クニツィアの新作が「ゾンビーズ!!!」でおなじみのTwilight Creationsから発売された。
その名も「グレイブディガー(墓堀人)」。今回はゾンビこそ登場しないが、ゲームの舞台は墓地で、しっかりとメーカーのテイストは残していて、ユニークなオークションのシステム使ったクニツィアならではの心憎いゲームに仕上がっている。
あなたは小さな田舎町の墓堀人です。仕事はすこぶる順調ですが、お世辞にも清潔とは言いがたい職場で、見入りもそんなにはありません。そして何よりも、死ぬほど退屈な作業にうんざりしています!
そこで、単調な仕事にちょっとした楽しみを加え、うまくすれば副収入も得られると思い、仲間の墓堀人とコンテストを開くことにしました。
参加者は1週間の間に、できるだけ多くの貴重品を顧客(訳注:埋葬された遺体)から“借用”することで勝負をします。自分の好みの墓地を決め、最終的に最も多くの貴重品を“借用”した者が優勝するのです。墓堀り仲間はこのコンテストに大賛成し、“貴重品を決して泥棒しない”ことを約束しました。
という設定で始まるこのゲーム。プレイヤーはそれぞれグレイブディガー(墓堀人)になって、墓に埋葬された財宝を暴いていきます。
プレイヤーの初期の所持金は10ゴールド。手札は5枚。
カードは、金額の表示がある財宝カードと、特殊効果を持つ人物カードが混ざっている。
カードを配置できる墓地は全部で5箇所。
プレイヤーは各自のターンにタイルをめくって、そのタイルの指示の行動を取ります。タイルの指示は以下の4種類。
・手札のカード1枚をいずれかの墓地の前に裏向きに置き、カードを1枚引く。
・いずれかの墓地のカード1枚を見る。
・いずれかの墓地のカード1枚を表向きにする。
・いずれかの墓地を暴く。
で、墓を暴くタイルが出たら、墓暴きの開始です。
タイルをめくったプレイヤーは、カードが置いてある墓地1つを選び(置いてあるカードの枚数や、タイルの効果で見たり表向きになったものがヒントになる)、その墓地を暴きます。
その手順は以下の通り。
1.各プレイヤーは、所持金から任意の金額分のコインを「握る」。(当然秘密裏に)
2.その墓地のカードすべてをオープンにして、その財宝の金額合計を算出し、その金額分のコインを銀行から取って、場に置く。
3.「握った」コインの金額をオープンにする。
4.「握った」金額の低いプレイヤーから順番に、「握った」金額と同額分のコインを、場のコインが足りなくなるまで受け取っていく。
こうして、自分の所持金を増やしていく。
墓の前には、財宝カードだけではなく、特殊効果を持ったキャラクターカードも当然置かれています。この特殊カードの組合せで、財宝が0になったり、「握った」金額の多い人から順番になったり、自分の「握った」コインが没収されたりもする。
このように、ターンを進めて、山札がなくなりプレイヤー全員の手札のカードがなくなると、ゲームは終了。最後に、残っている墓地を順番にすべて暴いていき、最終的に所持金が最も多いプレイヤーが勝利する。
少額で落札した方が確実にゴールドを獲得できるが、当然見入りは少なく、大金で落札できれば見入りは多いが、獲得ゴールド0のリスクもある。この辺はクニツィア得意のジレンマが見事に生かされている。
オークション時の駆け引きも重要だが、(タイルの指示による)カードの覗き見や、意図的に特殊効果カードを配置するなどの情報戦も非常に重要だ。
このように、新作「グレイブディガー」は、Twilight Creationsのテイストもバッチリ生きていて、クニツィアの良さが充分に引き出された秀作ボードゲームだ。
対象年齢10歳以上、プレイ時間約30~40分、プレイ人数2人~5人
私的ゲーム評価
ルール難易度 :易 (子供と一緒に遊ぶことも可能です。)
戦略性 :大 (駆け引き時のジレンマが楽しいというか、心憎い。)
運 :弱 (カードの引き運は若干あり。)
コンポーネント :良 (雰囲気たっぷりのイラストは良い。ただ、もう少し箱をコンパクトに出来たのでは・・・惜しい。)
言語依存度 :小 (英文は、カード名だけ。)
また、JGC2007のホビージャパン・ボードゲーム体験コーナーで体験会も実施予定です。この機会にお立寄り下さい。