掌の上で踊るか、躍らせるか『イントリーゴ ~水の都の陰謀劇~(Intrigo) 』


今回ご紹介しますのは、イタリアは水の都ヴェネツィアを舞台とした陰謀劇を扱った
イントリーゴ ~水の都の陰謀劇~(Intrigo)です。

プレイヤーはそれぞれ史実にも登場するコンタリーノ家、グラデニーゴ家、モロシーニ家、ダンドーロ家の当主となって、各派閥に手を回してこの首班となるための陰謀劇を進めるための「金」を得たり、自分の家に対しての協力の証である「封章」を集めます。

しかし、思惑通りにことは運びません。

あなたは掌で踊る側になるのでしょうか?
それとも他のプレイヤーを躍らせる側になるのでしょうか?

ゲームは基本的にはカードを並べて作った屋敷にカードを配置して、その屋敷カードに置かれた封章(書簡とかに押す封をする印章デス)を手に入れることが目的。

封章を5つある派閥のうち5派閥から最低1ずつ取り付けるか、5つある派閥のうちどこか1つから4つの封章を取り付けると勝利します。

実にシンプルですが、他のプレイヤーは封章を5種類各1つ以上得るのが目的なのか、1種類から4つ得るのが目的なのかを推理するとともに、自分の勝ち筋はどちらが本命か判らないようにしておいたほうが良いという、陰謀劇らしいつくりになっています。

では具体的にどのように封章や金を獲得していくのかというと、手札を表向きに、順番に1枚ずつ建物の間に配置していくだけです。

全ての建物間にカードの配置を終えた時点で、建物を挟んでいるカードの値が大きいほうの家のプレイヤーがその建物の上の封章や金を獲得できるのです。

まさに各派閥は名家の板ばさみ状態です。

なお、どのプレイヤーの色でもないカードが1番大きかったり、同じ値では誰も獲得できません。

数字は各名家とも2~4の3種類3枚だけ。

それに加えてどのプレイヤーでもないティエポーロ家が4枚加わります。

この策略カードは置いたときに表を向けるので、何が置かれたのかは明白です。
順番を考えて手札をうまく配置していかなくては獲得できるものも獲得できません。
まさに各名家による派閥工作。

また、自分の手札から策略をめぐらすだけでなく、金を払ってヴェネツィアの有力な住人をあらわす影響力カードを買って、手札の代わりに置くこともできます。

この影響力カードにより、一時的に影響力カードを置いた場所のどちらかの建物のトークンを一時的に獲得できなくしたり、交換してしまったり、他にも色々な効果があるカードによって、駆け引きをより混沌としたものにします。

人物によってはかなりクリティカルなものもあり、しかも料金は使われる度にどんどん上がっていきます

場合によっては封章だけでなく金も獲得しておかなければならないわけです。

まさに陰謀劇です。

さて、これだけならまだまだ普通のカード配置ゲームですが、
使う手札は固定ではなく、ランダムに配られます。
しかしこの4枚配られる手札は、そのまま使うわけではありません。
配られたカードのうち、自分が使いたい1枚をキープして残りを左に回します。
右隣からは3枚のカードが来ますが、これまた使いたい1枚をキープし、残りを左に回します。

このようにして行うドラフトの結果自分の手札4枚が決まるのです!
つまり。
相手の大きな数字のカードは流してしまってもいいし、危ないと思ったらキープしてもかまいません。
また、あなたの上流から流れてくるカードはあなたの家のカードが含まれていないかもしれません。
しかも先に挙げたカードの配置はパスできませんので、置きたくないカードは影響力を買うことで(影響力カードを置くことで、空白スペースに陰謀カードの代わりに置くので、置く義務が1回分飛ばされるのに等しい)どうにかするか、置いても痛くない場所に置くことでどうにかするしかないのです。

こうなると自分の策略どころではありません。
絶対上家はあなたの「4」のカードを止めると思われ、もし「4」が流れてきたとしたら……おそらく自分の「4」があった……と思われます。
が、お金はどうか?
ひょっとすると金が潤沢なので、今回は金で解決するつもりなのかもしれません。
封章はランダムに配置されますので、プレイの順番によっては、これまた思惑通りには行かないかもしれません。
また、トークンの獲得処理時に勝利条件を先に満たしたプレイヤーが勝利するので、各建物のトークンの獲得の順番(決まった場所から時計回り)もきわめて重要です。

つまり、よーく順番と取るべきもの、取らせてよいものを見極め、その上でカードをドラフトしなくてはならないわけです。

なお、ゲームの流れは上の説明と逆。
ドラフトして、カードを配置して、トークンを獲得するというものを繰り返していって勝利条件を目指す簡単なお仕事です。
……他のプレイヤーさえいなければ。

そう、他の人を引っ掛けるテクニックを色々行使できるつくりなんですよ!
ドラフトで騙し、カードプレイで騙す。
ありきたりといえばありきたりなシステムですが、ちょっとした工夫で駆け引きがちょっと濃い感じのゲームとなっています。あまりなじみの無いドラフトの要素や、場の状況から考えることがやや多いので上級者向けかもしれません。
それでも直接的なブラフでは無く、「場の状況やプレイングでのブラフ」のゲームが好きな人にはオススメできるゲームです。

イントリーゴ ~水の都の陰謀劇~(Intrigo)
プレイ人数:3-4人
対象年齢:12歳以上
プレイ時間:約45分
ゲームデザイン:カタリーヌ・デュマ、シャルル・シュヴァリエ、パスカル・ペリマン
発売:Asmodee/Hazgaard
価格:3,400円+税
2014/03/12追記:絶版

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