ビルを壊すぞ、地響き立てて『キング・オブ・ニューヨーク』


エッセンを前にして続々と迫りくる新製品……

リチャード・ガーフィールドの
キング・オブ・ニューヨーク
登場

です。
言わずと知れた人気のダイスゲーム『キング・オブ・トーキョー』のスタンドアローンの続編ですが、根本部分はそのままに、ちょっと変わった感じになっております……

というわけで、『キング・オブ・トーキョー』はすでに知っているという前提で、相違点などをぼちぼち紹介します。


キング・オブ・トーキョーを知らない、という人は……あたり

【吠える怪獣、大怪獣】
今回プレイヤーはアメリカ東海岸の大都市、ニューヨークを襲うモンスターとなります。
そして、他のモンスターをすべて倒すか、勝利点を20点獲得するのが目的。

ここまでは、『トーキョー』と同じ。
しかし、トーキョーよりもニューヨークは広いのだ!

ニューヨークはぜんぶで5つの地区に分かれており、『トーキョー』のトーキョーとトーキョー・ベイにあたるのがマンハッタンで、ほかの地区はトーキョーの外(千葉、埼玉、神奈川……みたいな感じ?)にあたります。

ステタンアイランド、ブルックリン、クィーン、ブロンクスの各地域には、建物タイル3枚の山が3山置かれます。

そしてマンハッタンはロウアー、ミッドタウン、アッパーの3地区に分かれていて、それぞれの地区に同じく建物タイル3枚の山を1つずつ置きます。


これでニューヨーク完成。

あと、今回ルールブックにモンスター名が掲載されていませんので、ちょっと紹介。
巨大サイボーグ昆虫?『マンティス』

よみがえったT-REX?『シェリフ』

謎のロボット『ロブ』

(おそらく)ロシアからの使者『コング』……キングのライバル?

ヒーローっぽい『ドラコニス』

海からの使者『キャプテン・フィッシュ』

【グワッと開いた口から炎】
そして、違う点ですぐ気が付くのがダイスの目。

エネルギーとか攻撃とか回復などの見慣れた目に交じって……

破壊

痛っ!

セレブ

……セレブ?!

という新しい目が。
『トーキョー』の1~3の「トーキョー破壊の目」は無いのです……
つか、「セレブ」があるのはどうも今回の怪獣、カードを見るに、ニューヨークで一旗揚げに来たっぽいのです……

ゲームの手順は今までとほぼ同じですが、新たに「移動」というステップが増えています。
また、各手順も解決についてかなり明確化されました。
※こちらは『トーキョー』に概念を移植すると、カードの読み方がよくわかるようになると思われます。この手のルールテキストがいろいろあって相互作用する場合のルール判定で重要なのは、結果を知っているかではなく、テキストのキーワードとルールから結果を導き出せるプロセスの理解!

解決のステップは、
ターン開始時の効果→ダイスをふる→ダイスの解決→移動→カードの購入→ターン終了
となっております。

この「移動」ステップの時に、他のモンスターがマンハッタンにいない場合、マンハッタン(のロウアー地区)に移動しなければなりません。

トーキョーなら「攻撃」しなければならなかったところだ!
つまり、初手からマンハッタン入城状態。

そしてマンハッタンにいる限り……

毎回「移動」で北上していかなければなりません……!

マンハッタンにモンスターがいる場合、今いる地区にとどまるか、モンスターが1体以下しかいないほかの地区に移動できます(マンハッタン除く)。

「ブルックリンはいっぱいなんで、別の地区に行ってくれ」

あと、マンハッタンから出るのも特殊な移動だし、マンハッタンが空いた結果、そこに入るのはこの移動ステップに解決します。

マンハッタンのルールは、トーキョーと同じで、そこにいると回復できないかわりに、最初に侵入したら勝利点を1得るし、ターン開始時にマンハッタンにいる場合、ロウアーで勝利点1+エネルギー1、ミッドタウンで勝利点2+エネルギー1、アッパーで勝利点2+エネルギー2を得ます。
トーキョーよりもエネルギーがお得!

【辺り一面焼け野原】
さて、攻撃や回復やエネルギーの目は、『トーキョー』と同じルールですので、新しい目の説明をすると……

・破壊
この目で、自分のいる地区の建物タイルや軍隊タイルを破壊します。
破壊するには、建物の耐久力と同じ数だけ目を出す必要があり、破壊した場合は体力を回復したり、勝利点を得たり、エネルギーを獲得できます。

ただし、建物の場合は裏返しにして、軍隊コマになってしまいます……


「破壊」で2点獲得!


