無冠の者が、また王となろう『指輪物語:デュエル 中つ国の決戦』


今回紹介する
指輪物語:デュエル 中つ国の決戦

は、『世界の七不思議:デュエル』を基に、『指輪物語』のストーリーを落とし込んだリメイク作品になります。


《元ゲームとの比較……『世界の七不思議:デュエル』のほうが小さいのだ。ゲームとしても、元ゲームのテイストが残りつつも、カードの構成やルールはかなり変更が加えられています……》

盤面はこんな感じ……中央のカードの並びは元ゲームと全く同じ。

カードの構成や中身は微妙に異なります。

『世界の七不思議:デュエル』では各自7コインですが、『指輪物語:デュエル』では先手サウロン2コイン、後手指輪の仲間が3コイン。

「七不思議:デュエル」に相当する「場所」は3枚がめくられていてどちらのプレイヤーも獲得を試みることが可能……これらは各章の最初に補充されます。

中央のボードで中つ国の支配を争うことになります。
自由の民はアルノール(Arnor)に軍隊2個、サウロンはモルドール(Mordor)に軍隊2個を置きます。ここは主に赤い軍事のカードか、場所のカードで状況が変化していき、このボード上全ての場所に自分の軍隊か砦を置いたら即座に勝利します。

その上には同盟トークン18枚……これは中つ国の6種族各3枚のトークンで強力な効果を持ちます。元ゲームで言えば科学トークンに当たるのですが、獲得方法がちょっと違っています。

そして原作の物語のもう一つの軸、フロドとサムの指輪の旅と追跡するナズグールのトラックがこちら。

フロドたちが逃げ、ナズグールが追いかけますがフロドのボード上にナズグールが乗っているので、間の距離は詰れど引き離れることはありません。

中央のカードの配列は『世界の七不思議:デュエル』と同じですが、カードの構成や内容は微妙に変更が加えられています。

灰色は資源……シンボルは武力、知識、策略、勇気、知識、統率力。

足りない分は『世界の七不思議:デュエル』のように相手からコインで購入するのではなく(当然だ!)、純粋にコイン代用できます。

緑は各種族の同盟……ホビット、エルフ、ドワーフ、人間、エント、魔法使い。

種族の同盟トークンは、そのアイコンのカードを2つ獲得したら、2枚引いて1枚使用し、1枚山に戻します。

または、3種類揃ったら、それぞれ1枚ずつ引いてそのうち1枚を使用して残りを山に戻します。

効果は当然強い。

赤カードをプレイしたら、軍隊駒を示されている場所ではなく好きな場所に全部置くことにしてよい…… 黄カードをプレイすると追加で指輪トラックを1進める…… 場所タイルを置くときに持っている要塞の数だけコストが上がるのを無視できる…… どのルートで行くべきか!

しかもカードで種族のアイコンを6種類そろえると、中つ国の支配を得たことになり、即座に勝利します!
(自由の民が結束しての勝利、もしくは、中つ国の全種族が支配を受け入れることでのサウロンの勝利)

赤は軍事……軍隊駒を配置する。選択肢が常に2か所ある……

サウロン側が使った……右側の場所に軍隊駒を置く。
軍隊駒は敵の軍隊駒があった場合戦闘となり、両者1個ずつ取り除くことになります。

1個は残った!

後述の「場所タイル」で配置する要塞は軍隊駒で取り除くことは出来ないし、逆に軍隊駒を取り除くこともありません。

この中つ国の要衝7カ所全てに自分の軍隊駒/要塞を配置できたら即座に勝利します。

黄は資金……コインを得る。
なおコインはカードを捨てても得られます。

青は指輪の旅……指輪の旅トラックを進めます。

指輪を無事に火山に放り投げるか、ナズグールがフロドたちに追いつくかするか……ナズグールに追いつかれると自由の民は即座に敗北し、フロドとサムが火山まで到達するとサウロンの目論みは砕け散り指輪の仲間が即座に勝利します!
一応こちらも道中アイコンがある場所に止まるか通過すると利益があります。

紫は計略(第三章で登場し、赤の軍事のカウンター的な能力)……要塞を破壊したり、軍隊を移動させたり。

一発逆転も出来そうな能力のものもある?!

「場所タイル」はカードの代わりに取るもので、高コストですが、獲得するとその場所に要塞を置き、さらに追加の効果を得られます。

これが強い!

エレボールのリョヴァニオンに要塞を置き、5個得て、軍隊を1スぺ―ス移動。

ゲームの進行自体は『世界の七不思議:デュエル』とほぼ同様ですが、『世界の七不思議:デュエル』では「カードを取った後に、それをプレイするか、捨ててコインを得るか、七不思議の建設をする」ことを選びますが、『指輪物語:デュエル』では「カードを取ってプレイするか捨ててコインを得る」もしくは「場所タイルを取る」の二択の為、カードを取りたくない場合に場所タイルを取ることで相手にカードを取らせることを強要できます(……ただし相手も場所タイルを取るかもしれない……)。


もちろん、連鎖のルールも健在。

ゲームの勝利は前述の3種類の条件のうちどれかを先に達成した時点で勝利します。
『世界の七不思議:デュエル』では合計得点で勝敗を決めていましたが、『指輪物語:デュエル』には得点はありません。

そのためか、同盟トークンの効果や場所タイルの効果は強めで展開もダイナミックなものとなっており、プレイするときは点数の積み上げに配慮するよりも、いつひっくり返されるかもしれない「征服」、「同盟」、「指輪の旅」のいずれの動向も見逃せず、緊張感あふれるゲームとなっています。

『世界の名不思議』のバリエーションとしても良く練られていますが、何より『指輪物語:デュエル』世界のドラマを感じさせる展開となるは出色。2人用なのもボードゲームに慣れない人にはプレイしやすい点ではないかと思います。ゲームのファンだけではなく、原作のファンまで幅広い人にオススメいたします。

指輪物語:デュエル 中つ国の決戦
プレイ人数:2人
対象年齢:10歳以上
プレイ時間:30分
製作:Repos Production
デザイン:アントワン・ボザ、ブルーノ・カタラ
イラスト:ヴァンサン・デュトレイ
価格:5,500円+税