あと2時間で陽が落ちる『クライオ:氷の惑星』+明確化


宇宙移民船が謎の破壊工作により、とある氷の惑星に墜落した……

クライオ:氷の惑星

は極寒の惑星に墜落した移民船から資材をサルベージし、冷凍睡眠されている乗員を覚醒させ、まだ熱を保っている惑星内部核近辺へ、日没を迎えて一切の活動が不可能となる前に移住を果たそうとするワーカープレイスメントのボードゲームです。

ゲーム的には、最終的に入植した乗員やその結果の洞窟のマジョリティ点、自分のプラットフォームの改良具合等々で得た点数で勝敗を決します。


中央のボードは植民船が墜落した氷の惑星になります。

宇宙船の各モジュールは4つに分かれて地上に墜落しています。

ピンクが主にエネルギー生産にかかわる〈水晶〉に関する作業区画。
緑が主に乗員のライフラインとなる水や食料にかかわる〈有機物〉にかかわる実験区画。
グレーが道具や設計図に関係し、カードプレイにかかわる〈技術〉に関する研究開発区画
茶が探検や生産など乗員活動にかかわる派遣区画です。

それぞれ対応する色の資源タイルを裏向きでシャッフルして、各置き場にプレイ人数枚数積み重ね、一番上だけ表向きに置かれています。
これは各区画で拾うことが出る残骸……なのかなぁ。

各区画のステイシスチャンバー(つまり冷凍睡眠室)には、各プレイヤーの乗員ポッドが1個ずつ配置されています(派遣区画は2個ずつ)。

プレイヤーはこの人たちを覚醒させ、働かせたり入植させたりします。

区画のドックに損壊マーカーを人数に応じて配置します。
これはプレイヤー人数に応じてワーカーを置けないドックを調整するためのものです。
(なお、4人でも4か所はふさがるので、毎回ゲームにより展開が異なります)

ランダムに午前の事件マーカーを各区画に1枚ずつ置きます。
これはプレイヤーがワーカーの帰還アクションをするたびに解決されていきます。

残りの事件マーカーは午前、午後にわけシャッフルし、それぞれ人数枚数の山を午前×3か所・午後×3か所に置き、一番右の午後の山下に日没の事件を置きます。

これは事件が解決されるたびに補充され、「夜」が来たらゲーム終了となります。

入植地である洞窟はシャッフルして裏向きで配置します。
入り口とその下の洞窟だけは、最初から探検済みです。

各プレイヤーには「プラットフォーム(プレイヤーボード)」とドローン3個が配られます。ドローンはプラットフォームのドックの左端から置いておきます(これは後から意味が出てきます)。
資源は資源トラックで記録されます。
初期資源は、〈水晶〉×1、〈有機物〉×1、〈技術〉×1です。
あとオールマイティの〈ナノマシン〉は最初はありません(あとは手番順により、追加の資源を受け取ります。)
右端のエネルギーは最初1です。

プラットフォームは今はやりのレイヤーボード……イカス!
ワーカーも結構造型が良い。

最後にカードは各自5枚引いて、いらない2枚を表向きで捨てます。
カードは3つの使い方があり、上が「改良」、左が「任務」、残りが「輸送機」です。
各「改良」はプラットフォームに1枚プレイでき、スロットは3枚まで。色々強力な効果をもたらしてくれます。
各「任務」はプラットフォームに1枚プレイでき、スロットは3枚まで。ゲーム終了時に条件したがって点数をもたらします。
「輸送機」はゲーム中地底に入植するために必要となります。

結構な情報量に見えますが、ルール自体はシンプルです。

手番にできるのは【配置】か【呼び戻し】のアクションで、追加でフリーの【解体】アクションを行えます。

配置

ドローンを自分のプラットフォームのドックから、各区画のドックへ移動させ、ドックに隣接するいずれかのアクションを実行します。

アクションは9通りありますが、アイコンに従えば覚えるのは難しくありません。
基本的には資源を得るか、カードプレイか、乗員ポッドの移動をします。

《資源》
資源マーカーを取るなら、それを捨てて記載の資源を得るか、プラットフォームの生産ラインに改良トークンとして配置します。資源マーカーが無い場合は、ボードに記載の資源を得たり、変換ができます。

《カード》
「コンピューター」は〈技術〉を払って「カードを引く」か「カードをプレイ」するアクション。前述の輸送機はこのアクションでプラットフォームに準備する必要があるのでかなり重要です。また、「カードを引く」はそれ相応のコストがかかるので、どれだけカードプレイできるようになるかもかなり重要です。

《乗員ポッド》
「ステイシス管理」は各区画にある自分の乗員を、プラッフォームに移動させるアクション。

なお、プラットフォームには3個しか置けませんが、輸送機があればいつでも自由に輸送機に乗り降りさせることができます。
これも直接勝利に結びつくアクションなのでかなり重要。

「サルベージ割り当て」「サルベージからの撤収」は、自分のプラットフォームとボード上のサルベージポイント間で乗員ポッドを動かすアクション。
サルベージスポットは【呼び戻し】時に資源生産をしてくれます。

