今回ご紹介するのは、アプリを使用して冒険を繰り広げる、RPG風ストーリードリヴンボードゲーム、
ストーリードリヴン……「ゲームの展開の主要な要素は物語である」くらいの意味か?
世界観的には、中世暗黒時代のおそらくフランスあたりで、教会が権威をふるい、悪魔は荒廃した世を徘徊し、魔女は森に棲み、天使が顕現して人々に試練を与えるというもの……ネタバレになるのでルールブックのイントロダクションを引用しよう。
預言者たちは、死の天使と、世界の終末をもたらすための地上への降臨について説いた。
曰く、その到着を告げる前兆があると。罪深き者に神罰が降りかかり、それと共に、黙示録の封印が一つずつ解かれる。飢饉、疫病、戦争が大地を荒廃させていくが、それでもまだ希望はある。
天の定めと絡み合う宿命を持つ、一握りの選ばれし者たちは、その厳しい試練を成し遂げ、諸人に罰と救済の両方をもたらす力を与えられる。その者たちの行いは、死すべき定めの者の、意志と強さの証となるだろう。
害獣が果物と穀物を喰らい尽くし、疫病が貴きも貧しきも等しく打ち倒し、聖なる乙女が己の敵に戦火をもたらす……死の天使は全てを見届け、そして審判を下す。願わくば、それら運命づけられし魂が価値の認められんことを、さもなくば……全てが焼き尽くされるであろう。
この終末感!!
コンポーネントをまずお見せすると……
フィギュアぎっしり
自キャラ、NPC、そして敵が合計31体。
アイテムとキャラクターのカード
アイテムは総数150枚!
キャラクターカードは15枚あり、裏面はそのキャラクターがたどり着かなければならない「運命」が記されています……ゲーム前に読むとネタバレになるので最初は読まないでね!
プレイヤーボードはダブルレイヤー
技能トラックには技能マーカーを置いて、各キャラクターの能力値を表す。左にあればあるほど成功しやすい。
HPの類がない点に注意。物語は悪い方向に転がることはあれど、死んだりしないので存分に物語を楽しめます。
マップタイルもどっさり67枚
ゲーム中、いずれかのキャラクターが移動すると表向きになり、隣の地域に新たなマップタイルを探し出して配置するよう、指示がアプリでなされる。
トークン類も盛りだくさん……
トークン類は結構厚いので、豪華感がある。
コインはお金。物を買ったり売ったりわいろに渡したり。
重要地点マーカーは、シナリオ中に登場するいろいろなスポットに置かれます
経験トークン……消費することで、キャラクターが成長します!
売り買いトークンは、売り買い用のカードデッキと場所を対応させて表示させるため、同じ物が2枚一組になっています。
特殊ダイス
大きいダイスが標準ダイスで、紫の小さいダイスが集中ダイス。
使用するアプリは以下のサイトから入手できますので、二次元バーコードを認識できる端末にDLしてください。
なお、シナリオはDLしてプレイするので、プレイ中はネット環境は不要です!
STEAM(外部リンク)
Googleplay(外部リンク)
App Store(外部リンク)
※端末は画面が大きい方が良いです。
ゲームに含まれているシナリオは以下の5編
《野生の本性》
真冬の町で、怪物が獲物を狩る。呪いと黒魔術のささやきの中、怯えも隠れもせず、“ビースト”と対峙すべく夜の闇に飛び込む者たちがいた。果たして彼らを待ち受ける運命とは?
PCは貴族、魔女、狩人
《飢えたる者の宴》
おびただしい数のネズミが現れ、全てを喰らい尽くして進む。やつらを止めない限り、群れの容赦ない攻撃で食料の蓄えが減っていき、待っているのは飢餓だ。この地に害獣をもたらした闇の勢力とは?このような敵に立ち向かえる定命の者とは?
PCは兵士、尼僧、木こり
《これぞ彼女の征服なり》
かつて安全を約束していた城壁は、都市が疫病に襲われた時に檻と化した。誰も彼女の手から免れることはできず、そして、運命の預言者たちは神罰の言葉を広める。彼らが正しいのだろうか?それとも、まだ希望はあるのだろうか?
