【ダイスエイジ連載】「ゲームデザインのモットー」(第1回)


こんにちは、ゲーム開発課です。
今回は当社オリジナルボードゲーム「ダイスエイジ」発売を記念して、デザイナーの佐藤敏樹さんにデザイナーズノートを寄稿していただきました!


佐藤敏樹さん:
「ダイスエイジ」システムデザイナー。「さとーふぁみりあ」主宰。
最近の代表作は「8bit Mockup」など。詳しいプロフィールはこちら


はじめまして、さとーふぁみりあの佐藤です。
今回、『ダイスエイジ』のゲームデザインを担当しました。

普段はさとーふぁみりあというサークルでゲームを作っています。
最近の代表作は2017年春のゲームマーケットで発売した『8ビットモックアップ』です。
ゲームマーケットに最初に参加したのは2005年のことなので、かれこれ12年ゲームを作っていることになります。
初期の代表作は『テケリ・リ』という、変則的なトリックテイキングゲームです。このゲームは、2006年のエッセン(※1)にヤポンブランド(※2)として出品した思い出深い作品です。

【編注】
(※1)エッセン……ドイツ・エッセンで行われる「SPIEL」という世界最大規模のアナログゲームイベント。
(※2)ヤポンブランド……日本人デザイナーが創ったボードゲーム・カードゲームを海外に紹介し、版権契約の締結やその正常な履行の仲介を目的とした団体

さて、今回僕が作った『ダイスエイジ』の話をする前に、僕がゲームを作るうえでモットーとしていることをいくつか話そうと思います。

【モットー1つ目】言語依存がないこと

これは「特殊効果が少ない」と言い換えてもいいかもしれません。これは大学時代に出会った『マジック:ザ・ギャザリング』に影響を受けています。

ここだけの話、僕は『マジック:ザ・ギャザリング』が嫌いです。(ホビージャパンさんのサイトなのにこんなこと書いていいのかな???)
『マジック』と出会ったのは日本語版もまだない黎明期でした。大学の友人と対戦してみるも、英語が読めず、プレイは途切れ途切れで、解釈は曖昧。
未知のカードに打ちのめされるのを何回か経験して、こんなゲームやってられるかぁとすぐに足を洗いました。

このとき感じたトラウマが、特殊効果のないゲームを作ることへの原動力となっています。

【モットー2つ目】ルールが簡潔であること

僕自身は重めのゲームも、軽めのゲームも、大喜利系もいけるゲーマーです。(ただし交渉系は苦手です。)
ただ、自分の家族や友人を誘って遊ぶとしたら、彼らは長いインストには付き合ってくれないでしょう。

なるべく多くの人にゲームを遊んでもらいたいという思いから、ルールが簡潔であることをモットーにしています。インストの時間を短くしてすぐにゲームにとりかかり、遊ぶ時間を最大限にしたいというのが僕の思いです。ゲームが終わった後に「もう1回!」と叫びたくなるゲームのプレイ時間は大体30分くらいだと思っているので、インストも5分くらいで終わるゲームを目指しています。

【モットー3つ目】テーマがあること

テーマがあるとルールを把握する手助けにもなりますし、ゲームへの没入感が高まります。

よくあるゲームデザイナー談義に「テーマとシステムのどちらから作るか」というのがありますが、僕はテーマとシステムはゲームの両輪のようなものなので、どちらが欠けてもゲームはできないと思っています。
強いて言えば、システムは普段からストックしておき、自分が作りたいゲームが出てきたら、そこからシステムを組み合わせ、ゲームのテーマに合わせて調整する感じを意識しています。

【モットー4つ目】心の揺さぶりがあること

僕がボードゲームをする中で一番好きなのが「ドキドキすること」です。

具体的に言うなら、『チケット・トゥ・ライド』で「あそこに路線を引きたいから、僕の手番が回ってくるまで誰も置くなよぉ」とドキドキしながら待つ時間です。
言い換えると「置けるか置けないか」という緊張と「あぁ置けたぁ」という弛緩が適度なタイミングで訪れるゲームが大好きです。
ただ、そういうタイミングは頻繁に訪れると疲れてしまいますし、逆にないとゲームが間延びしてしまいます。ダイスゲームであれば「6出ろ6出ろ」と祈って振る瞬間が一番楽しいんじゃないかと思っています。

もちろん、『ダイスエイジ』もここまで紹介したモットーにもとづいて作っています。
以降は次回、「『ダイスエイジ』が生まれるまで」という題で詳しく紹介していきたいと思います。


いかがでしたか?
この連載は第二回「『ダイスエイジ』が生まれるまで」、その後佐藤さまの対談記事を掲載予定です。
次回掲載は11月17日(金)(予定)!
お楽しみに!