カリブの海はオレの海『海賊と商人(Merchants & Marauders)』


海賊と商人パッケージさて、今回紹介するのはZ-MAN年末大型ゲームのうちのひとつ、海賊と商人です。
どのくらい大型か、と言うと船のミニチュアもたっぷり、カードもぎっしり。
おかげでカード用のシールはA4で7枚もついてる豪華っぷり。

テーマも昨今流行の海賊モノで、アメリカでは年末発売で早速品切れ、Z-MAN年末ゲームで一番人気だったゲームです。



■君が気に入ったならこの船に乗れ
ゲームとしては、タリスマンやルーンバウンドなどのゲームと同じ系統のゲーム。

時は18世紀(ゲームのコインよりスペイン国王フェリペ5世の治世以降らしい)。
プレイヤーは船長として、エリアで区切られたカリブの海をうろつき、品物を仕入れて需要のある港で売りさばいたり、他の商船を襲うなどの海賊行為をしたり、カードでランダムに現れるうわさを突き止めるためにうろついたり、カードでランダムに現れる任務を請け負って報酬を得たり、カリブ海をうろつく海賊船を襲撃したり、などなどしながら「○○はスゲェ海の男だ!」という証明でもある栄誉ポイントをいち早く10点貯めるというもの。

ただし、この栄誉ポイントは善悪に関わらず得られるものなので、おおよそルールの許すことであれば、プレイヤーはカリブの海で何をやってもかまいません。

もちろん海賊行為をすれば賞金首となり、悪事を働けば働くほど賞金額もつりあがります。
しかも他の(真っ当な船長の)プレイヤーにとっては良い獲物となります。

 ≪船長は色々な能力を持っています / 船の能力は様々≫

ゲームの流れはイベントカードを引いて、各プレイヤーのアクションを3回ずつ、ターン順に行うというもの。

イベントは各国間で戦争が起きたり、海賊が現れたり、天候が荒れたりします。イベントの山札がなくなっちゃうとゲームは終わり。

アクションは移動探索(&襲撃)、寄港の3アクション。寄港アクション中には船荷を売買したり、戦闘で受けたダメージを修理したり、戦闘で死んだ船員を補充したり、うわさを仕入れたり、任務を請け負ったり、自分の母港なら隠し財宝を溜め込んだりできます。

任務は所謂クエスト。それぞれの港で請け負って、お尋ね者の海賊を追いかけたり、海賊免許(私略船になる!)を得たり、浮気現場を押さえたり、密輸をやってみたり、賭場を荒らしているイカサマ野郎をぶちのめしたりして富と名声を得るというもの。

うわさは任務よりちょっと緩めのクエストみたいなもので、結婚式のうわさにかこつけてご祝儀価格の品物で一儲けしたり、遭難者のうわさを聞いて遭難者を救出して一儲けしたり、宝島のうわさを聞きつけて一儲けしたり。

そして栄誉が得られるのは以下の場合。

・NPC(Non Player Captain)を打ち倒す:海の男は戦いに強いと尊敬されるのです。
・需要がある船荷カードを3枚以上一度に売却する:蜜柑で一儲けした紀伊国屋文左衛門同様に尊敬されるのです。
・商船の略奪で12金以上獲得する:ものすごいお宝を略奪した海賊も悪名ですが高まるわけです。
・任務を完了する:カリブの海には無理難題がいっぱいあり、解決するとスゲェやつだと名声が上がるのです。
・うわさが真実であると突き止める:海の男はうわさに敏感。それの真偽を突き止めたらそりゃうわさにもなります。
・ガレオンかフリゲートを購入する(船長1人につき1回):ガレオンもフリゲートもものすごく大きくて高い船。現代だってハマーを買ったりフェラーリを買ったら名が上がるって物です。
・お宝を溜め込む:今もっている金ではなく、溜め込んだ金は色々うわさを呼ぶのです。

これらをすれば栄誉ポイントが得られるのですが、何をするかはあなた次第。
まさに自由の海!

栄誉ポイントを得るときには、一緒に栄誉カードという色々な効果を持つカードを獲得できます。
これは使うとダイスをふりなおしたり、新たな乗員となったりと色々うれしい使い方があるカードです。

他にも金を払って船を改造したり、特殊な武装を得たりもでき、でかいガレオンよりも小回りのきくスループをガチガチにチューンして海を荒らしまわるという手もあります。

 ≪船のミニチュアもうれしいポイント≫

とにかく何をやっても自由だし、ゲームが進むにつれ船は強化され仲間は充実していくので、うまく回れば無双状態で大暴れできる!
……かもしれないのでそれだけで楽しくなってきます。

戦闘のシステムは、いわゆる6出ろ。
まぁ、このゲームの場合は5・6の代わりのドクロですが。

射撃接舷乗船逃走から行動を選んで船長の操船技術個数のダイスをふって髑髏の目の数だけ成功で、相手と比べて優位な位置についた(=成功数が相手より多かった)ら、選んだアクションに応じて大砲が命中したり(命中箇所によってはあっという間に海の藻屑に……)、接舷乗船(乗り込み戦闘は船の性能を覆して勝てるかも知れない!)になったり。簡単なシステムで結構手に汗握る戦闘に。
他にも商売の仕入れや販売、商船の略奪も簡単なルールでサクサク解決できます。

≪自分の船はこんな感じで能力をあらわします / 船荷カードで交易から略奪まで解決≫  
ゲームは毎ラウンド開始時に引くイベントカードが無くなるか、誰かが10名誉ポイントを獲得すれば勝ち。

ゲームを長くしたければ10ポイントではなく、11ポイント、12ポイントと勝利条件を伸ばしてもOK。
このゲームのように、ゲーム中に色々なことが起きるイベント中心のシステムだと、ゲームの中で突きつけられる困難をどのように解決していくのかという、仮想体験(問題解決と試行の結果)の連続がそのゲームの楽しい最大の要素なので、ゲームの時間が長いというのはさして問題にならないものです。
1時間のゲーム10回と、10時間のゲーム1回と、楽しい時間に変わりはねぇし。

自分のでも他人のでも、次々起こるイベントとその結果を数値ではなく情景として想像するだけで楽しいとか、一番出ている杭を直接叩いて自分が1番にのし上がるまさに海賊的な直接の殴り合いが楽しい、色々な邪魔をかいくぐって黙々マイペースに転売をするのが楽しい、そんなカリブの海で海賊行為とか冒険商人気分を味わうにはかなりデキの良いゲームで、海賊テーマのゲームを探していた人に強くオススメいたします。

海賊と商人(Merchants & Marauders)
プレイ人数:2-4人
対象年齢:13歳以上
プレイ時間:1人当たり45分~
ゲームデザイン:Kasper Aagaard&Christian Marcussen
製作:Z-MAN Games
日本語ルールつき
価格:7,000円+税

オマケ:会社にある帆船模型。これは16世紀の船ですが、チェイサーと、砲門と、スイベルガン。ルールを見てもぴんと来ないと思いますが、こんな武装ですよ。
 

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