PCは衛兵、破壊者、救済者
《鉄と血の花嫁たち》
戦争の炎が大地を焦がし、世界の終わりを告げる予言が溢れる。血塗られた戦場で軍と軍が激突し、流血の中、わずかに選ばれし者たちが奇跡の力を授かる。その者たちに課せられた役割とはいかなるものか?
PCは高潔なる者、敬虔なる者、賢明なる者
《全ては焼き尽くされる》
死が地上を闊歩する。飢えた虚無が、残されたわずかな光を貪り食う。予言されたとおり、“世界の終わり”が来たのだ。確かに、この世界は救いようがない。それでも、運命に導かれた一握りの者たちは、まだ屈してはいない。古代の力は見守っている;果たしてその審判がまだ揺らぐことはあるのだろうか?
PCは非情なる者、不信心者、臆病者
それぞれ2-3人プレイ向けの通常モード、ソロプレイでタイムリミットありの挑戦者モード、ソロプレイでタイムリミットなしの探検家モードからプレイモードが選べます。
※2キャラvs2キャラの4人でプレイできる運命の絆モードは、“Destinies: Bound By Fate”拡張(日本語版未発売)が必要ですが、仕様上アプリは翻訳されています。
《野生の本性》以外は連続したシナリオとなっており、単独でもプレイできますが、できれば順番にプレイすることをお勧めします。
キャラクターは2つの運命が裏に記されている……表面には対応した二次元バーコードが記載されており、プレイヤーはこの「運命」のいずれかを全うさせるのが目的。
運命はキャラクターを選んだあとで見よう!
初期装備とパラメーター以外に、コイン1枚とダイス2個、集中ダイス3個を受け取る。
集中ダイスは最初はプレイヤーボード外に置く。
アイテムは置ける枚数に上限があるよ。
準備が済んだらアプリで準備OKを押す。
最初にセットアップの指示があるので、マップタイルとPCおよびNPCのフィギュアを配置。
移動の結果、重要な場所に指示があるかもしれない……マーカーを置こう(写真を撮り忘れましたが、実際のマップにマーカーを置きます)。
訪問先を決めたら選択肢がいくつか出る。
テストが必要な場合はダイスロールをする。
(ちなみの能力値は上から知性、敏捷、体力)
ダイス2個ともし使うなら任意の個数の集中ダイスをロールして……
合計値を見る。
マーカーの個数が成功度だ。
ダイス目に「成功度」が含まれる場合があるぞ。この場合は6で1成功、集中ダイスで1成功だ!
アイテム所持数は5個までなので、持ちきれなくなったらいずれかのアイテムを落とすこと。
ゲームボードわきに置いて売り買いマーカーでどこにそのアイテムが落ちているのかの表示をする。このアイテムは、そこを訪れたPCがアクションなしで拾える。
これは商人の売り物も同様……アプリ上で売っているものリストが出されるので……
経験点を得たら、いつでもそれを消費して技能マーカーを合計2マス左に動かせる。
「ターン終了」をタップしてターン終了。
……このように、ルールも実際それほど複雑ではなく、ゲームも進行はアプリでサクサクとしていて、プレイヤーたちは待ち受ける物語に没頭できます。
コンポーネント的には豪華な内容ではありますが、ゲームブックの系譜であり、物語主導の作り(しかもテキスト量はたっぷり)。
ゲームはいち早く自分の「運命」を見つけるのが目的であり、プレイヤー間での相互干渉はできません(できてしまうと、「運命」を求めるより先にほかのPCを排除し始めてしまうので、そりゃできないよなぁ)。
プレイ人数は最大3人と、回数を重ねてキャンペーンプレイするのに集めやすい人数となっており、またソロプレイも可能。
この手のゲームで必要なゲームマスターはあなたのタブレット!
そして待ち受けるのは、信仰心と道徳心、己の欲望と自己犠牲心などが試される冒険!
さっと人を集めてボックスを開ければ、あっという間にこの世界の冒険を始められるプレイのしやすさ!
手軽に冒険を楽しみたいけど普段時間がないという、RPGやゲームブックに親しんできた人にはかなりオススメいたします。
デスティニーズ
プレイ人数:1-3人
対象年齢:14歳以上
プレイ時間:120-150分
製作:Lucky Duck Games
デザイン:ミハウ・ゴウェンビオフスキ、フィリップ・ミウニスキ
価格:各9,000円+税