ミニチュアを使用し、モジュラーマップを使ってダンジョンを生成して、迷路を探索して敵を倒して目的を果たす「ダンジョン探索モノ」のボードゲームは、D&Dの誕生後に「RPGをボードゲームに落とし込む」という形で色々出版されてきましたが……
アローン
もそんな「ダンジョン探索物」のゲームとなります。
ただし、そのほかの作品と大きく違っているのは「探索者側が一人」であるということです。
『アローン』のテーマは「異星生物が徘徊する迷路の中を生存をかけて探索する」という、映画「エイリアン」などでおなじみのものとなります。
そして……探索者は一人ですが、残りのプレイヤーは協力して、一人探索する「ヒーロー」の抹殺を計ることになるのです!
時は2417年。星間航行の手段を得た人類は、宇宙に版図を広げていた……
遥か深宇宙、外宇宙インド会社宇宙船団の連邦宇宙船OICS ブレイヴァリィ号が、からす座デルタ星系に位置するポルトガルの植民星ノヴァ・マプトへの航路上にある未知の惑星に難破した。墜落の後、ブレイヴァリィ号の置き去りになった乗組員が、放棄された殖民星で、たった一人で目覚めた。
言語に絶する恐怖が暗闇に潜み、待ち受けている。仲間である乗組員の居場所もわからず、わずかな道具と自らの知恵だけを武器に、この予期せざるヒーローは自分の命を守るため戦わなければならないのだ。
……というシチュエーションから始まるのですが、ゲームはキャンペーンシナリオとでのプレイとランダム生成の目的を使用してのプレイとが選べます。
探索者となるヒーローはプレイヤー1人、残り3人までのプレイヤーがこの遺棄された殖民星の異星生物側であるエネミーを担当します。
準備
ヒーローには各種早見表、数値管理用のヒーローボードと各種マーカー類が渡され、シナリオの難易度によっては初期アイテムをもってゲームを開始します。
装備(あれば)の上にはチャージトークンが置かれています……これは使用回数を表示するもの。
(チャージトークンはそのほかいろいろな用途がある汎用トークンとなっております)
体力と精神力は12ずつ……これが尽きると、ヒーローは敗北します。
ミッションカードは3種類あり、青と緑と赤のものを1枚ずつ引きます。
最終ミッションは赤いもので、青か緑のいずれかを達成するとセットアップされます。
これを達成することで、ヒーローは勝利します。
プレイヤーボード上にも、どこがミッション目的地なのかを表示しておきます。
一方、ついたてを隔てて、エネミープレイヤーたちの準備が行われます。
マップは6×4区画が2枚……これは階段でつながっており、裏表上下の組み合わせをランダムに決めます。また部屋もランダムに決定します。
(ミッション目標の部屋を確認して、近すぎないように2部屋を入れ替えることが許されています。)
1フロアに階段は2か所、LCU(電源管理ユニット)は4か所、部屋は4か所あります。
そして今ヒーローがいる通路にはヒーロートークンを、ミッション目標の部屋か隣接する区画2か所にクリーチャー1体ずつを、各階層に潜在的に危険があることを示す危険トークンを2つずつ配置します。
があり、またミッションによっては「ボス」が登場する場合があります。
・ボスの面々
準備するデッキは内容が異なる4種類の中から2つを用意します……プレイ人数によって、どのデッキから何枚引くか決まります。
精神的に追い詰めたり、殴るのが得意だったり、移動させるのが得意だったり……
このように、エネミー側が準備し、罠を張り巡らされた迷宮を、ヒーローは手探りで探索しなければならないのです!
エネミーのマップと比べてみてください……ヒーローの初期状態はこのようになります。
ゲームの進行
ゲームの進行はヒーロー側がターンを進行を管理し、進めることになります。
ターンはこちらのトークンで管理……裏返すことでターン消費。
以下のいずれか1つのアクションを実行します。
・移動:隣の区画にフィギュアを動かします。まだタイルが置かれていない場合は「区画が公開」されます……そこにある物がすべてがヒーローに伝えられます。
この時、クリーチャーに遭遇した場合は精神的なダメージを受けてしまいます!
北にある部屋に移動したので、指令室が公開された……目的を実行するには、そこに危険があることを予測しながらも進まなければならないのです……
・探索:今いる区画から直線で隣接する2区画を公開し、加えて危険トークンを1つ取り除きます。移動せずに先をうかがう慎重アクションなのですが、貴重なターンを消費することと天秤にかけなければなりません。
西を探索してみたが、突き当りで1区画しかなかったようだ……
・走査:今いる場所から2つまでの目標を指定して、距離・階層を測定します。たとえば部屋の種類、敵の種類などです。うまく使って目標までの最短ルートを取りたいところです……
ここからLCUの距離は2、寝室までの距離は4、階段は2だ……クリーチャー側は正確な情報を伝えなければならない。
指定できるのは2つの目標だけなので慎重に!
・戦闘:今いる区画に敵がいたら、1体を指定して攻撃できます。
ダイスを2個ふって判定するのですが、負傷させるには一度にクリーチャーの体力分のヒットを与える必要があります。クリーチャーは負傷2階で倒せて、同じクリーチャーを2回倒すと経験を獲得して能力が解放されます。
スポアーの負傷値は1/1だ……1ヒットで1段階負傷、もう1ヒットで倒すことができる!
