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  • 『覇界王~ガオガイガー対ベターマン~』遠藤正明さんインタビュー

    「初心に帰り、最初に『勇者王誕生!』を歌った時と同じ気持ちで挑んでいます」

    ――アニソン界の名曲「勇者王誕生!」が『覇界王~ガオガイガー対ベターマン~』(以下文中『覇界王』)バージョンで蘇りましたが、歌ってみた感想をお聞かせください。

    遠藤:また「勇者王誕生!」の新曲を歌うとは思ってもいませんでしたね。この曲は今でも自分が歌ってきた主題歌の中で一番熱量が高い曲で、最初に歌った時に120%の力を出し切ったと思っていたのに、アレンジが出る度に前回以上の熱さを求められました。今回も嫌な予感はしていたんですよ(笑)。レコーディング当日に初めて『覇界王』ではどうアレンジされているのか聞きましたが、案の定とんでもないことになっていました。『勇者王ガオガイガー』は作品自体もとにかく熱量が凄く、主題歌である「勇者王誕生!」もそれに見合った熱さの曲です。今回の曲も『覇界王』がどんな作品になるのか期待が膨らむ熱さです。


    ――米たにヨシトモ監督の別作品『ベターマン』とリンクした『覇界王』になり、歌唱で苦労したところはありますか?

    遠藤:僕はギネスブックに申請出来るかもしれないほど「世界で一番『ガ』を歌っている男」なので、もう歌詞が身体に染み付いています。ですので、自分の中に存在していない新しい歌詞で歌うのに思った以上に手こずりました。これはテクニックでどうこうカバーするより、最初に「勇者王誕生!」を歌った時と同じ気持ちで歌い上げました。


    ――レコーディングには米たにヨシトモ監督、田中公平さんも同席されたそうですね。

    遠藤:名のある方々が大勢来てくださって賑やかでしたし、同じ空間に僕が居られるのも嬉しかったです。先程の通り『ガオガイガー』はとにかく熱量と勢いが凄くて理屈で説明が出来ない、ある意味では誰も正体が掴めない作品です。それほどのロボットアニメですから、負けない熱さを持った主題歌で応援しなければと常々思っています。
     しかしレコーディングの度に思いますが、「勇者王誕生!」は答えが無いんですよね。その技がまだ何か解らないのに、米たにヨシトモ監督や田中公平さんは無茶振りしてきますし(笑)。田中公平さんとは他の作品でお会いすることはありましたが、『ガオガイガー』のレコーディングでご一緒するのは10年以上ぶりですから、感慨深いです。田中公平さんには昔から好き放題言われます(笑)。しかしそこが田中公平さんの良いところですし、歌手として鍛えられました。


    ――歌の途中で技名を叫ぶ「投げ込み」も、新たなものが登場していますが。

    遠藤:僕は声優ではないので、こういう台詞的なものは「勇者王誕生!」で初めて勉強しました。と言うよりも最初は、投げ込みは主役である檜山修之君が吹き込むと思っていましたから。レコーディング現場で「とりあえず」と言われて僕が叫んだのが、完成した曲にそのまま使われた形です。でも、この曲のおかげで周りに「遠藤は投げ込みもできる」と評価されたり、水木一郎さんに「俺の流派とは違うけど、お前の投げ込みもいい」と認めていただけたりしたのがとても嬉しかったです。大先輩である水木さんにそう言われたからにはこれを貫こう、と思ったのが現在のスタイルに至るきっかけです。


    ――やはり「勇者王誕生!」が、遠藤さんの分岐点になったと。

    遠藤:そうですね。多くの主題歌を歌わせていただけるようになったのも、「熱いロボットソング=遠藤正明」と言われるようになったのも、すべてのターニングポイントになった曲です。こういう唯一無二の曲を歌えたおかげで、以降も「あいつに歌わせておけば何とかなる」的な仕事、いわば僕にしか歌えない曲が多くなりましたから、とても光栄な事です。ボイストレーニングなどテクニック面については、人から教わった事は無く全部自己流です。ささきいさおさんや水木一郎さんら、歌手歴40年50年を超えてなお現役バリバリの先輩方の活躍を聞くと、いまだに若獅子の僕は勝てないなと思いますね。


    ――ライブで「勇者王誕生!」のバージョン違いを歌う事はありますか?

    遠藤:まだ自分の持ち歌が少なかった頃は「勇者王誕生!」を5回歌う、とかはしていました。最近では2番の後にある「ガガガッ!ガガガッ!ガオガイガー」の部分はXタイム(合図があるまでリピートすること)にして、お客さんが音を上げるまで繰り返す「ガガガブートキャンプ」というのをやっています。時間にして20分くらい、それを楽しみにライブに来てくれる方も居ます。「ガ」は爆裂音だからパワーが出し易いのですが、逆にそこで完結しないといけないのは鬼のような曲だな、とも思います。一番初めにデモテープを聞いた時には転調の多さにも驚きましたし、しかもFAXで届いた歌詞には本当に「ガガガ」しか書いていなくて(笑)、とにかくすべてが衝撃的な曲でした。


    ――最後に、ファン皆さんへメッセージをお願いします。
    遠藤:『勇者王ガオガイガー』という作品は本当に深くて、20年経っても油断出来ないな、という気持ちです。また20年後に新たな「勇者王誕生!」が生まれそうですし、来るべきその日まで鍛え続けないといけない、そんな怖さがあります。ここまで来たら誰にも譲りたくないですからね。『マジンガーZ』を歌う水木一郎さんの背中を追いかけて行きます。
     新たな「勇者王誕生!」も凄くインパクトのある曲になりましたので、TV版から観ている方はもちろん、『覇界王』をきっかけに『ガオガイガー』を知った方まで、聞いてくださった方の魂が震えてくれたら嬉しいです。それがこの作品における僕の役割だと思います。


    【プロフィール】
    えんどう・まさあき
    1967年8月28日生、宮城県出身。1995年に『ストリートファイター2』挿入歌「Forever Friends」でアニソン歌手としてデビュー。パワフルな歌唱スタイルを武器に、2000年に結成されたアニソングループ「JAM Project」レギュラーメンバーとしても活躍する。オリジナルソングも精力的なリリースを重ね、2013年には「みやぎ絆大使」「石巻観光大使」に就任。故郷である石巻市でファンツアーを定期的に開催している。
    12月12日アコースティックアルバムの第二弾「Present of the Voice 2」が発売、1月には「JAM Project Special Live 2019 A-ROCK」にも参加。

    遠藤正明 アコースティックアルバム第2弾
    「Present of the Voice 2」
    発売日:2018年12月12日
    価格:2,500円(税抜)
    品番:LACA-15760
    発売元・販売元:株式会社バンダイナムコアーツ

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原作/矢立 肇 小説原作・監修/米たにヨシトモ・竹田裕一郎 漫画/藤沢 真行 製作・編集/ホビージャパン

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