今回のゲームはDr.ラッキーを殺せ(Kill Doctor Lucky)です。
Cheapass Gameと言うシリーズに含まれるゲームです。このシリーズはまさに名前の通り「安い」「バカバカしい」というのが売りです。
実際にジョークやパロディが多分に含まれており、純粋にゲームとしてみた場合、非常に優れたシリーズであると言うには難があります。
実際、私も始めて見たときには失笑がこぼれてしまいました。
しかし、光るセンスや、絶妙なバランス、熱い駆け引きが存在しているのもまた事実、中でもこの「Dr.ラッキーを殺せ」はオリジナルは1997年に発表され、その年のオリジンアワード、ベスト・アブストラクト・ボードゲーム賞を受賞、現在私の手元にあるのは2002年に発表された第8刷というロングヒット作であり、シリーズの看板タイトルだと言えます。
Dr.ラッキーは激しく人に恨みを持たれている人物ですが、その名は伊達ではなく、彼はこれまでの人生の災厄や危害をことごとくその幸運で回避してきました。
プレイヤーはDr.ラッキーに深く恨みを抱く人物であり、彼を暗殺しようとチャンスをうかがっています。彼を殺すことは困難ですが、あきらめるわけにはいけません。
そしてある日の夜、彼の館を訪問するチャンスが訪れました。しかし、その日館を訪れた人物は皆Dr.を恨んでおり、彼を暗殺しようとチャンスを狙っていたのです。
このあたりの世界観がもうかなり強引で気持ちいいですね。
ゲームはDr.ラッキーの館を舞台に行なわれる、奇妙な出し抜き合戦です。
Dr.ラッキーは館の中を特定のルートで歩き回っています。プレイヤーはそれを待ち構えてDr.を殺せば勝利となります。
Dr.ラッキーと同じ部屋に入ったときに殺害を試みれば良いのですが、仮にも殺人を犯すわけですから他人に目撃されるわけにはいかず、他のプレイヤーの視界内にいると殺害の試みを行なうことが出来ません。
かといって離れすぎると、他プレイヤーにも暗殺のチャンスが巡ってきてしまいます。上手く自分だけが他プレイヤーから抜け出すことがポイントでしょう。
これがDr.ラッキーの館、裏面には上級者館もついていて2度美味しい。
ゲームには96枚のカードが付属しており、移動カード、武器カード、失敗カードの3種類に大別されます。
移動カードは自分やDr.を大きく動かしたり、特定の部屋に送り込んだり出来、上手く使えば相手の企みを妨害し自分に大きなチャンスをもたらすことができます。
武器カードはDr.を殺害する際に使用する凶器で、これを使用すれば殺害の成功率を上げることができます。ロープやチェーンソーといった定番?のものから帽子やすごいジョークなどと言ったものまであります。当然、モノによって成功率が異なるのですが、特定の部屋で使用するとより高い効果が得られるものもいくつか存在します。
失敗カードは1~3までの数字が書いてあり、それを使用することにより相手の殺害行為を失敗させることができます。相手が強力な武器カードを使用している場合には多くの失敗カードが必要となるでしょう。1人の殺害行為に対し全員が失敗カードを使うチャンスがあるので、上手くパスをして他プレイヤーに沢山カードを使ってもらいましょう。
基本的にはDr.の移動とプレイヤーの視線を考えて行動するのですが、それをカード1枚で台無しにされたり、上家の人がパスを多用して失敗カードを泣く泣く使わされるのを乗り越えてDr.を殺ったときのカタルシスが心地よいゲームです。もちろん上記のようなシチュエーションが大好きな方にもオススメです。
※駒は付属しておりません
カード96枚
ゲームボード 入り
プレイ人数:3-7人
プレイ時間:約60分
私的ゲーム評価
ルール難易度:やや易(基本的な部分は簡単、移動のルールが一部特殊)
戦略性:優(ターン進行の計算と手札の読みがポイント)
運:普通(山札からカードを引いていくタイプなのでそれなりに運はあります)
コンポーネント:安!(ぺらぺらでざらざらな紙、ここまでくると逆に製作者側のこだわりを感じます)
言語依存度:やや易(ボード、カードの一部に英語、ほとんどが単語1語なのでプレイ影響は少ない)
背景世界再現度:良(墨一色刷りのボードが雰囲気にマッチしています)