでお聞かせいただければと思います。
サンライズ・谷口廣次朗(以下サンライズ) :もともとこの企画は、谷口悟朗監督から「ROBOT魂」で企画をやってほしいっていうのが最初のオーダーでした。
実際TVシリーズの映像では拾えなかったメカの設定やネタだけはいっぱいあったので、
それをなんとか補完できないかなっていうので始まったのがいちばん最初でしたね。
で、ROBOT魂を主軸に据える性質上話の内容は、やっぱり(1期とR2の)真ん中にしたほうがやりやすいと思ったんです。それで谷口監督に僕はアドバイスをもらいに行き、「それはいいんじゃない?」みたいなお墨付きを頂いたと(笑)。
谷口悟朗(以下谷口):まぁ別に好き勝手言っただけだから(笑)。
基本的には、『コードギアス』にはやはり「ロボット」がある程度ずっと出てる形にはしておきたかったんですよ。世界観としてそういったラインがあったりしたほうがシリーズとして楽しめるし、遊べるっていうのがありますし。
例えば舞台だったりミュージカルだったり、もしくはパチスロだったりとか色々なラインでプロジェクトがいろいろ発展して動いているときに、ロボ成分だけがちょっと無いな、と思ったんですよ。それで、そのラインを補完するという意味でもサンライズでもロボやトイが好きなスタッフである谷口君たちに動いてくれると嬉しいなとは思っていたんですが、まさかそれが、「ホビージャパン」「ニュータイプエース」二誌を巻き込んだ形でまとめてくるとは思わなくて(笑)、あれはちょっと驚きました。
これは個人的な見解になっちゃうんですけど、ロボものというジャンルというのは、やっぱり正式にこれが成立してるのって日本のアニメーションぐらいだろうと思ってるんですよね、実は。海外では確かに特撮と言うかSFXを使ったりっていうことで、ロボの表現手法そのものはありますが、なかなかそれは根付かない。というか主流にならないじゃないですか。そうするとロボットアニメがあるというのが、日本のテレビアニメーションの流れのひとつなんだろうとは思うんですよ。で、せっかくロボを出したんだからもっとロボを出せる場を作っていきたいなと思っていながらも、なかなかロボものって企画書が通らないところがあって(笑)。じゃあいいよ、立体物からやっちゃえばいいじゃないのっていうのが『双貌のオズ』の原点でしょうか。
■二人の「オズ」と主役ナイトメア
――二つの雑誌で並行して連載するのにあたって男女の主人公を設定されたのはどのようないきさつがあったのでしょうか?
サンライズ:あれは企画の打ち合わせの時に、ホビージャパンさんは男の子の主人公が、角川さんが女の子の主人公がいいなってそれぞれに言われたんで(笑)。どうしようかなと思って谷口監督に相談したら、「じゃあ二人作ればいいんじゃない」ってあっさり言ってもらって、なるほどな、と(笑)。
谷口:だって二人作るしかないじゃない(笑)。ある時は男、ある時は女ってわけにはいかないし、まさかあしゅら男爵みたいなキャラを出すわけにもいかない。一人のキャラクターなんだけどギアス能力で性転換するっていうのもアイデアとしてあったけれども、それは誰も嬉しくもなんともない(笑)。
サンライズ:ひと通り話して、二人作るしかないなっていうところに落ち着いたんですよね。でも、ここから『コードギアス』の世界の広さだと思うんですけど、ちゃんと神聖ブリタニア帝国っていう国があったうえでそれ以外の国があったので、二人の主人公っていうのは作りやすかったんです。それでもう一方の主軸であるナイトメアに関しては谷口監督の決めたコンセプトがあって。
谷口:『コードギアス』では、まずブリタニア側のナイトメアは補給などの面に関しては心配はないし、基地や設備もしっかりしているので弾薬とかが使い放題なのに対して、テロリスト側は基本的には補給がなかったとしても戦えるように近接武器がメインになる、ということを最初に安田(朗)さん、中田さんにお願いしていました。
サンライズ:それを踏まえて中田さんと打ち合わせをし、出来上がってきたのが白炎とランスロット・グレイルなんですよ。特に七式統合兵装右腕部に関しては、白炎はテロリスト側だから、武器はケースインワンで済むようにしましょう、ってなったんですが、そこからが中田さんにスゴく考えてもらってデザインしてもらいました。
本当に無茶ぶりでしたね。でも最初の僕らの想定では発売済み商品のリデコのつもりだったんですが、バンダイさんがランスロットと紅蓮弐式はROBOT魂で作り直してそれをベースにしてくれるっていうので、完全新規になってラッキーという感じでした(笑)。
中田栄治(以下中田):デザインとして赤ランスロットも出せるようになりましたからね。当時からあの赤ランスロットは商品化してほしかったんですよ。チャンス! と思いましたからね、この企画(笑)。グレイルのコクピットや肩なんかも一部わざと赤ランスロットと形を似せているんですよ。(※)
サンライズ:ランスロットとグレイルの型を使えば赤ランスロットが商品化できるかな、という企みもあります(笑)。ニュータイプエースでも登場しましたし。
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(※)このインタビュー掲載から4ヵ月、赤ランスロットこと「ランスロット・トライアル」が商品化。魂ウェブ商店にて受注中!
