原作モノのゲームに関しては、原作を知っていればより楽しめるのは間違いないのですが、今回紹介いたします
進撃の巨人 ボードゲーム
は、原作を再現しつつ、原作ファン以外にも楽しめるゲームとなっております。
デザインはアントワーヌ・ボゥザ&ルウドヴィック・モーブロンの黄金コンビ。
ゲームは原作初期の、人類の天敵である巨人 vs 人類の刃である調査兵団の戦いを再現したものとなります。
しかし、ボードゲームといっても、平面のボードはありません……
壁とか、建物とか、抽象的にあらわした立体の《塔》(高さ3/5)と38cm級《巨人》(高さ1/2/4/6/7/8)の立体のゲームボードで位置関係をあらわします。
原作では街中や巨人の周りを立体機動装置で飛び回るので、平面のゲームボードではないのはかなり良い雰囲気。
ゲームは巨人(1人)と調査兵団(最大4人)に分かれて行われます。非対称な対戦協力ゲーム。
迎え撃つ調査兵団側は、協力して巨人を斃せば勝ち。
原作通り。
しかし、巨人は驚異的な再生能力を持ち、ダメージを与えても回復してしまうのです……そのため、巨人を駆逐するためには、体力を限界まで落としたのち、たった一つの弱点であるうなじを削ぐ必要があるのです。
ゲームでも、巨人の体力を重症まで持っていき……
《うなじを切る》(か《殲滅》の)戦術を取らなければなりません。
ただし、今現状取ることができる戦術は一番上の物だけで、しかも実行したらゲームから除外されます。
戦術カードは民間人を救ったり、巨人の手足を落としたり、調査兵団側の体力を回復したり、いろいろできる。
しかし……目当ての戦術が上に無い場合は後述のダイスの戦術の目を使うことで、戦術山の底からカードを1枚、戦術山の一番上に持ってくることを繰り返して、持ってこなくてはならないのだ!
順番は入れ変えられないので、覚えておかないとな!
ゲームはまず巨人から行動します。
巨人は長年分析され、その行動パターンにより種類分けされています。
行う行動は、このカードで決まり、1枚を表向きに、1枚を裏向きで出します。
今回の巨人の行動はこのカードを表向き→裏向きの順に解決します。
カードの中には全体攻撃と個別攻撃のカードがありますが、これらは回避することもできます(後述)。
次は、調査兵団側の番です。
調査兵団のプレイヤーは各自ダイスをふって、アクションに使用する目を確保します。
目の効果は……
移動:シンボル1つで1レベル上下できる
巨人に攻撃するには巨人に、砲撃するには塔に居なくてはならないし。「戦術」のためには指示された場所で指定の目を消費しなくちゃならないのだ。
砲撃:塔にいる時に使うと、1シンボルにつき2ダメージ与えるぞ
強力だけど、党に残ってる大砲の数までしか使えない。
戦術:先ほどの戦術カードの山の底から1枚を引いて上に置くほかに、全体攻撃の打ち消しにも使えるぞ
しかし、回避に使ったら戦術の変更には使えないのだ。悩む!
この時、ダイスはいくらでもふりなおして構わないのですが、巨人の目が出たら、そのダイスは巨人に渡します。
巨人:これは、巨人が使うことで特別な行動をとることができます。
たくさん渡してしまうと、いろいろ取り返しがつかない事態になりかねないのだ。
とりあえずもうふるのはやめよう、となったら今度は巨人の番。
渡された巨人ダイスを使って特殊アクションをやってもいいし、やらなくてもよし。
特殊アクションに使ったら、使ったダイスは各プレイヤーに返さなくてはならない(そして1回だけふる)ので我慢してやらないのも大事。
そのあと、巨人はカードを解決。
この時個人の攻撃は回避を支払うことで(自分だけ)キャンセル出来て、全体攻撃は全員で人数分の戦術を支払うことでキャンセルできます。
カードの内容は調査兵団に攻撃するか、市民を食らうか、砲を壊すか。
解決の順番は表→裏……
調査兵団側はキャンセルの選択をちょっと悩むところ。
ここまで終わったら、調査兵団側の番です。
残っている出目を消費して、巨人の体力を削ぎ、戦術を駆使して不利な状況に追い込み、最終的には《うなじを削ぐ》戦術を達成を目指します!
流れを見てみましょう……
例えばこんな感じ……各自の出目でいろいろできるよ! 何をするか相談しながらふろう!
ここでダイスをふるのをやめた。ちなみにリヴァイ兵長は巨人の目を渡さない能力。強い!
しかし、巨人の目ばかり出すと何もできない兵長になってしまうのだ。
ちなみに他の各キャラクターの能力も原作に合わせてそれっぽくなっております。
エレンとミカサは塔に居るので、1枚目のカード(塔に居るキャラクターをレベル0の地面に落として、落ちた人数分だけ市民が死ぬ)を回避してみた。
しかし、2枚目は戦術×人数分で回避だが、できない……砲と市民に被害が出た。
これで巨人のカードの解決おしまい。
調査兵団がダイスの出目を使って色々する番だ!
アルミンはレベル0(地上)から移動1つを使って、塔を登ってレベル3に(塔の中はショートカットできるのだ)。そして主人公のエレンは「他の人に各1個まで、自分のダイスを渡すことができる」ので……
ミカサにレベル8……巨人のうなじにとりついてもらう。
能力的には、ほかのキャラクターが頑張るのを見る役目。兵長はすることないので、とりあえず移動してレベル1に行くか。
アルミンは戦術の目で、ほかのキャラクターだとカードの山の底から1枚カードを一番上に持ってくるところを……
探して持ってこれる。多分一番のチートキャラ!
「僕に考えがある」当然うなじ切りを用意するよ!
条件は「レベル8で攻撃×2」「レベル6で回避×2」「巨人が重傷」
ミカサはレベル8にいて、攻撃が1つでも出ればOK(ミカサは攻撃目1個を2個分として数えれるのだ!)。
エレンがレベル4にいので、移動×2と回避×2を自前で出すか、レベル3にいるアルミンにダイスを渡すなどして回避してもらうか。
ダメージは重傷まで最低4ダメージ。砲(2ダメージ)×2、攻撃×4の組み合わせでOK……何とかなりそう!まぁ、巨人は巨人で次のラウンドのカードを考えるのだけどね。
ミカサにダメージ出しつつ、回避に戦術の目使わせた後で、同じく戦術の目で回避の「うなじの防御」でダメージを無効化すれば重傷にならないかな?
……という感じで進みます。
前のラウンドに使った巨人のカードは、次のラウンドでは使われることがありませんので、巨人プレイヤーには計画的な展望が求められ、調査兵団プレイヤーにはリスク管理の視点が求められるます。
版権もののゲームとしての再現度も高く、ギリギリの攻防も楽しめる好ゲーム。
この再現度のおかげで原作ファンなら文句なく楽しめますし、原作未読の方にもゲームとしてバランスの良い非対称協力対戦ゲームとしてオススメ。
できれば原作を読むなり視聴してからのプレイをお勧めいたします。
進撃の巨人 ボードゲーム
プレイ人数:2-5人
対象年齢:14歳以上
プレイ時間:30分
製作:Cryptozoic Entertainment、Don’t Panic Games
デザイン:アントワーヌ・ボゥザ、ルドヴィック・モーブロン
価格:5,800円+税