「偵察」は自分のプラットフォームから、剰員ポッドを1個、公開されている洞窟に隣接している裏向きの洞窟タイルに配置するアクション。これを誰かがやらないと、今公開されている洞窟だけを奪い合う羽目になる。

「出発」はのスペースはドローンを何個でも置けて、剰員が1個でも乗ってい輸送機1枚を選び、公開されている洞窟タイルに至るトンネルを1本選び、そのトンネルまでの道程に描かれている分エネルギーを払って洞窟に記されている入植コストを支払い、任意の乗員ポッドを輸送機から配置するアクション。
(この例だとエネルギーは2支払い、手前の洞窟はナノマシン2個、奥の洞窟はタダ。)

洞窟はゲーム終了時のマジョリティ争いで1番なら上の、2番目なら下の点数がもらえますし、そもそも洞窟に置かれた乗員ポッドは1個2点(プラットフォームなら1点、ステイシスチャンバーなら0点……なるべく回収したほうが点数になる)。
なお、輸送機は捨て札になります。

呼び戻し

呼び戻しアクションは、一連の流れを順に処理していくことになります。

1. サルベージスポットに自分の乗員がいれば、その数だけ資源を得る。
乗員はそのまま残ります。働きっぱなし。

2. 各区画にある事件トークンのうち1つを解決します。
「破壊工作」だったら、その区画のまだ破壊されていない左側のステイシスチャンバーにトークンを置き、そこの乗員ポッドは破壊されます。

「略奪」だったらそこに記されている資源を得ます。

「日没」だったらその手番の最後でゲーム終了です。

3. ドローンを回収し、自分のプラットフォームのいずれかのドックに戻し、戻したドックに記されているカスタムアクションを解決します。
カスタムアクションは、一番下の資源がもらえます。
矢印の途中にはコストのトークンを嵌めます(つまり使えるようにするには何らかのトークンをはめないとダメ)。

最初はドローンを置き切ってから実行すると思いますが、後半は早目に回収すべきタイミングがあると思います。なにしろ、早目に回収するということは、ワーカーを置く手番がずれることになりますので、どうしてもしたいアクションがあるならいいタイミングで打つべき手です。

例:
まずクリスタルを2個獲得……

次にクリスタルを1払って有機物2を獲得……

最後に有機物1を払っていずれかのステイシスチャンバーから乗員ポッドを回収。

解体

【配置】【呼び戻し】に加え、フリーアクションとして手番に1回だけ、手札1枚かプラットフォームの資源を捨て札にして記載の資源を得られます。どうしても資源がほしいタイミングや、もういらないプラットフォームのカスタムアクションの整理に使う感じですかね……

ゲームはいずれかのプレイヤーの手番の最後、【呼び戻し】アクションで夜が来るか(つまり「終わり」を選べる!)、いずれかのプレイヤーの乗員ポッドがすべて洞窟に置かれたか破壊された(つまりステイシスチャンバーに残っていない……最後に乗員ポッドを引き上げた人は入植タイミングは無いのだ!)したらその手番で終了します。

このように、基本はシンプルなワーカープレイスメントのシステムに、ワーカー回収タイミングが任意で生産要素が組み込まれており、その生産ラインも自分で構築するものとなっています。
ゲームの展開は、かなり駆け引きが熱い!

カードパワーによる特殊効果のコンボや、初期配置のランダム性によるゲームの展開の変化も心地よく、勝利のために必要な道筋も数多く用意されており、その手順によって必要な資源は異なり、その生産サイクルも
よくわからないSFテーマだからと言って敬遠するのはかなりもったいない。
ゲームのバランスも良く、常に「一歩たりない」キビシイジレンマが待ち構えております。

覚えることがたくさんに見えますが、動作が直観的なのとアイコンなどの設計が良くプレイはしやすいので、じっくり遊べるちょっと長めの本格的なワーカープレイスメントのゲームとして、ゲーマーはもちろん初心者のかたにもかなりオススメいたします。

クライオ:氷の惑星
プレイ人数:2-4人
対象年齢:13歳以上
プレイ時間:約60-90分
製作:Z-MAN Games
デザイン:トム・ジョリー、ルーク・ローリー
価格:6,500円+税

改良《オートメーション》明確化

『クライオ:氷の惑星』のカードのうち、改良のテキストはスペースの都合ルールブックのテキストを省略したものとなっています。

《オートメーション》のテキストは原文同様「ドローンをプラットフォームに呼び戻したあと~」となっていますが、ルールテキストでは「呼び戻しを実行したとき、すべてのドローンをプラットフォーム上に戻したあとで~」となっていますので注意してください。(隔週ボードゲーム通信ではプレイミスをしております。)
たしかにカードテキストだけだと忘れてしまいそうなので、以下に気になる方向けにカードテキストに「すべての」という記述を加えた修正データを用意いたしましたのでご活用ください。
(pdf)修正ファイル(pdf)

『クライオ:氷の惑星』ページ内の正誤表をあわせてご確認ください。