わりと知られてないことですが、我々がゲームをメーカーに発注する時点で、実はゲームが全然完成していないということはよくあります。
ひどいと、翻訳用に送られてきたデータと、仕上がってきたモノが違うとかもあるわけです。
最近だと『星の王子さま ボードゲーム』。
トークンのことは日本語版のルールには一切書かれていませんが、あれも後から思いついたので入れたんだとか……
念のため。
アレは箱の裏の得点計算トラック用ですが、暗算の得意な日本人にはあんまり必要ないんじゃないか?
ですが、中には試作品(というか自作品と言うか)をくれるところもあります。
これとか。
ほとんどの人が見たこと無いし、めったに表に出ることは無いのですが、こういったものがあるといろいろ評価もしやすくなるわけですな。
手作り感満載。
と、いうわけで今回紹介しますのは製品版の
ルーム25
です。
試作品が評価の役に立ったのかと言うと……試作品など見るまでもなく「イケル!」だったんですがね。
思いっきりルールブックに「映画『キューブ』や『バトルランナー』や『トロン』等のSF映画にヒントを得ています」と書かれているくらい、そのまんまです。
『ルーム25』は今お茶の間で話題沸騰・高視聴率の視聴者(強制?)参加型のリアリティ番組。
出演者である「プリズナー」は、5部屋×5部屋で区切られた、死に至る罠のある部屋をかいくぐって、たった一つの脱出路である「ルーム25」から制限時間内に逃げ出すという内容。
制限時間が過ぎると迷路内の空気は抜かれて窒息死必至。
しかも番組の内容は全員で協力して脱出するものや、ペアで先に逃げ出せたものだけが助かる、チーム戦、仲間の中に番組側の仕込みの「ガード」がいる、などなど毎回飽きさせることがありません。
最初、プレイヤーたちがいるのは中央の部屋です。
プレイヤーたちは見た目がいろいろありますが、キャラクターごとの特殊能力は特にありません。見た目で選ぶべし。
因みに全員胡散臭い秀逸なデザイン。
脱出できる『ルーム25』は四隅の12枚のタイルのどれかに入っています。
待ち受けるワナは…
水がたまってきて、この部屋には外から入れなくなるうえに次のラウンドの最後までに逃げられないと溺死。
2人目が入ってきたら先にいた人が押し出されて酸のプールに落ちて即死。
等々、ほかにさまざまな罠が。
キャラクターシートに罠一覧があるのですが、文字サイズ的にシールは断念……覚えてしまうと全くいらないのですが、ルールの部屋一覧をコピーするとよいでしょう。
プレイヤーは毎ラウンドアクションを1~2回行いますが、全員一斉にプロットして、第1アクションから時計回りに解決し、次に第2アクションを時計回りに解決します。
アクションは、「隣を覗く」、「移動する」、「誰かを押す」、「部屋をずらす」があり、1ラウンドにはいずれかを1アクションずつ、計2アクションしか行えません。
隣を覗くと、隣のタイルの内容を自分だけ見ることができます。
この時具体的な内容はほかのプレイヤーに言うことはできません。
「危ない」とか、「直ちに影響はない」とか、その程度しかいうことはできないのです。
そして、正しい情報を伝える必要もないわけで、タイルもおそらくわざと部屋の名称が描かれていないし、間違ってもおかしくない絵になっています。
移動する、はイメージ通り。
隣の部屋タイルにコマを動かして、部屋タイルが表向きになります。
誰かを押す、は同じ部屋のほかのキャラクターを強制的に移動させるアクション。
時間制限がある、毎ラウンド移動アクションは1かしかできない……ゆえにこのアクションをうまく協力して使うのが生還のカギでもあるのですが、『ついつい』間違って押したり、殺す気満々で押したりすることも……
部屋をずらす、は今自分がいる部屋を縦横いずれかの方向へずらすもの。ただし、中央の開始部屋が含まれる列は動きません。
映画『キューブ』のアレです。
ずれて外に出た部屋は、反対側に移動します
脱出するには、味方が全員が脱出口であるルーム25にいる状態で、5×5の範囲の外へ部屋がずらされる必要があります。
ゲームのモードは……
時間と配置と内なる敵がいる(かもしれない)「疑念」、2チームに分かれて敵チームを皆殺しにするか味方だけ脱出する「チーム」、2人一組で逃げなければならない(そしてほかの組は敵)の「協力」などなど、お茶の間の皆さんが盛り上がることこの上ないバラエティさ。
疑念モードはガード側がいつ正体を現すのかの駆け引きも難しく、チームモードは『バトルロワイヤル』ばりの殺伐さ加減。
自分のキャラクターが死ぬと脱落なのですが、そこはお茶の間の視聴者気分で観戦したり、ツッコミを入れたり、アメリカのシチュエーションコメディとかの背景の笑い声をやったり、司会者風に解説を入れて遊ぶのが楽しいかと思われます。
また、部屋タイルの配分比を変えたり、制限時間をいじったり、簡単な工夫で難易度を変更したり、新たなモードを考え出せそうな柔軟さもあります。
とくにヒントにした映画のファンの方や、短時間で終わる協力型ゲームが欲しい人、気軽に殺ろうよという方にはかなりオススメです。
ルーム25(Room 25)
プレイ人数:1-6人
対象年齢:8歳以上
プレイ時間:約30分
製作:Matagot
デザイン:フランソワ・ルーズ
価格:3,800円+税
因みに在庫少な目で、アメリカとフランスから在庫をかき集めて何とかなったのですが、現地では品切れ。
次の再生産は7月になりそうなのでお早目に。
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