出た目はヒット1だった……明るい場所なら[!]の目もヒットだったのに!
・回収:通路や部屋でアイテムを1個探すことができます。部屋なら1回だけさらに2個探し出すことが可能です。
見つけたアイテムにはチャージトークンが3個置かれ使用可能回数を表示します。加えて、アイテムからパーツを外して別のアイテムに合わせることで強化できます。
《最新型レーダー》からは電子部品が取れる……《火炎放射器》の強化には電子部品が必要だ。チャージトークンを一つ取って裏返しで置き、強化したことを表示する。なお、ヒーローは7枚までしかアイテムを持つことができません。
・作業:目標の部屋でミッションを完了させたり、LCU(電源管理装置)ある場所なら直線で隣接する2区画の照明を点灯させることができます。
なお、照明が付いているとエネミーは圧倒的に弱体化しますので、照明は積極につけていきましょう……ただし、敵クリーチャーは移動終了時に照明を消してしまうことができるのをお忘れなく。
北西の角の通路にあるLCUを「作業」で使い、南の通路の照明をつけた……
アクションを使うときは、アドレナリンを使用して2アクションを実行することもできます。
アドレナリンは、ヒーローが窮地に陥っていればいるほど(ie.精神力や体力が低くなっていればいるほど)ラウンドの最後に多く補充されます。
これらの、アクションを駆使して、最初のミッション(緑か青)を達成すると最終ミッションが発動します。最終的にはこの最終ミッションを完了させることを目指すのです!!
一方。
これらの行動に対して、エネミーは『即時リアクション』でリアクションを行うか、ターン終了時にリアクションを使用できます。
リアクションは1ターンに2枚まで出すことができ、使用したらリアクショントラックに置かれます。リアクショントラックは9スペースしかありませんので、いつどのリアクションを使うのかが重要です。
2枚目はリアクショントラックに横向きで(つまり2スペース埋める形で)置かれますので、畳みかけるときには有効ですが、プレイできる枚数が減ってしまうので要注意。
またヒーローががアクションを行った場所に危険トークンがあれば、リアクションが強化されます。
即時リアクションは「探索した時」「戦闘した時」「ヒーローが体力ダメージを受けた時」など使用条件が異なるので、ここぞという時に使用することが肝要……
即時ではないリアクションの中には、ヒーローのアクションの種類のほかにそのリアクションを使用できるクリーチャータイプが指定されているものもあります。
また通常リアクションとして、裏向きで出すことでクリーチャーを出現させたり移動させたりもできます。
なお、この時「音」が発生し、「どちらから聞こえてきたか」をヒーローに告げる必要があります。
スポアーはヒーローから3マス以上離れたところに出現させることができる……「南から音が聞こえた」
また、このターンの最後に、ヒーローと一緒にいるクリーチャーはヒーローを攻撃します。
また危険トークンがあれば、この時攻撃を少し有利にしてくれます([!]の目がヒットになります)。
……このようにターンを繰り返して8ターン過ぎたら1ラウンド終了です。
ターンマーカーは戻り、アドレナリンを回復し、リアクショントラックはリセットされ、エネミーは手札を補充し……などします。
ここで重要なのは、ヒーローのいる区画と隣接する区画と視線の通っていて照明のついている区画以外の区画は取り除かれるということです。
また、エネミー側はリアクショントラックの開いていたスペースの分だけ危険トークンを置くことが可能です。
(リアクションをしないという選択肢もあり……)
そしてとくにラウンドの延長などが起きなかったら(難易度によってはミッションの達成で1ラウンド延長する)3ラウンドが過ぎたところでナイトメアモードに突入し、クリーチャーが強化されてしまいます!
このように――なるべく速やかにヒーローはミッションを達成しなくてはなりません。
一方、エネミーたちは時間が長引けば長引くほど、ターン、体力、精神力などのリソースを少しずつ削ぎ落し、勝利できるでしょう。
ゲームの内容的には、派手な戦闘があってクリーチャーをぶち殺しまくるというよりは、どこから現れるかわからない得体のしれないクリーチャーをしりぞけて目標を達成するという内容になっており、どちらかというと『エイリアン2』ではなく『エイリアン』な内容。
エネミー側が複数人いることで、ルールの確認やヒーロー側に与える情報をスムーズに更新できるなど、同様のダンジョンクロール型のゲームでゲームマスター的な役割のプレイヤーがてんてこまいになるような感じにならないのもポイント。
ランダムにミッションを決めてもよいですし、4人のキャラクターが登場するキャンペーンゲームを担当キャラクターを決めて進めるのもよいでしょう。
キャンペーンはストーリー展開も面白く、またクリーチャーの正体は何か、人類であるカルティストはなぜヒーローに敵対しているのか……などの真相も明らかにされていきます。
今までにないちょっと変わったホラーテーマのダンジョン探索物として、ヒーローとエネミーいずれもぜひ体験してみてください!
アローン
プレイ人数:2-4人
対象年齢:14歳以上
プレイ時間:90-120分
製作:Horrible Guild
デザイン:アンドレア・クレスピ、ロレンツォ・シルバ
価格:9,000円+税