でもこのゲーム、
「自然はおまえらの死なない程度、十分毎年食わせてくれる」
わけではありません……。
と言うわけで、今回ご紹介いたしますのは、アメリカのTVドラマでもおなじみ、『大草原の小さな家』の舞台ともなったミネソタ州開拓をテーマにしたボードゲーム、
ウォルナットグローブ開拓史
です。
ちなみに日本語タイトルを『大草原の小さな家』にちなんだ名前にしようと思ったのですが商標取られてたぜ!!
ハコにもあの夫婦っぽい人の絵。
プレイヤーは、ミネソタの大草原(プレイリー)の開拓を政府から許された開拓農民となって、小作人を雇って何も無い大地を拓き、町で産物を売って農場の設備をそろえて、厳しい冬を越していきます。
8年間が過ぎたときに、最も得点の高い、成功した農場を拓くことができたプレイヤーが勝者です。
さて、このプレイヤーの農場ですが、こんな感じからスタート。
パターンは2種類あります。
プレイヤーは地主で農場主ですが、当然コレだけの広い土地を一家族でやりくりするのは無理なんで、馬車暮らしの小作農の家族を雇ってます。
プレイヤーは彼らを養いつつ、農場を広げるわけです。
あと、あるのは納屋と、納屋の中にはお金(コイン)。
コインは支払いの時のオールマイティ産物と考えるといいでしょう。
この小さな農場から、8年にわたる開拓生活が始まるのです!
ゲームは1ラウンド=1年で、1年は4つの季節=フェイズに分かれています。
重要なのはこの暦ディスク。
毎年色々と開拓条件が変わります。
土地を開きやすかったり、特定の産物の値段が上がったり、いずれかの種類の産物が豊作になったり、冬が暖冬だったり厳冬だったりするのです。
ラウンドの開始時にコレをめくって今年がどんな年になるのかを表示します。
ゲームの流れは季節に沿って進みます。
●母さん 今日も雲がきれいです
春は開墾の季節です。
それぞれ暦タイルに書いてある枚数の土地タイルを袋から引いて、同じく描いてある配置枚数だけ配置。
このとき、土地タイルの地形につながるように置かなくてもいいのですが、つながっていたほうがお得。
●それに比べてお前はダメだ。父さんの手助けを何もしていない。
夏は労働と収穫の季節です。
産物は、魚、穀物、木材、石材、乳製品の5種類あって、それぞれ池、畑、森、山、放牧地に対応しています。
そして自分の農地の「地形の区画」に、労働者を送り込むと、その「地形の区画」を構成しているタイルの枚数に等しい個数の産物が生み出されます。
この農場だと石材なら3個。
乳製品だと4個…ですが置く場所が無いので、余った分は納屋が空いていれば納屋に置くことができます。
産物はいつでも農場から納屋にしまえますが、その逆は不可ですので、要注意。
●つぎつぎに物を買うぜいたくなウォルナットグローブ
秋は商売の季節です。
ここでプレイヤーはウォルナットグローブの町に集まります。
町では新しい使用人を雇ったり、農場の設備を買ったり、産物を現金化したり、足りない産物を入手したり出来ます。
秋だけはプレイヤーのプレイ順が重要になります(他の季節は同時進行でもホボ問題なし/他の人の処理の後にやりたいのは春くらいかな?)。
既に他の人がいる建物は使うことができませんし、時計回りに町を回って使いたい建物に行くときに、税務署と教会の慈善市の前を通ったらお金を払わなくてはなりません。
●だけど僕の体質にはミネソタは合わないと思われ……
冬になったら農場の維持費を払います。
ちなみにミネソタはアラスカを除くとアメリカ最北の州。
ミネソタ空港で見たノリは北海道と同じ感じで、「自然がイッパイ!」アピールをしている感じでした……
そして当然北海道同様に気温もぐっと下がるし、雪もドカドカ降る地方なわけで。
維持費は農場主である自分の分は不要なのですが(!)、使用人である小作農の食事と暖の手当てはしなければなりません。
食事は使用人の種類別に、魚、穀物、乳製品と特定のものを払う必要があります。
維持費は暦タイルによって上昇するのですが、開墾と町での買いつけに失敗すると、とんでもなくカツカツな状態になります。
ちなみに、全てのタイミングで支払いが出来なかった場合、1個につき1枚の近隣の援助トークンと言う名のマイナス点トークンを1枚受け取ります。小作を死なすことは無いのですが、借金漬け。
これは産物を3個払うことでいつでも返却できるのですが……1枚だけならいいのですが、2枚目を受け取ったら2枚目は返却不能の借金に変わってしまうのです!
コレを8年間続けるのです……厳しい冬に薪が無い厳しさとか、不作の年の食事が無いひもじさとか、農場主はいいけど小作は大変だな!!
豊作でも納屋が無いために産物無駄にしたりする場合もあるし、色々やってられません。
●あの灯の一つ一つに、それぞれがそれぞれの大晦日を迎えてる
そして8年が過ぎたら得点集計。
配置した土地タイルでの得点や、雇った小作人コマ、稼いだお金、町で買った農場の設備によるボーナスで得点が決まります。
もちろん、援助トークンはマイナス点。
プレイヤー間の相互干渉があるのは秋の買出しだけなのは、隣の家まで馬車で行く距離なのである意味リアル。
しかも、その秋での行動が農場経営を楽にしたり、ボーナス点に関わるので、このピンポイントでのほかプレイヤーとの駆け引きはかなり重要だったりするわけで。
テーマは同社のアグリコラと同じく農場開拓ですが、こっちはルールもたったの4ページで、プレイヤーがしなければならないことも少なく、プレイ時間も1時間程度とかなりお手軽な感じ。
このフィンランド人デザイナーの癖かもしれませんが、言語依存も無くて特に新しい要素は無くてシンプルなのに、テーマの雰囲気的にもバランス的にも良く出来たゲームとなっています。
ちなみに「大草原の小さな家」のモデルでもある作者の家はどっちかと言うと農場経営に失敗したので、ゲーム中の小作の側か負けたプレイヤーの側だね。
農場経営ゲームはしたいけど、アグリコラは時間はかかるし……と言う方とか、タイルを置いて農地が広がることに快感を覚える方、シンプルなルールでカツカツなリソース管理が好きな方、開拓農家出身者のアナタにオススメです。
ウォルナットグローブ開拓史(Welcome to Walnut Grove)
デザイン:トウコ・タコカリオ、パウル・ラーン
プレイ人数:1-4人
対象年齢:10歳以上
プレイ時間:30-60分
制作:Lookout Games
価格:6,000円+税
※ゲームの準備の項に誤記が見つかりました。なう。
4)~6)の準備のときに、コマやタイルを置くのは「スペースにつき○○個」ではなく、「建物につき○○個」です。