なんどか日本での「弱いジャンル」の話をしたことがあるのですが、海外だとこれがまるで違っていて、海賊やSFや西部モノはジャンルとして強ジャンルであり、当然そんな人気ジャンルなんで下手なものを投入するわけも無く、ましてやエッセン新作となるとそれ相応の自信作を送り込むわけですよ……
さて、本日紹介いたしますのはそんな西部モノでエッセン新作。
カードで行動プロットして列車強盗を働く、
コルト・エクスプレス
です。
しかも軽めのパーティーゲームにもかかわらず、あの戦略ゲーム大好きなドイツでのスカウトアクションで11位ですぜ……
因みにSFはアメリカではガチ人気。
『レジスタンス:アヴァロン』より『レジスタンス』の方が人気が高いあたりからも国民性がうかがえるのです。もちろん、西部モノも同じく人気。
さて、コルト・エクスプレスの舞台は19世紀末、米西戦争翌年のアメリカ西部。
プレイヤーたちは石炭会社の1週間分の給金を護送しているユニオン・パシフィック急行に乗り込み、乗客から金品を巻き上げることになります。もちろん、一番の目的は保安官が守っている1,000ドルの大金。
なお、ゲームの年代である1899年の1ドルは、今の30倍以上の価値なので、1,000ドルの金額は、感覚的には少なくとも3,600万円分は下らない感じ。
ゲームの目的はもちろん、もっとも多い金額を強盗することです。
このゲームの特徴と言えば、ゲームボードを使わないこと。
ゲームでは、先頭の機関車+人数分の車輌を用意します。
車輌の並びはランダムに……車輌の種類によっては、金持ちがたくさん乗っているので巻き上げることのできる金が多い車輛があったり、逆にそんなに巻き上げる金が無い車輛もあります。
裏が見えないように置く。
つまり、貨物車の荷物だったり、乗客の持っているお金だったり。
そして先頭の機関車には1,000ドルの金庫と、それを守る保安官が!
アクションカードの種類は……
・移動
・昇降
・格闘
・射撃
・金品を巻き上げる
・保安官を動かす
で計10枚。そして、最初の手札は6枚となります。
他に弾丸が6発。
一番弾を減らしたプレイヤーはガンマンとしてボーナス1,000ドルが貰えるので、積極的に撃っていきたい。
初期配置(侵入)は最後尾車両(車掌車)から!
カーブとかでスピードを落としたところで、馬で追いついて飛び乗ったりする……そんなシーンがあったに違いない。
ゲームは5ラウンドにわたって行われ、毎ラウンド何アクション行うのか、どんなイベントが起こるのかを決めるラウンドカード4枚と、駅カード1枚で毎回展開が変わります。
ワクがカードをプレイする機会を表しています。
ゲームの手順は簡単で、まずラウンドカードを表にしてこのラウンドの内容を確認。
最初の手札は6枚で、スタートプレイヤーから順番に、アクションカードを表向きでプレイするか、カードを3枚引きます。
つまり、先に動く人の行動を見てから自分の行動を決めれるわけ。
ですが、手札は6枚しかないので、都合よくベストなアクションが行えるわけも無く……そこが思案のしどころとなります。
こんな感じでどんどん重なっていく。自分の行動ですらどう計画したか忘れそうになる……
しかも、いつもいつも表向きに1枚カードをプレイするわけではなく、トンネル通過時には裏向きにカードをプレイしたり、加速時には2枚いっぺんにプレイしなければならなかったり、カードをプレイする順番が逆周りになったり、1ラウンドのターン数が短かったりします。
カードをラウンドカードの既定枚数置いたら、アクション開始!
一番上が一番最初におかれたカード。
つまり、計画した順番に解決していくわけ。
《移動》では車内では隣り、車輌の屋根では3つ先まで動けます。”
《昇降》は同じ車輌で、車内から屋根に上ったり、屋根から車内に戻ったり。
《格闘》を選ぶと、同じ車輌の一人を選んで持っているお宝を1つそこに落とさせることができます。加えて、殴られると反動で1車輌ぶん吹っ飛びます。
《射撃》は、車輌内なら隣りの1人、屋根では見えている1人を選んで弾丸カードを渡します。
この弾丸カード、次のラウンドからデッキにはいりますが、アクションに使えない邪魔なカード。ドミニオンで言うところの《呪い》みたいなものでだんだんデッキが重たくなっていきます。負傷をして動きが鈍くなるのをうまく再現しているわけです。
アクションカードを出す代わりに、カードを3枚引く選択をいつすべきか……撃たれれば撃たれるほど、悩ましいことになります!
《金品を巻き上げる》と、今いる場所にあるお宝のトークンを1つ、中を見ないで取ることができます。
《保安官》は保安官を1車輌分動かせます。強盗が保安官に遭遇したら、ただちに弾丸(流れ弾)を1枚もらって、その車輛の屋根に移動します。
保安官はゲーム中、たおされることは無く、このアクションをうまく使って、他のプレイヤーを邪魔したり、1,000ドルの金庫のことをちょっと忘れてもらうわけです。
ラウンドカードにイベントが描かれていたら場合は、アクションがすべて終わった後で解決。
乗客が反撃して来たり、急ブレーキで前の車輌に吹っ飛ばされたりと毎回いろいろなことが起きたり起きなかったり。
しかも、『殴られると移動する』と言うルールがかなりピリッとくる良ルールで、カードを置いて計画しているはずなのに、実際の立ち回りの予測が難しいものになるのです!
……と、ルールはシンプルで、プレイは簡単。
しかし、そのアクションの解決時に、強盗たちが華麗で手に汗握る波乱万丈な展開にを見せることになるのです!
しかも、この悪党どもは全員特殊な能力を持っています。
例えば、神出鬼没の男、ゴースト(白)は、その名の示すように、最初のアクションカードを伏せて出すことができます。
ドク(青)は、抜け目のない頭脳派で、手札は6枚ではなく、7枚です。
シャイアン(緑)は《格闘》を選んだ時、持っているものを落とさせるのではなく、財布に限りスリ取る(つまり、列車に置かずに直接いただける)事ができるます。
この能力の違いが、実に西部劇らしい、ドラマチックな展開を生み出すわけです!
さぁ、5ラウンド後に一番金品を巻き上げるのは誰なのか?!
組み立て式列車の見た目もよいし、ルールは簡単でプレイは悩みどころもあり、アクションを解決しているときのごっこ遊び的楽しさ(おもちゃクラスタで言うところの「ブンドド」感!)に、ドラマチックな展開とプレイ時間の短さ。
遊ぶ人を選ばない、かなりゲームとしてオススメ要素がそろった良ゲームですので、西部テーマということで敬遠しているのであれば勿体ないと断言いたします。
もちろん西部モノが好きな人には手放しでお勧めですし、西部劇を見たことが無いという人には、プレイに前に『ローンレンジャー』や『大列車強盗(ちょっと古いかな?)』などで予習しておくとかなり盛り上がるので、オススメいたします。
コルト・エクスプレス
プレイ人数:3-6人
対象年齢:10歳以上
プレイ時間:40分
製作:Ludonaute
デザイン:クリストファー・ランボー
価格:5,000円+税
なお、プレイに全く関係ない情景パーツがいくつかついておりますが、ゲームの製作のギリギリ最後のほうで、打ち抜きシートに余白があったので入れたとか。
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