こんにちは、ゲーム開発課です。
今回は当社オリジナルボードゲーム「ダイスエイジ」発売を記念して、デザイナーの佐藤敏樹さんとアートを担当された長谷川登鯉さんの対談を行いました。
「ダイスエイジ」連載、今回はその5回目、ついに最終回です!
今回出ている人:
佐藤敏樹さん:
「ダイスエイジ」システムデザイナー。「さとーふぁみりあ」主宰。
最近の代表作は「8bit Mockup」など。詳しいプロフィールはこちら
ゲーム開発課 ねいじま:
聞き手です。
ねいじま:アートへのこだわりについても聞かせてください。このアートはこういう意図があるんだ、とか。
ホビージャパンさんにお願いして「ダイスエイジ」として作った時は、実はほとんど絵について長谷川さんと話していないんですよね。そこは勝手にやってみたいな感じで(笑)
テスト版を作った時は、制作コストの関係でカードのサイズだけ「ユーロハーフ」で決まっていたんですよね。最初はこのサイズで必要な数字の情報を載せたら絵が描けないなと思って、いったんシルエットでやっていました。それでテストプレイをしていたらみんなが「これで完成でしょ?」みたいな反応をしたので、最初は「これでいいんだ」となってしまいました(笑)
ねいじま:そういえば、テストプレイ版の時はシルエットでしたね。
また、セットコレクションで他人の場を見るから、色はきれいに分けなきゃいけないというのはありましたね。「あれがシカだな」と思うんじゃなくて、まず「あれがシカの色だな」と思ってもらわなきゃいけない。で、並べたらどこに視線がいくかなと思って数字のレイアウトを決めて……、それで余って邪魔にならないところに動物のシルエットを描いたんですよね。なので、その時のデザインはあまり困ることはなかったです。
ねいじま:なるほど。
の後、ホビージャパンさんで製品版で出す時には、さすがにシルエットじゃなくてちゃんと絵を描こうという話になりました。その時に実はイノシシからドードー鳥になっているんですよね。
ねいじま:あれはどうしてイノシシからドードー鳥になったんですか?
鳥がいなかったからですね。あとは、原始時代だけにしかいない、原始時代感がある動物を使いたかったんです。そういう意味で魚もシーラカンスにしたんですけど、これは最初「普通の魚になりませんか?」と言われてしまいました(笑)
ねいじま:その話は確かにしましたね。イラストのお願いをする際に、原始時代の食生活について本でいくつか調べたんですけど、「シーラカンスはすごくマズい」という話があったんですよね(笑)
今でもたまに獲れるらしいんですが、本当にマズいという話は聞きますね。
ねいじま:途中で鮭にしようという話にもなったんですが、最終的に古代感を重視した結果、シーラカンスにドードー鳥を採用するということになりました。
どっちも子供の頃に図鑑を読んでいてすごく好きだったんですよね。恐竜じゃないですけど、今いない生き物みたいな。そういうのは他のゲームだとなかなか出せないじゃないですか。あとは、配色の割り振りでドードー鳥は紫色にできるなと思ったので。
最初は、日本近海でクジラが獲れるとかいうところからクジラも採用していたんですが、そこは長谷川さんと打ち合わせをして変わった部分です。その時にイノシシを使おうという話もありました。
最終的には、クジラは採用しませんでした。魚がいてクジラがいる、というのがバランスが悪かった。イメージ的には完全にクジラが魚の上位だし、他の動物と狩りの難易度的にも釣り合わなさそうだなと。あと、元々はシカとイノシシの点数が一緒だったんですけど、ホビージャパン版になって得点を変えようという話になって。それで、シカよりもう少し狩りやすそうな動物はいないかなと思って、より簡単に狩れそうなドードー鳥にしたというのもあります。
ねいじま:アートのやりとりで色々ご迷惑をおかけしたと思うんですが、何か困ったことなどはありましたか?
いえ、特になかったですよ。こんなに自由にやらせてもらっていいのかって(笑) 今回はいつもはやらない手法で描いているんですよ。基本的にはアウトラインがある絵を描いているんですけど、少し前にない絵の描き方を覚えて。それで、こっちのほうが海外っぽいかなと思って試してみたんですよね。こんな大事な作業で慣れてない手法を使うんじゃないよ、という話ですけど(笑) あとは、アイコンのデザインはけっこう時間がかかりましたよね。
ねいじま:あの時は色々とお願いした覚えがあります。
最初は真上から見たダイスを描いていたんですよね。今よりももっとアイコンっぽいやつで。ただ、やっていくうちに表現の限界がきてしまったんですよね。ダイスを2個戻す効果の表現とかは、平面的な絵では限界があるなと思って「やめましょう」という話になりました。それで全部描き直して、手書きっぽい矢印を加えたりしましたね。
左から右へ、「相談(ダイスを振り直しさせる)」アイコンの変遷
ねいじま:マンガっぽい表現にしましょうという話をしましたね。最初はよく日本のゲームにあるようなアイコンによっていたんですが、それだと海外では通じないのではないかとなって。それで二転三転していました。
僕がイメージしていたスケジュールでは、特殊カードはあまり時間を取っていなかったんですよ。アイコンだからすぐ終わるだろうと思って。それが思ったより時間がかかったというのはありましたね。
ねいじま:貝殻も色々ありましたよね。この形の平貝は食用だからとか。
巻き貝のほうが貝殻として良いんじゃないかという話もありましたね。
ねいじま:元々交易とかで価値がある貝殻を見つけて点数になった、というフレーバーだから巻き貝のほうがいいんじゃないかという話もしました。
ただ、タイルにした時に細長い巻き貝だと数字も書きづらいし、引っくり返しにくいタイルになるんですよ。それに、みんながイメージする貝は平べったい貝なので、史実とは異なるけどこっちのほうがいいんじゃないかという話になりましたね。
ねいじま:史実といえば、箱絵についても色々お願いしましたね。氷河期の原始時代だから、もう少し雪を多くしてもらえませんかとか(笑)
最初は雪がなかったんですよね。雪だらけだと絵が白くなってあんまり楽しげに見えないので、遠くの山に雪をのせたりしていました。空も元々は青々とした空だったんですけど、もう少し寒そうな空にしてみたり。
ねいじま:ボードゲームの原始時代ものってかなり史実に沿っていて、ガッツリと毛皮を着込んだ原始人とマンモスが描かれていたりするんですよね。「ダイスエイジ」というタイトルも元々「アイスエイジ」と掛けていた、といった事情もあったので。
できるところだけでいいですか、という話にはなったんですけども。これはけっこう時間もかかったので、なんとかなって良かったな、とホッとしましたね。
ねいじま:スケジュールが厳しいなか色々言ってしまってすみませんでした……! ここでは出せない話もいろいろあるんですけど(笑)、本当に無事発売できてよかったです。本当にありがとうございました!
いかがでしたか?
全5回に渡る「ダイスエイジ」連載、これにて終了です! 本当は中敷きダイストレイの話や、ダイス色裏話など、いろいろ他にもご紹介したいエピソードがあるのですが、今回はこのあたりで。
ファミリー・ダイス・ゲーム「ダイスエイジ」、クリスマスやお正月にいかがでしょうか??
ぜひみなさんで遊んで楽しんでくださいね!