残骸が陸を被うほどの時を見た『イノベーション:エコーズ』


と、言うわけで。
不良の報告数がぼちぼち来ていたわけですが……全品検品が終わったし、交換パーツもようやく届いたので再出荷可能となりました、
『イノベーション:エコーズ』
の紹介をすっかり忘れていたので改めて。

『イノベーション』本体はこちらでどんなゲームか見ていただくとして……

このエクスパンションでどうなるかと言うと……

新たに加わるカードは「エコーカード」と呼ばれ、過去の発明品などがカード化されており、いまだに影響を与えているものから、時代のあだ花だったものまでいろいろあります。

カードの見方は全く同じですが、裏からもエコーカードであることは一目瞭然。

あと、カードには「影響力」と……

「エコー能力」が加わります。

あと個人ボードはこんな感じで、新ルールで下に「研究」したカードを置くようになっていいます(と言っても追加のボードは5人目用の1枚だけですが)。

さて、ルールの変更部分はと言うと……

1)ドローでカードを引くときの山札が倍に
枚数じゃなく、山が。カードゲームとしては異例なほど場所取るのに……さらに場所とりまくり。
 手札に何もない→普通の山札
 手札にカードがあるがエコーがない→エコーの山札
 手札にカードがありエコーがある→普通の山札
となった(まぁ、これはエコーカードの導入

2)場に出てるカードにある影響の値を足す
これで得点する以外で影響を累加していくことができる。

3)エコー能力
その色の山のアクティブなカードの教義をプレイした時、見えているエコー能力を下から協力型教義としてプレイしていく……ので、単純にアクティブなカードの教義能力だけを考えていればよい訳ではなくなった。

4)制覇する時代は、1時代1枚とは限らなくなった
必要な影響は代わりにぐぐっとふえますが、時代1のカードを3枚制覇するなども可能に。

5)カード能力の「研究する」
「研究」したカードは「計画」(ボード下辺)に裏向きに置かれ、何らかのカードをプレイした時、そのプレイしたカード以下の時代の計画のカードを1枚選んでただでプレイできるというもの。そして、そのカードの教義はプレイされます。
かなり今までの間隔でプレイしていると計画が狂う新ルールです。

6)分野が増えた
さらに5種類の分野が加わりました

7)勝利条件の制覇枚数の調整
まぁ、新ルールも入ったし、必要枚数が増えた。

……と言ったところ。

『イノベーション』自体はやりこめばやりこむほど、カードパワーと傾向から、初期手札の定石が見えてきたりするため、やり過ぎて実力が拮抗してしまうまでになると、最初の引きだけでかなり有利不利ができてしまいますが……エコーカードのおかげで変数が恐ろしく増え、そのおかげでまた定石を見出すまでは恐ろしい回数のプレイが必要となると思われます。

単純に、山札の枚数が時代2~10なら9枚+10枚と増え、手札の状態からエコーか通常かどちらを引かなければならないか考えてカードをプレイしつつ、山札に残ってるカードは何があり得るのか推察するとき、引くカードで考慮する候補が倍になり……

おまけにエコー能力のおかげで、展開した山のアクティブなカードの能力だけでは無く、『その色の山パワー』で能力の効果を考えなければならなくなり……

さらに、制覇対象が9+5枚から一気に5枚デフォルトで増えたうえに、あとから増えるかもしれないので、制覇計画も狂い……

わりと先の時代を計画に送る研究はその先の時代の「予約」であり、それが山札から無くなってることや、不意に出ることまで考慮しなければならないことに……

と、より複雑かつ予想が付けにくいようにしたエクスパンションと言えます。

しかし、原則の「2回しかないアクションを、今の状況をかんがみた場合、何に変換すれば他の人よりアドバンテージが取れるのか?」と言うことを考えてプレイすればよい事には変わりはありません。

『イノベーション』をやりこんでいる人には、その勝利への道筋がさらに増えたことで挑戦し甲斐のあるものとなっております。
そうでない人にも、ちょっと複雑になりますが面白い効果のカードがいろいろ加わっているので、基本セットにある程度慣れてから導入するのもよいうでしょう。

イノベーション:エコーズ
プレイ人数:2-5人
対象年齢:14歳以上
プレイ時間:60分
製作:Iello
デザイン:カール・チャデク
価格:3,400円+税