華麗な玉手箱『ワールド・ワンダーズ』


欧米中心だったボードゲーム出版ですが、近年世界的なブームにより、日本を含むそのほか国々からも新たなブランドが芽を吹き始めていますが、Meeple BRもそんなブラジルの出版元で、今回紹介する

ワールド・ワンダーズ

はその新作で、世界の偉大な建造物(モニュメント)の立体駒が豪華なタイル配置のゲームとなっています。

ゲームは自分の国を発展させていくのが目的です。

各ラウンド、市場には都市タイル各種1枚(プレイ人数によって使用する種類が変わります)、塔1個、4マス道路と「2マス道路×2、1マス道路×1」のセット(これはプレイ人数により使う数が変わります)、モニュメント3種類が並べられます。

こんな感じ。これは4人用セットアップ。

ちなみに個人ボードは裏表があり、湖面は全員同じですが、川の面は配置が全員異なります。

プレイヤーはラウンドの開始時に7金持っていますが、ゲームでは各手番にこの「金」を使って上記のいずれかを「取って配置」します。
お金というより、アクションポイント?

4金のタイルを取る……早いもの勝ちなので、他のプレイヤーが何を欲しがっているのか、状況は把握した方が良い感じ。

お金は減らすのではなく使った額を記録する……慣れるとそれほどわかりにくくもないかな。

都市タイルを配置したら、記載されている資源のトラックが成長します。

ゲーム終了時に3種類の資源で一番少ないものの数字がそのまま点数になるので、均等に伸ばしていきたい。

また、成長の結果事項アイコンを踏むと……

……人口も増加します。

人口はゲーム終了条件の一つでもあります。

配置。

都市タイルは2~5金、道路は1金、塔は2金、あと次ラウンドのプレイヤー順1番・2番は1金、そしてモニュメントは残りの金全てとなります(つまり1金残りの時に獲得するのが一番効率的)
しかもそれぞれ置く条件があるため、「お金があっても取れない」事態もあり得ます。


置く条件は:

  • 「道路」は「マップの下辺(道路じゃないので注意!)」か「道路」か「塔」に隣接して配置。
  • 「都市」は「道路」か「同じ色の都市」に隣接して配置。
  • 「塔」は「いずれかのピース(つまりプレイヤーが配置した何か)」に隣接して配置。
  • 「モニュメント」は個別で条件を持つのでカードを参照する必要があります。



なお通常タイルは陸地にしか置けませんが、長い4マスの道を裏返して(両端を陸上であれば)橋として水上に配置できます。

また、モニュメントによっては水上に置く必要があるものもあります。

さて、ゲームとしては「X点取るのにN金使う」効率が一番良いのが重要となるのですが点数はというと;

  • 完全に囲まれた(ボード端や自然資源や水も囲むための辺として扱う)都市タイル1枚につき1点
  • 3種の資源のうち一番少ないものの数字……リソースは都市タイルなどで増えていきます。
  • 到達した人口による点数(最大3点)……人口は各資源が一定数に達する毎に増えていきます。
  • 何かに接した自然資源(1つ1点)……自然資源は何かを上に置く場合は平地扱いですが埋めると点数が減ります。
  • モニュメントに記載の点数(1~2点)


例えば都市タイルは2金の都市なら1点+リソース(1アイコン)が(条件を満たせたら)獲得できますが、最安の1金の道路で自然資源を接続すれば1金で1点獲得なので効率がかなり良いことになります。
都市を囲ってもらえる点数に関しては、ばかにならないけどその1点の為に何金かけることができるのかは意識したい。

モニュメントは「残りのお金全部」がコストなので、1金(残り)で1点がベスト、2金(残り)で1点ならまぁありか。

……ただしお金を全部使う=そのラウンドは終了なので、だれもが欲しいモニュメントであれば、早く取りたい場面も出ると思います。
(どうしてもお金が足りない場合は「借金」という手段も……これは追加アクションとして手番中に実行でき、そうした場合2金多く消費できるようになります。ただし、追加の借金は3金で追加アクションとして返済するまでできず、ゲーム終了まで残した場合は2点の減点となります。)

ちなみに《トロイの木馬》の条件は、「道路に接していること」と「Hの都市タイル(住宅地)に接していること」。ゲーム終了時に1点ですので、残り1金でとれたならアリ。
一番小さな都市タイル(2金)は素で資源アイコン1で囲みやすいのでさらに1点となるかもしれませんが、資源アイコンは一番少ないものしか数えませんし、囲めなければ点数にならないので考えどころ。

あと、モニュメントの配置で分かりにくいものがありますが……
「条件さえ満たされていれば、複数のピースでできたモニュメントはお互いが接触して(もしくは既定のマスだけ離れて)いればよい」(ルールブックP.5「モニュメント」参照)ので、以下の配置もアリです。

ピラミッドは3つのピース全体で合計2個の都市タイルに接していればよし。加えて各ピースも接触していればよし。

《万里の長城》の条件は、「道路に接していること」と「Hの都市タイル(住宅地)に接していること」と「自然資源に接していること」と「他のピースと接していること」。

なので、このように配置できます。


ですが……見た目を考えると接触の条件を厳しくしてもアリかな……
例えば図のアイコンを、“「各ピースの端マス」は必ず他のピースの端マスに接していること”と読んで、ダメにするとか。
(ドラフトゲームなので、ここのルールをプレイグループ内変更しても各プレイヤー間の条件はイーブン。ハウスルールにしてもよいかもしれません。)


なお、都市タイルや道路などはラウンド中に補充されませんので、市場にあるものを他のプレイヤーの需要と鑑みつつ取らなくてはなりません(都市タイルは各形状とも、同じ色は2枚ずつな点に注意するだけでぐっと上達します)。
一方モニュメントは即座に補充し、配置条件が厳しいのもあいまって先にとられて泣きを見ることもありえますが、新たに出てきたモニュメントによってはタナボタということも……あらかじめどんなモニュメントがあるか確認しておくのもよいでしょう。

ゲームは10ラウンドの終了後、もしくは誰かの人口が最大に達したラウンドの後に終了なので、それまでにいかに効率よく点数を得る行動を取れるか……という感じ。

ゲームとしてルールは短めですが、勝とうと思うのであれば市場と自分の盤面だけではなく、他の人の残金数と盤面の状況(特にモニュメント)と手番数、残りタイルの枚数(同じ形には各色2枚)、モニュメントの配置条件を都度確認したほうがよいでしょう……手なりでプレイすることも可能ですが、この辺りを意識しないと都市計画が手前のプレイヤーの一手で大きく崩れるかもしれません!

きちんと周りを見て自分のアクションを何点の行動として変換すべきか意識しつつ、最適のタイルドラフトと配置をし、残りのタイルやモニュメントを鑑みて今後の布石を打つ……というガッツリ勝とうと思うなら渋めのプレイが求められるのですが、ルール自体は子供でも分かりやすいゲームとなっており、箱庭的な自分の国ができていくだけでも満足感がある……普段ゲームをしなくても遊べるくらいのルールの難度ではあるので、幅広い層にオススメします。

ワールド・ワンダーズ
プレイ人数:1-5人
対象年齢:14歳以上
プレイ時間:約70分
製作:Meeple BR
デザイン:ゼ・メンデス
アートワーク:トム・ヴェントレ、ロイ・ウィネン、オディッセアス・スタモグロウ
価格:7,000円+税