更なる戦争を望むか?『バランス・オブ・パワー』


ボチボチ新作が来はじめた、というか、バカンスやらイベント(GEN-CON)やらで、日本に来ないで止まってた物が動き出したのでいろいろいっぺんに来るのです……、

ですが。

今回はちょっと止まっていたどころではなく、1年以上諸般の事情で発売されていなかった、ナポレオン以降の欧州各国の陣取りゲーム、
バランス・オブ・パワーを紹介いたします。

出荷はおそらく明日とか……なので今週末には1年余の時を経て到着。


ゲームのシステムで、BGGなどで事前に漏れている「じゃんけん」システムですが、要するに各方面の権力分野の3すくみ構造を表しているだけで、実際はかなりハードなガチ系陣取りゲームです。


そう……ゲームは所謂リスク系陣取りゲーム。
欧州全土を舞台に、自帝国の覇権を広げるべく陣取りを広げます。


なお、地名に関しては、ローマ字で当時の現地語表記がほとんどなので、英語じゃない地名もあるのですが、まぁ調べも付くでしょう。

ただし、リスクと違っていろいろ制限がありまして……

1)エリアのスタック制限は敵味方問わず3個まで
2)アクションは各分野のコマにつき1回ずつ
3)「攻撃」して相手を除去できるのは、3すくみの構造で勝てる相手だけ

となっており、兵力やダイスは一切使わないシステム。

繰り返します。
ダイス運要素は全くなしです。


コンポーネントもゲームに使うのは地図とコマのみ。


3すくみの構造は、以下の構造です。

将軍(軍事)は王(政治)に勝つ
王(政治)は銀行家(経済)に勝つ
銀行家(経済)は将軍(軍事)に勝つ

というもの。

とれるアクションは、「移動」と「攻撃(これだけは結果として地域に3個のコマとなるので、3個のコマが置かれている地域に対して行えます)」と「増強」の3種類あり、各種類のコマに1回ずつ、つまり合計3アクションこのアクションを取らせるのが自分のターンの基本。

……もう、想像通りの読みあいメインのゲームです。
「ここに王を動かせば、隣の国の将軍に攻撃されるけど、何かを動かさないとこの地域にコマが3個あるので増強できないし、ここに銀行家を増やさないと隣の将軍に対して牽制が取れないし……」
てな感じでじわじわ3分野をうまくコントロールして勢力を増やすゲーム。

・この中央の地域(モラヴィア)を巡って露墺の駆け引きの図。
ロシアは銀行家を除くために王で攻撃したいが、王で攻撃するとオーストリアがモラヴィアの王でポルスカの銀行家を攻撃するか、このままでは将軍に攻めれれるだろうマジャーロルサーク(マジャール人の地……ハンガリーのことですな)の王でモラヴィアに攻めた銀行家を攻撃してくるかもしれない……

基本はこの条件で、首都に3種類各1個、ほかの自国地域に自由配置で3個のコマでスタートして支配地域に応じた得点が勝利条件に達したら勝ち宣言ができます。
なお、基本ルールでは得点トラックは使わずに、暗算で勝ちだと思った時に勝利宣言するルールなので、暗算が苦手だとだめかも(笑)

なお、ある国の地域すべてを単独支配できていれば、オマケの1アクションが増えます。
最初の目標は自国内の覇権を確立することでしょうか……


・フランス国内覇権確立の図。

と、いうのがウワサの「じゃんけん」システムの真相。
しかも、マルチプレイヤーズゲームなので、敵は一人じゃありません。
隣国が領土割譲を軍事で押してくるだろうなという時に、もう一つの隣国がなぜか銀行家を狙われている地域の隣の地域に移動させて来たら……思惑を読むのは単純なものではなく、
「また黄色が勝った~♪」ときゃっきゃうふふしてラインラントに進駐するようなお気軽な感じのものではないのです。

王政を倒す軍人、経済に影響を及ぼす王権、軍事に制限をかける経済のコマをどう増やし、どの地域を足がかりに、どの地域に進出するか……「知恵をめぐらせ頭を使え」を地で行くゲームです。

運のあるゲームでしなければならない不測のリスクマネジメントではなく、ほかの人の行動と思考に対して最適解をじっくりと思考力のみでひねりだすのが楽しい、リスク系ゲームが大好物な方にお勧めいたします。

バランス・オブ・パワー(Balance of Power)
プレイ人数:2-6人
対象年齢:13歳以上
プレイ時間:45-90分
ゲームデザイン:クヌードソン兄弟
製作:Catalyst Game lab.
価格:5,000円+税