GAME JAPAN特選ゲーム「チャイナタウン(Chinatown)」


今回は、復刻された平和交渉ゲームの代表作「チャイナタウン(Chinatown)」を紹介します。

このゲームではプレイヤーは中国からの移民の一人となり、1960年代のニューヨークの中華街でビジネスを行います。建物を手に入れ、店舗を展開し、他のプレイヤーとの交渉によって商売の規模を拡大してより高い収入を得るのがこのゲームでの目標です。

このゲームは以下の順番で進行します。
1.建物カードを配る
2.店舗タイルを引く
3.トレード
4.店舗タイルの配置
5.収入を獲得

1.建物カードを配る
ゲームボード上のチャイナタウンでは、1~85までの数字が書かれた建物が6つの地区に分かれています。開始プレイヤーは建物カードを各プレイヤーに配り、プレイヤーは受け取ったカードから数枚を捨てて残りを手に入れます(配る枚数、捨てる枚数はプレーヤー数による)。
建物カードにも1~85までの数字が書かれており、プレイヤーはカードを公開してボード上の対応する数値のマスに所有権マーカーを置きます。

2.店舗タイルを引く
各プレイヤーは布袋から店舗タイルを引きます(引く枚数はプレイヤー数による)。店舗タイルは12種類あり、当時のチャイナタウンでよく見られた業種のお店を表しています(下の写真参照)。右下の数字はその商売の上限規模です。全員が引き終わったらタイルを同時に公開し、トレードを開始します。

3.トレード
このフェイズで、プレイヤーは建物の所有権、店舗タイル、紙幣カードを自由に他のプレイヤーと交換することができます。同時に複数のプレイヤーでトレードしたり、他人の交渉に介入することも可能です。さらりと紹介しましたが、これがこのゲームにおいて最も重要な部分です。

4.店舗タイルの配置
開始プレイヤーから順番に、自分の店舗タイルを所有する建物に配置していきます。ただし、配置は計画的に行わなければなりません。商売の規模を大きくするためには同じ種類のタイルを隣接して置かなければならず、一度置いたタイルはその所有者が変わろうとも取り除くことはできないのです。商売の規模は収入の多寡に直結するので、やみくもな配置は禁物でしょう。

5.収入を獲得
各プレイヤーは自分の商売に応じた収入を得ます。収入は、商売の規模と状態(完成または未完成)によって決まります。タイルの右下に書かれている上限規模に達した商売は完成した商売とみなし、より多くの収入を得ることができます。しかし上限未満の規模の商売は、未完成の商売分の収入しか得ることができません。

例.下の写真の場合、赤のプレイヤーのTropical Fish(熱帯魚屋、上限規模4)「規模3の未完成の商売」とみなし、$40,000しか得ることができません。トレードで右下の建物の所有権を手に入れた場合、これは「規模4の完成した商売」となり$80,000を得ることができます。

全員が収入を獲得したらラウンドは終了となり、円形カレンダー上の年表示マーカーを1年分進めます。
6年目(第6ラウンド)が終わった時点でゲームは終了となり、最も所持金額が多いプレイヤーが勝者となります。

以下に、プレイしてみての感想をいくつか挙げます。
今回は普段ボードゲームに馴染みがない友人たちとプレイしたのですが、一様に「楽しかった!」という感想をもらいました。初心者にもわかりやすいルール、自由度の高いトレードがその要因かと思います。最初は何もないチャイナタウンが、徐々に賑わっていく様はなかなか壮観でした。
そして「平和」交渉ゲームと銘打っているだけあって、トレードがギスギスせず終始楽しく行えたのも印象的でした。互いに協力し合ったほうが(勝ち負けはともかく)収入は増えるというゲームの方向性のおかげかと思います。収入をきっちり計算する人、大胆なトレードを狙う人、相手の妨害を図る人、交渉材料の乏しさに苦労する人(これは私でした)とプレイの方針も様々で、6年間はあっという間に過ぎていきました。
結果ですが、ゲーム中盤でLaundry(洗濯屋、上限規模5)を完成させた人が危なげなく逃げ切って勝利。一人だけ段違いの収入を上げていました。かく言う私はというと、なかなかつながってくれない建物に四苦八苦しながらも終盤でFactory(工房、上限規模6)を完成させ、なんとか2位にすべりこむ事ができました。序盤で打算的に店舗タイルを配置してしまったのがよくなかったです。店舗タイルは配置しないと収入になりませんが、いったん置いてしまうとその建物の所有権を交渉材料として使いづらくなってしまうので、そこが一番の思案のしどころでした。

終了時のボードはとても賑やか。黒のプレイヤーが勝利を収めました。

店舗がつながっていく過程がとにかく楽しいので、交渉系のゲームは苦手という人にもお薦めできます。全てのプレイヤーがある程度の収入を上げることができ、大負けしにくいゲームバランスも絶妙です。秋の夜長に、気の合う仲間と力を合わせて?アメリカン・ドリームを目指してみるのはいかがでしょうか。

商品名:チャイナタウン(Chinatown)
プレイ人数:3~5人
プレイ時間:約90分
製造元:Z-MAN Games
デザイナー:カルシュテン・ハルトヴィヒ
価格:¥8,400+税