ゲームマーケット2016神戸は久しぶりの関西出展であったわけですが、今回当社出展ブースの目玉であったのは、間違いなく
大いなる文明の曙
でした。
重量11kg、プレイ人数は5人から18人、プレイ時間は公称360分から720分……まぁ、最大人数できちんと終わらせてもほんの18時間で終わるでしょう。
まぁ、近年のユーロ系ボードゲームしか知らない人はこの時間にビビること間違いないかもしれませんが、実際は準備、ルール説明にもそれほど時間も取らず(準備30分、説明30分)、実プレイも人数がさほど多くなければサクサク進む感じです。
なお、シミュレーションゲームの時代にはこんな化け物がごろごろ出てたのよ。
因みに。プレイ時間は“平均時間”なので注意な!
※一番下のにオマケへのリンクがあるので見落とさないようにね。
中味はこんな感じ。
コンポーネントは膨大ですが、旧版の最大プレイ人数7人なら、使うものは約半分……意外と圧縮できますよ?
さて。
ゲームのシステムは単純で……
プレイヤーは自分の文明を選んだら人口トークン55個と都市9個、船4個を受け取ります。
因みに、文明ごとに全部イラストが違うのだ。
これが最期の氷河期あけのころ。今から12,000年前くらい前のあなたの民族の状況。
ここから各自、人口トークンが1個なら1個、2個以上なら2個増えていく。
移動するなら1マス移動。
その土地の上限人口を超えていたらそこまで人口が減る。
……という感じで拡散していきます。
しかし、人類は定住し、集まって暮らすことを覚え、そこは都市になりました。
ゲーム的には、都市を設けるのに適したエリアなら人口トークン6個、そうでなければ12個を移動させ、集めたらそこに都市を建設できます。
都市があるエリアは人口上限が0、つまり都市しかいられない状態になり、さらに都市生活を支える人口が1都市辺り2トークンなければなりません。
あと、他の民族と同じ地域にいた場合、紛争が起きたりするかもしれません。
ただし、地域の奪い合いに人口を消費していると、文明の発展や勝利に必要な都市の建設が遅くなるのでクリティカルな場合以外は避けたほうが無難。
交戦的な民族は後述の交易もしてもらえなくなる?
なお、沿岸なら船を作ってより速く遠くに移動することも可能です。
都市を造り始めた人類は、大規模な交易を始めます。
都市1つにつき、交易品デッキから交易品カードを1枚獲得できます。
1、2、3、4、5レベルを各1枚とります。
こんな感じで獲得した。
旧版と異なるのは、プレイエリアが広大になっている点。
プレイ人数によってはエリアを大きく東と西に分け、それぞれ産物が異なることになります(かぶっているものも有るので、東西間の交易も不要というわけではなく、むしろ大事)。
獲得した交易品カードは時間制限ありの交易フェイズで、一斉に他プレイヤー株式市場かはたまた『ピット』かという状態で、3枚以上という条件で交換できますが、そのうち2枚は真実を伝えなくてはなりません。つまり……のこりは教える必要も無ければ、本当のことを言う必要もないということ。
いうのも、人口が拡大していき都市が多くなると、疫病や反乱や天変地異などの問題が大きくなってくるのです。
これらは交易カードの中に紛れてあるうえに、その効果は壊滅的なものとなります。
この壊滅的な災害は、交易できるものとできないものが有るので注意。
大味に感じるかもしれませんが、これのおかげでダイナミックな展開になりますし、シャッフルのルールや交易の仕方で、自分で引かなければ避けれないことも無いのだ。
このように獲得した交易品は新たな文明発展を獲得するために使用できます。
その価値は同じ交易品の枚数を集めれば集めるほど高まります([交易品のレベル]×[枚数の二乗])。
例えば、レベル3の交易品を5枚集めると、5×5×3で75点分の文明発展が買えるのです
文明発展はそれぞれ特殊な能力や、次の文明発展の割引能力などがあります。
なお、各民族の能力差は無いのですが、マップの地政学的な状況から、必要とされるであろう文明発展はおのずと決まる点は「親切な」ユーロスタイルになれた人には注意したほうがいいかもしれません。でも自分で「答え」を探るのも楽しいぜ?
旧版と違い、条件達成者が勝つのではなく、条件達成者が出た時点で点数勝負。
文明の発展度はAST(時代継承表)で管理されるのですが、石器時代、初期青銅器時代、中期青銅器時代、後期青銅器時代、初期鉄器時代のそれぞれの時代区分で発展度が進むためには、都市の数や獲得した文明発展カードなどの条件があります。
旧版ではこのAST上で、勝利条件である『いずれかのプレイヤーが新鉄器時代に達したらそのプレイヤーが勝ち』となりますが、『大いなる文明の曙』では新鉄器時代にだれかが達したらゲーム終了で、主に獲得した文明発展とAST進行度で点数が決まるルールのため、途中でゲームを終わらせてもそれまでに獲得した点数で勝敗を決めることが可能です。
前述もしましたが、ゲーム的には陣取りの要素は薄く、いかに効率よく交易カードを獲得して発展を遂げていくのかが重要で、土地争いはクリティカルではない限り、都市の建設・維持、そして交易の方が勝利に近いことになります。
最初の5ラウンドくらいまでおどろくほどサクサク進みますが(お互い文明の接触が無いので)、だんだん生活地域が密になっていくにつれ、移動順で待ち時間・必要時間が取られます。まぁ、接触のない文明同士が同時進行できる場合も多々あるのですが、文明十字路的な地域の文明待ちになるとちょっとかかるね。
まぁ、オリジナルと同じ7人まで、ということであれば待ち時間は気にならないレベルでしょう。ただし2ケタ以上とプレイ人数が増えるとがぜん後半は時間がとられることになりますが……人数いるのでコミュ障でない限りいくらでもほかのプレイヤーと時間が潰せますぞ?
なので、キニシナイ。
ルールの基本的な部分のシンプルさは、こちらに用意したサマリーを見ていただければ納得いくと思われます。
こちらはこっそり付けていた元ゲームのカード訂正の割り付けミス分のデータもありますので購入した方は是非ご確認を。
このように、ルール自体はシンプルですが、いまだにファンの多い『文明の曙』の根幹は継承しながら、プレイ人数面や文明発展の種類などは増加させつつ、プレイ自体はしやすいような改良が施されており、決して「プレイが不可能ではない」と言う意味での「プレイアブル(“playable”……良く考えると凄い単語だな)」以上にプレイしやすくなっています。
旧版からのファンはもちろん、文明発展モノやディプロマシーなどの地政学的な戦略ゲームが好きな人、ゲームマーケットの時に「私たちの分はどうしようか」と悩んだあげくにやめちゃった人たち、「リビングで遊べるのは18人まで」というデザイナーの発言に賛同できる人、ちょっと大がかりなマルチプレイヤーズゲームが欲しい人にも、押入れの肥やしになるどころか稼働もしやすいモンスターゲームとして強くオススメいたします。
……勧められても売っていない?
勧めているってことは予定があるということですよ!
続報待ってね。
追記:販売開始した。
大いなる文明の曙
プレイ人数:5-18人
対象年齢:12歳以上
プレイ時間:360-720分(以上)
製作:999 Games/Pegasus Spiele
デザイン:フランシス・トレシャトン/ジョン・ロドリゲス、フロ・デ・ハーン
価格:36,000円+税(直販・イベントのみ販売)
●サマリー