■『双貌のオズ』の今後について
――今後の『双貌のオズ』に期待されていることはありますか?
中田:自分でいろいろデザインをしておいて言うのもなんですけど、もっといろんなナイトメアが見たいです。ちょっとファンみたいになってますね(笑)。いや、正直いろんなものが見たいんですよね。自分で考えるのも含めて。実際『双貌のオズ』の企画が始まる時に、ちょっとこれは無理じゃん? っていうのも含めて、いろいろアイデア出たじゃないですか。それこそ片腕まるまるブレイズ・ルミナスで形が変化するとか。そういうのもどこかでやりたいなとはちょっと思ってるんですよ。
サンライズ:それは(作品が舞台とする時間軸としては)技術がいきすぎだろうって言って、その時はやめたんですよね。
谷口:あと、下手すると何でもありになっちゃうので、それはかえって面白くないことになってしまいますから。
中田:でも、そこまでいきすぎなくても、何かそれに近いアイデアを盛り込めたりとか、それこそグレイルが強化されたりとか今後は持っていきようがあるのかなと思います。
サンライズ:ストーリーの時間軸が『R2』の時代に進めばありなのでしょうね。ちなみに商品化にあたって、どんな既存機体のバリエーション機が見たいですか?
谷口:時期的なものになるかもしれないんだけど、実は個人的にはガウェインからガレスとは別系統に発展した機体があっていいと思うんですよ。要するにガウェインを発展させるところで、方向性としては二つに分かれたと思うんですよね。ガレスみたいに量産させるために余分なものを全部落としちゃおうっていう形の発想と、よりワンオフのところを特化させるっていう考えと。だからアグラヴェインまではあっていいんだけど、その先がたぶん違う方向性になるんでしょううね。
――ドルイドシステムを積んだルルーシュの機体という意味では蜃気楼もありますよね?
谷口:蜃気楼はラクシャータ側の技術で作ってるっていう形になりますから、ブリタニア側からアプローチすると蜃気楼とはたぶん違う答えが出た可能性があると思うんですよね。
中田:バリエーションじゃないけれど、ナイトオブラウンズの未登場の機体。あと、ワンオフ機の前に彼らがおそらく使ったであろう機体が見たいですね。サザーランドないしグロースターのバリエーションなんでしょうけど。例えばビスマルクが乗っていた機体とかがどういうカスタムをしてたのかっていうのが気になりますね。ジノなんかは、当然空は飛ばないと思うんですが、飛ばないまでも、高速移動して敵を倒せるように両肩に巨大なブースターがついてて、それで鎌で回転斬りしたりとか。
谷口:例えば大剣を使うビスマルクだったら、脚部に関してはより強く、ぶっとくなっててもいいかもしれないんですよね。だってバランスが悪いから。剣を支えきれなくなる可能性があるんで、当然持つ側の腕もちょっと変わっているんだろうなとか。
中田:とか、それぞれの特性、だからこういうワンオフの機体があてがわれたんだっていう、そういうもののバリエーションができると面白いですね。
サンライズ:まだ見ぬラウンズ機体登場の可能性も、ストーリーの展開によってはありえますね。また実際、白炎のパワーアップに関しては、中田さんと二段階目まで話しました。武器とさらにもう一つ先のやつまで。
――まだまだ色々と出来そうですね。
中田あとは『双貌のオズ』を映像作品にしたいですよね。企画をやり始めた時から、これPVでもなんでもいいから作らないの? ってずっと言ってますね。やろうよ、やるんだったら俺やるからって(笑)
谷口:私の中では『双貌のオズ』は、まず映像化してなんぼだろうというプロジェクトだと思っているんですよ。ロボットって動いてこそだというところがあるので。
――それはぜひとも実現したいですね! 本日は皆様ありがとうございました。
――今後の『双貌のオズ』に期待されていることはありますか?