裏返したら空軍登場!
軍隊を倒すのも同様の方法です……が、奴らは攻撃もしてきます!

・痛っ!
この目は、人類が、アメリカがキミに報復するという目。USA! USA!

1個なら、自分のいる地区の軍隊タイル1個につき、あなたに1ダメージ。
2個なら、自分のいる地区の軍隊タイル1個につき、そこにいるすべてのモンスター(キミもモンスターだよ)に1ダメージ。
3個以上なら、ニューヨーク全地区にいる、すべての軍隊タイルが攻撃開始! それぞれの地区にいるモンスターは、自分のいる地区にある軍隊タイル1つにつき1ダメージを受けるのだ!
あと、軍隊の出方によっては自分も喰らいつつ他のプレイヤーにダメージを出すこともできる……!
……これは強い! 場合によってはわざと狙うのもありだ!

しかし、同時に、この目を出したモンスターはニューヨークの守護者となり、命の宿った「自由の女神」があなたの味方となるのだ(具体的には、3勝利点)!

これは他の人が「痛っ!」3個出したら奪われちゃいます。

・セレブ
だって、スターがいっぱいのニューヨークだから……
3個以上セレブの目を出すと……ニューヨークはあなたのうわさでもちきりに!
「自由の女神」同様、「スーパースター」となるのです(カードを受け取る)!


これまた勝利点にいろいろとボーナスが付くカードで、スターの目で奪いあいになります。

このように、ボーナスカードを奪い合う目の種類が2つと、使い方によっては他のプレイヤーにもダメージを与えて勝利に近付ける(かもしれない)目により、アグレッシブな感じになっております。

【街が危ない、死が迫る】
もちろん、モンスターの能力を強化していくカードは新規のもの。
現在いる地区によってはお得になるものや、新ルールに対応して軍隊をどうにかするとなにかなるもの、建物を壊すといいことがあったりするもの、などなど64枚。

いくつか見せびらかすとしましょう。


『トーキョー』と同じものですな。


新要素に絡むものも結構ある。


その地区にいると、安く購入できたりするカードも。
ニューヨークの有名観光スポットが中心。


……ちょっとやりすぎた。


駄洒落のものも。


OVER 9000!!!!!


実在人物ネタも!


……友達は魔法じゃねーの!

ルールについては『移動』のルールがかなり効果的で(特に人数が多い場合)、『トーキョー』のように、トーキョーに入らず回復しつつ破壊の限りを尽くす(数字の目で点数を稼ぐ)ようにしようにも、建物や軍隊は数に限りがあったりダメージを出してくるので、それだけしているわけにもいかないし、積極的に動いていく必要がある感じになっています。

また、ルール面ではフェイズ進行やタイミングの点で明確化が計られているので、ちゃんと「キーワード」に気を付けて読み込めば、それほど疑問は出ない感じになっています(先にも述べていますが、逆に『トーキョー』のルールの理解にも役立つ感じ)。
このような感じで、ダイスの目の選択の悩みどころが『トーキョー』はちょっと違う感じになっており、基本的な楽しさはそのままに、ちょっとの変更で別物へとなっております。何より、全員がゲームボード上に自分のモンスターを置くので、かなり壮観!

この「ゲームやっています」感を見よ!
『キング・オブ・トーキョー』はかなりやりこんでるぜ、というファンには是非新たな舞台に挑戦してほしいところです。
もちろん、『キング・オブ・トーキョー』未経験の人でも、手軽で説明も短くてすむゲームを探していたり、ウサギを追いかけていたりマグロ喰ってる場合じゃねェと言う人には強くお勧めいたします。

キング・オブ・ニューヨーク
プレイ人数:3-6人
対象年齢:10歳以上
プレイ時間:40分
製作:Iello
デザイン:リチャード・ガーフィールド
価格:5,200円+税

追記1:キング・オブ・トーキョーとパワーアップも、[1]と[2]の目をどの目として読むか事前に決めて、ちょっと修正すればモンスターを使用可能かな?

追記2:箱を比較すると……

大きさは同じですが……


これまたぴったり収納だ!