奇遇だな、俺もなんだ『シャーマンズ』


『Die CREW』のKeSDJ受賞以降、出版が増えた感のあるトリックテイキングのカードゲームですが、今回ご紹介する

シャーマンズ

も、「招待隠匿要素」のある、ちょっと変わったトリックテイキングのゲームになっています。

「トリックテイキング」……つまり「トリックを取る」システムが根幹のゲーム。

各自に配られた手札から1枚ずつ順に手札を出していくのですが、開始プレイヤーの出したカードのスート(種類)と同じカードを出す義務がある……のが「マストフォロー(必ず続ける)」。しなくてもよいのが「メイフォロー(してもよい)」。これはゲームにもよりますが、当社比ですとマストフォローのほうが多いです(『シャーマンズ』だけがメイフォロー)。

なければ別なスートを出してもいいのですが、出されたカード(トリック)の中でフォローしていてかつ一番大きなランク(数字)を出しているプレイヤーがその「トリック」」を取ります(そして次の開始プレイヤーになる)。

だいたいこれが基本。


ゲームのタイトルであるシャーマンたちは、世界の調和を護る側として、トリックテイキングでリーダーのスートをフォローすることになります。
一方、シャーマンの敵であるシャドウは(4人までであれば1人、5人で2人まぎれているのですが)、リーダーのスートをフォローしないことで世界の破滅に近づけていくことが目的となります。

これが月トラック……フォローしなかったときにマーカーが進み、最終マスまで行くと世界が破滅する。

では、シャドウのプレイヤーはフォローしなければ他にすることはないのか(シャーマン側はフォローだけしていればよいのか)というと事は簡単ではなく……

トリックを獲得する手順の際に、フォローしていて一番ランクが低い人は「遺物」と呼ばれるタイルを獲得します。

タイルは獲得することで点数となったり、正体を公開しなければならなかったり、いずれかのプレイヤーを排除することができる《無力化の儀式》の条件となる儀式用の短剣などがありますので、きちんとフォローしつつ最低ランクのカードを出す試みも重要となります

そして「儀式」はそのスートのカードがすべて捨てられ時に、そのスートごとに決まった儀式が発動するのですが、フォローしなかった場合カードは即座に捨てられ、その捨てた人が儀式を行います。

もしくは、トリックの解決後にカードは捨て札になるのですが、こちらの場合はトリックを獲得したプレイヤーが儀式をおこないます

そのため、あえてフォローせず儀式を行う選択や、フォローしつつトリックをとり儀式を行うのも必要な行動となります。

儀式は、単に点数を獲得したり、世界の破滅の進行度を前進/後退させたり、役割カードを交換するなどの儀式もあります。
そして《無力化の儀式》は前述のとおり他プレイヤーを排除できるのですが、シャーマンが排除された場合は残りて札の枚数分だけ世界の破滅が進行することになるので正体隠匿要素も重要――だれがどちら側なのかも推理していく必要があります。

1回のラウンドは世界を破滅に導くことでシャドウが勝つか、それを阻止することでシャーマン側が勝ち、シャドウが勝てば生き残ったシャドウプレイヤーは3点、シャーマンが勝てば生き残ったシャーマンは2点を得ます。

これを毎ラウンド、正体をランダムに選びなおしつつ繰り返していき、誰かが最終的に8点以上獲得するまでゲームを続けていきます。
つまり、最終的に合計した点数が一番多いプレイヤーが勝者となるので、たとえ味方でも最終的には足の引っ張り合いになってしまうのです!
(利害一致型半協力型ゲーム?)

以上の要素により、自分の思惑、ほかのプレイヤーの思惑、できることとできないこと、すべきことは何かという選択が相まって、ちょっと不思議な感覚のトリックテイキングのゲームとなっております。
手軽に遊べてちょっと変わったトリテがやりたい方には結構オススメです。

シャーマンズ
プレイ人数:3-5人
対象年齢:10歳以上
プレイ時間:40分
製作:Iello/Smirk & Dagger
デザイン:セドリック・シャブシ
価格:3,300円+税