中田:自分でいろいろデザインをしておいて言うのもなんですけど、もっといろんなナイトメアが見たいです。ちょっとファンみたいになってますね(笑)。いや、正直いろんなものが見たいんですよね。自分で考えるのも含めて。実際『双貌のオズ』の企画が始まる時に、ちょっとこれは無理じゃん? っていうのも含めて、いろいろアイデア出たじゃないですか。それこそ片腕まるまるブレイズ・ルミナスで形が変化するとか。そういうのもどこかでやりたいなとはちょっと思ってるんですよ。
サンライズ:それは(作品が舞台とする時間軸としては)技術がいきすぎだろうって言って、その時はやめたんですよね。
谷口:あと、下手すると何でもありになっちゃうので、それはかえって面白くないことになってしまいますから。
中田:でも、そこまでいきすぎなくても、何かそれに近いアイデアを盛り込めたりとか、それこそグレイルが強化されたりとか今後は持っていきようがあるのかなと思います。
サンライズ:ストーリーの時間軸が『R2』の時代に進めばありなのでしょうね。ちなみに商品化にあたって、どんな既存機体のバリエーション機が見たいですか?
谷口:時期的なものになるかもしれないんだけど、実は個人的にはガウェインからガレスとは別系統に発展した機体があっていいと思うんですよ。要するにガウェインを発展させるところで、方向性としては二つに分かれたと思うんですよね。ガレスみたいに量産させるために余分なものを全部落としちゃおうっていう形の発想と、よりワンオフのところを特化させるっていう考えと。だからアグラヴェインまではあっていいんだけど、その先がたぶん違う方向性になるんでしょううね。
――ドルイドシステムを積んだルルーシュの機体という意味では蜃気楼もありますよね?
谷口:蜃気楼はラクシャータ側の技術で作ってるっていう形になりますから、ブリタニア側からアプローチすると蜃気楼とはたぶん違う答えが出た可能性があると思うんですよね。
中田:バリエーションじゃないけれど、ナイトオブラウンズの未登場の機体。あと、ワンオフ機の前に彼らがおそらく使ったであろう機体が見たいですね。サザーランドないしグロースターのバリエーションなんでしょうけど。例えばビスマルクが乗っていた機体とかがどういうカスタムをしてたのかっていうのが気になりますね。ジノなんかは、当然空は飛ばないと思うんですが、飛ばないまでも、高速移動して敵を倒せるように両肩に巨大なブースターがついてて、それで鎌で回転斬りしたりとか。
谷口:例えば大剣を使うビスマルクだったら、脚部に関してはより強く、ぶっとくなっててもいいかもしれないんですよね。だってバランスが悪いから。剣を支えきれなくなる可能性があるんで、当然持つ側の腕もちょっと変わっているんだろうなとか。
中田:とか、それぞれの特性、だからこういうワンオフの機体があてがわれたんだっていう、そういうもののバリエーションができると面白いですね。
サンライズ:まだ見ぬラウンズ機体登場の可能性も、ストーリーの展開によってはありえますね。また実際、白炎のパワーアップに関しては、中田さんと二段階目まで話しました。武器とさらにもう一つ先のやつまで。
――まだまだ色々と出来そうですね。
中田あとは『双貌のオズ』を映像作品にしたいですよね。企画をやり始めた時から、これPVでもなんでもいいから作らないの? ってずっと言ってますね。やろうよ、やるんだったら俺やるからって(笑)
谷口:私の中では『双貌のオズ』は、まず映像化してなんぼだろうというプロジェクトだと思っているんですよ。ロボットって動いてこそだというところがあるので。
――それはぜひとも実現したいですね! 本日は皆様ありがとうございました。