強大な力を持つ魔法使いが、冒険者パーティーを機械仕掛けの迷宮に閉じ込める。脱出しようともがく様を楽しむために・・・。そして冒険者たちの行く手を阻む敵は、もう1組の冒険者達なのだ!
こんな熱い設定をひっさげて日本に上陸した『ダンジョンツイスター』!
二人用の対戦ゲームで、お互い最大8人のキャラクターを操作して迷宮の脱出を目的とする。
このゲーム、ダイス不要、カードの引き不要、すなわち運の要素は限りなくゼロ!
ロールプレイングゲームのような外見に似合わぬ、ガチンコ勝負の対戦ゲームなのだ。
(ハンディキャップルールもあるので、技量差があっても楽しめます。)
コンポーネントは外箱の中に、オールカラーのボード、マニュアル、紙製コマが入っていてどれも美しい出来栄え。パッケージと紙製フィギュアのイラストは『ダンジョンズ&ドラゴンズ』でもお馴染みのWayne Reynoldsで、アメリカンファンタジーファンにはすんなり世界に入り込むことができるだろう。
まず8人のキャラクターの中から4人を開始メンバーとして選択する。残りの4人はすでに迷宮の奥に潜り込んでいるので後で出会うまでは操作できない。気になる面子は以下のとおり。冒険者というよりモンスターも混ざってる・・・。
・ウォリアー 高い攻撃力と移動力。開かない扉はぶち壊す!
・クレリック 負傷したキャラクターを回復する手段はこいつだけ。前線に出すのはやめおこう。
・ウォールウォーカー かわいい彼女は壁を通り抜ける不思議な人材。使うとわかるけどめちゃ便利!悲しいかな、その能力ゆえにパシリとしてよく使われる。
・ウィザード 非力だが、迷宮で魔法のアイテムを手にすると殺人マシーンと化す!
「ウォールウォーカー、わしのワンドを取って来るんじゃ、はやくせい!」・
トロール 驚異的な攻撃力と再生能力。足が遅いので脱出は困難。意外と世話が焼けるかわいい奴!でも、火の玉だけは勘弁な。
・ゴブリン 何の能力もなく、力も弱い。ただのお荷物だが、無事脱出できればポイント2倍ゲット!
・メカノーク 機械技師。今回閉じ込められているのは機械の迷宮。となれば機械操作は頼れるこいつにおまかせだ!
・シーフ 扉の鍵開けから、落とし穴の発見まで大活躍。移動力も高く、かなりの生存率を誇るサバイバー姉貴だ。
さて、お互いのパーティーはボードの端同士からスタートする。そして迷宮を脱出するゴールこそ、相手のスタートラインなのだ。激突必至!相手は殺る気になってるぞ!
ゲームの勝利はポイントで決まる。脱出すれば一人1点、相手を倒しても一人1点。合計5点獲得時点でゲームは終了となる。
迷宮は鍵のかかった扉あり、通行不能な落とし穴ありと複雑なつくりになっている。全部で8つの部屋で構成されており、2つずつがペアの部屋(部屋に書いてある数字が同じ)に
設定されている。各部屋には”回転装置”が設置されており、この装置を動かすことで今いる部屋、またはペアの部屋を1/4ずつ回転させることができるのだ。この部屋の回転がこのゲームの鍵となる。通れない通路に仲間を通す、取れなかったアイテムを取る、相手の移動を妨害する、足が遅い仲間を先に進める、などなど頭脳もフル回転させて活用しなければならない。
迷宮の中にはさまざまなアイテムが転がっている。これらを活用するのも重要だ。ロープを拾えば、落とし穴を越えることができる。ワンドを魔法使いに持たせれば、ファイアーボールでどんな敵も一撃で倒せる。宝物を持って迷宮を脱出できれば勝利点に1点追加される・・・、などなど。
戦闘方法はいっせーのせ、で6~0の数字が記されたカードを出して、キャラクターの戦闘力に足した合計値で勝負する。カードの手持ちはお互い平等なので、「運が悪かった」ではすまされないぞ。
さらに『ダンジョンツイスター』は拡張セットも用意されている。発売中の『パラディンズ&ドラゴンズ』と組み合わせれば、新しいキャラクター、部屋、アイテムなど新要素が増えていく。これは長く遊べそうだ。
シビアな頭脳対戦ゲームではあるけれど、ゲームの要素や行動は非常にRPG的なギミックが満載で、ファンタジー世界の雰囲気に浸れるのは楽しい。対戦ゲームファンのみならずファンタジーRPGファンにも遊んでほしい逸品だ。
リプレイ記事も掲載していく予定なのでお楽しみに!
私的ゲーム評価
ルール難易度:普通(基本ルールは簡単だが、選択肢が多い。)
戦略性:優(戦術は多彩。考えすぎると頭がパンクするかも。)
運:無(最初のマップ配置以外は運の要素無し)
コンポーネント:優(美しいマニュアルとボード、イラストも素晴らしい)
言語依存度:低(カードやコマに英文はほとんど無し。ルールブックがすべて。)
背景世界再現度:優(限られた空間なれどファンタジー世界の雰囲気はバッチリ)