ただのパーティーゲームなのか、確かみてみろ!『ルーニークエスト』


※今回前置きが長いけど大したことは書いていません。

ゲームにも流行と言うものがあって、例えばヨーロッパでは様々な言語が点在する為、ゲームは基本的に言語依存が少ない作り。
ユーロゲームの優等生的なゲームを例に挙げると……たとえば『村の人生』とか、ゲーム中にテキストは無いわけですよ。
市場の大半が言語依存の無いゲームなのは、日本語版になったタイトルを見ても実感できると思います(日本の場合は市場がちょっとアメリカより、と言うかTCG系プレイヤー層がいるので、テキストのあるゲームに抵抗は無い感じかな?)。

利点としてルールさえ翻訳してしまえば他の言語圏の人と一緒にプレイもできてしまう点があるのですが、ゲームの文化はお互い刺激を与えあっているわけで、ユーロゲームがアメリカのゲームの得意とする複雑な個別能力などの組み合わせを取り入れ始めると、最初は言語を記載しないために『アイコン』で何とかしていましたが、そのアイコンが分かりずらいと(特に「何でテキスト書かねーんだ(英語で)」とアメリカ市場で)いわれ、
最近の流行はアイコンの補助として簡単なテキストが添えられる、と言うスタイル。
例えば『デウス』なんかは本来ルールブックにアイコン一覧があってもおかしくないのですが、カードにテキストが書かれています。
こちらの『流行』はどちらかと言うと、市場と出版社のビジネスの変化が生み出しているものですね。

で、もう一つの流行はどちらかと言うと、作り手側の世代交代から生まれつつあるモノ
何かと言うと、デザイナーとして活躍し始めた世代が子供のころにどっぷりつかっていたアーケードゲーム/コンシューマーゲームのアナログゲームへの落とし込みという流れ、というかアイディア群。
これに関しては、アーケードゲーム文化やコンシューマーゲーム文化が乏しい(だからボードゲームが育ったとも言えるのですが)ドイツではなく、アメリカやフランスでちょっとした動きになり始めていると思われます。例えば、縦スクロールシューティングゲームをボードゲームに落とし込んだ『The Battle at Kemble’s Cascade』とか、16ビット時代のダンジョンものRPGをカードゲーム化した『Boss Monster』とかが最近だと思いつくアイテム。
おそらく、ほかにもこの手の「デジタルゲーム世代によるアナログゲーム」はこれからどんどん増えていくことになるでしょうし、その中心となるのはドイツ以外の欧州(特にフランス)、アメリカ、ロシアあたりじゃないかとにらんでおります。
で、大体このあたりの国のゲームは今までの型を破った新機軸なものが出てくる傾向があるのですが、今回紹介いたしますのも斬新なシステムに世代共通の体験である面クリア型アクションゲームのフレーバーを引っさげた、

ルーニークエスト
です。

デザイナーはドットでお絵かきをする『PIX(ピックス)』のエスコフィエとフランクのコンビなので、やはりデジタルゲーム世代と納得。
ちなみに、Loonyにはろくな意味がない。

ゲーム自体はルールも簡単なドローイングゲーム。
クリアのシートに……
時間制限内に付属のマーカーでラインを引いていくというもの。


コンポーネントはしっかり収納できる……けど打ち抜きボードの打ち抜き済みシートをプラトレイの下に敷くのを忘れないように。


はこんなクリアシートに、ホワイトボードマーカーでラインを引くのは他のお絵かきゲームと同じ感じですが……
しかし、今までのお絵かき系ゲームと違うのは、描(書)くのは絵ではないという点。

プレイヤーはこのような、各ステージのイラストを見てラインを書いていきます。

これは1-1。
この面構成、どこかで見たことあるような気がする……

達成条件は右下のボックスにあり。
1-1の場合、スタートからゴールまで1本の線でつなぐ(移動)のが目的。クリアすると3点。

なお、共通のルールとして、ラインは交差しちゃダメだし、分岐させちゃダメ。

途中いるお邪魔者のルーニーは触れると-2点、コインを拾うと1個1点、障害物に触れると-1点。イナヅママークはパワーアップアイテムで、爆弾はペナルティ。

となります。

30秒で書いたら、答え合わせ。

書いたクリアボードを実際に重ねて、点数チェック!

なんか往年の攻略記事っぽい。
ゲーメストとかよく読んでたっけ……と思った人はこちらもチェックだ。


繋がってねェ?!
まさかの0点……

試しに他の者にやらせてみた。

因みに書く向き、というかステージのボードを置く方向は、毎ラウンド時計回りに90度回転させていくのだ。向きによる不公平は一応ないことに。


6点獲得じゃないの……結構難しいぞ、これ!


点数トラックは箱を利用するのですが、ちょっと使いにくいかも。

書くのは何も『線』だけではなく、『点』を4つ書いてルーニーを倒す面や、『丸』を書いて敵を捕まえる面など、バリエーションも多く、その数なんと7ステージで、最終ステージ以外は6面で、全40面+ボーナスステージが2面の全42面。

このゲームの面構成・ストーリーもさることながら、各面でやらなければならないことがよく練られたつくりなうえに、ボーナスとペナルティがゲームの良いギミックとなっていて、得意な人が一人勝ちになりがちなドローイングゲームを、ボーナスタイルで他のプレイヤーにペナルティを科したり、間違って取ったペナルティで普通じゃないペンの持ち方を強要されたりするルールにより、ゲームに変化を与えています。

ドローイングゲームとしては絵が苦手な人でも抵抗は無い点はオススメポイントで、難しい計算や駆け引きよりは、正確な空間把握力がモノいうゲームとなっている点からも、普段ゲームをしないような人を誘う場合、特にファミコン世代、スーファミ世代、プレステ世代、俺はセガ派、名古屋撃ちやってました、などの広い世代におススメいたします。

ルーニークエスト(Loony Quest)
プレイ人数:2-5人
対象年齢:8歳以上
プレイ時間:20分
製作:Libellud
デザイン:ローレン・エスコフィエ、デヴィッド・フランク
価格:4,000円+税

なお、ルールブックにちょっと仕込んだネタがあったんだけど「天然にはかなわない」と思ったよ……