はかった喃、はかってくれた喃『斬 -サムライソード-』


今週末は、なぜか日本テーマのゲームが3連発という、前代未聞な状況になっておりまして、今回はその3作の中の1つ、正体隠匿型のパーティーゲーム、
斬 -サムライソード-
を紹介いたします。

ゲームは将軍と侍の幕府側、忍者の反幕府側、どちらの側でもない浪人の3勢力(浪人は5人から加わります)に分かれて、カードを使って戦闘を繰り広げ名誉を奪い合うことになります。


このうち、将軍だけは正体を明かします。
侍、忍者、浪人は己の正体を明かしません。

それとは別に表の顔を決めます。

キャラクターごとに能力は異なります。
たとえば、五右衛門

ポール牧ではない。もちろん『素晴らしき』とか称号も無い。
通常1枚しか使えない武器カードの使用回数が増える。
見た目は忍者だが、将軍になってしまうかもしれない。

たとえば、家康

440年前の今日(1月25日)、三方ヶ原の戦いで脱糞した人と同じ名前ですが、実は忍者かもしれない。
毎ターン2枚引けるうち、1枚を捨て札から引いてもよい。
微妙。

たとえば、秀吉

ドローフェイズにカードを1枚追加で引ける。
強くねぇか、サル?
こう見えても浪人かもしれない……

と、このように全員に特殊能力があり、そのうえで陣営がわからないというものになっています。

あと、ハートのマークは初期「魂コマ」の数。
そのほかに、将軍は「名誉コマ」5個、ほかのプレイヤーは4個を持ってゲームを開始します。

ゲームは毎ターン、以下の手順を繰り返します

1)魂コマが0個の場合、魂コマをキャラクターカードの書かれている数だけ回復させる。

※正誤表
<P.4>
 誤)自身の武人が非武装状態だった場合~
 正)自身の武人が魂コマをすべて失っていた場合~

2)カードを2枚引く
3)カードを好きなだけ使う(例外:武器カードは1枚のみ)
4)手札上限枚数を超えていた場合、上限枚数になるまで捨てる。

カードは、攻撃のための『武器カード』、使い捨て効果の『行動カード』、場に出して置き継続効果を発揮する『覚悟カード』があります。なお、カードに効果が書いてありますが、ルールブックに詳細が書かれているものがあるので注意が必要です。

武器は自分のターンに通常1枚のみ使用可能で、「間合い」と「威力」が書かれています。
間合いは、右回りでも左回りでも、何人先に座っている人を攻撃できるかあらわしています。
たとえば間合い1なら、隣の人しか攻撃できません。

たとえば、「種子島」は間合い5、威力1。
「木刀」は間合い1、威力1。
「煙管」は間合い1、威力2。木刀より強いのか……解せぬ。

なお、攻撃は行動カードのうち「捌き」で打ち消すことができます。

……どう見ても捌いていません。

威力の分だけ、武人の魂は削られます。
魂コマが0個になったら、魂を0個に削った相手に名誉を1点渡します。
ゲームの肝は、このやり取り。
誰かの名誉コマが0個になったら、陣営ごとの名誉点で勝敗を決するわけです。
(カードの山がなくなったら、全員名誉コマを1個失い、再シャッフルなので、いつかは必ず終わります)

なお、魂コマが0個の時と手札が0枚の時は、非武装状態として扱われ、攻撃されることは無くなり、また間合いを数えるときに飛ばされます。
あえて手札をすべて使い切って攻撃されなくする、間合いを短くするためあえて味方に斬られるなど、いろいろ考えどころがあるルールです。


そのような名誉のやり取りのために、『覚悟カード』で士道覚悟である「居合」や「残心」を習得したり「武士道」で士道覚悟を試したり(封建社会の完成形は少数のサディストと多数のマゾヒストによって構成されるのだ……


『行動カード』の「呼吸」で魂を回復させたり、他のプレイヤーを「遊女」で骨抜きにしたりするのです。

ゲームは、一人だけ行動可能な状態になる、もしくは、誰か1人の名誉が0になった時の、自分の陣営の『名誉』が一番高いこと(人数に違いがあるため、獲得した名誉に陣営別の倍数をかける)。

元になった西部劇カードゲーム、BANG!と違って途中脱落もなし。
進行役も必要ないため、正体隠匿系ではプレイもしやすい方で、何より交渉・推理以外にカードプレイで殴り合うのが純粋に面白い。
もちろん、味方は殺さぬように、敵は排除するようにするという要素も重要。

当然将軍だけは正体が最初から分かっているので、侍側は可及的速やかに忍者を特定して排除し、忍者側はなるべく正体を隠しつつ、ここぞという時に一気呵成に将軍、もしくは侍と目星をつけたものを排除し、浪人は己が浪人とは悟られぬよう、幕府側、もしくは忍者側のふりをしつつその両者から名誉を奪うことになるでしょう。

この手のゲームとしては珍しく3人と少人数からも遊べるのですが、断然浪人が加わる5人からが面白いので、できれば5人以上でプレイしてほしいところ。
軽めなゲームが好きだったり、推理・交渉の要素があるゲームが好きな人や、日本史フレーバーが好きな人には強くオススメいたします。

斬 -サムライソード-【日本語版】
プレイ人数:3-7人
対象年齢:8歳以上
プレイ時間:約20-40分
製作:dV Giocci
価格:2,000円+税

余談その1
なお、イラストはアメコミでも活躍しているウェルター・デルエデラ。
ブログを見ると、なんか連邦の白い悪魔とか、神にも悪魔にもなれる黒鋼の城とか、すべてを捨てて戦う男とかも見れるよ!

余談その2
開発段階でのコードネームは「戦国殺」。
危うくこれが正式タイトルになるところだった。
牛若とか巴御前が入ってて良かった……

余談その3
牛若の服が白いのは日本語版だけ!
次回生産から海外版も白くなるけど。