まちがいなくそれが答えです『2人でお茶を』


今回紹介いたしますのは、「不思議の国のアリス」のお茶会をテーマにした、『ジャイプル』、『アンクォール』に続くSpace Cowboysの2人用ゲーム3弾目、

2人でお茶を

です。

最初お互いのカードの山札は1から9までの数字のカードが1枚ずつしかありません。

違うのは、一人はタイブレイクの時に勝てる「ピンクのフラミンゴ」とリーソースとなる「タルト」が1個、もう一人は「タルト」が3個でゲームを始めることです。

あとリソースとしては「砂時計」……これは、「時計」を進めるのに使いますが、ゲーム中に獲得しなければなりません。

点数ボードとなる長いテーブルの上にはランダムに置かれた5枚の「目的タイル」と対応する位置に置かれた
《アリス(8)》《王様(7)》《イモムシ(6)》《ハートのジャック(5)》《処刑人(4)》
が並びます……これはゲーム中購入すると捨て札の山に入り、次のリシャッフルから山札のカードとなります。

それはそれとして、7枚の《ウサギ(1)》……これは山札が尽きた時、リシャッフルするときに1枚加えることになります(数字が(1)なので、デッキにいないほうが助かる)。
つまりゲームが進めば進むほど、弱いカードがどんどんデッキに増える仕組み。

……というデッキ構築要素のあるゲーム

ゲームの流れはシンプルで、

1)同時に山札めくって数字比べ……大きいほうが勝ち(タイブレイクにフラミンゴ)

2)勝ったほうが「(数字の差+支払うタルト)の数字のカードを購入する」か、「カードの効果を使う」か選ぶ。

ピンクのアリスの勝ち……
差は7なので、タルト1枚を足して(8)のアリスを購入。

ピンクのアリスが勝ったので、能力を使用。

砂時計1枚を獲得。

3)勝ったほうは加えて砂時計を支払って時計の針を進めて、時計の効果を使ってもよい。

を繰り返していくだけ。

この1)のところだけ切り取ると運だけのゲームに見えますが、カードの効果は数字が小さいほうが強い感じになっています。
しかし……カード効果の強さを目指すとデッキ全体の数字の平均値は下がります。

処刑人の効果で青の山札の一番上のカードを破壊。
星は2つなので2点獲得だけど、相手はデッキが1枚少なくなった。

また、途中の得点はそれほど数字が大きくない《処刑人(4)》のカード効果である、「相手の山札の上の1枚を得点カードとして獲得する」か時計の効果でしか得られませんが、そうなるとより大きい数字のカードを相手が買っていた場合はカード効果が使える機会が減ります。

リソースを獲得できるのは主にこの4枚……数字が絶妙。

ではカードを買いやすくするために、数字の大きいカードを買うべきか、タルトを手に入れやすくなるカードを買うべきか……は相手のデッキ次第でもあります。
あと、ゲーム後半はいくら数字の差が大きくとも、購入できるカードの山がなくなっていくので、差が小さい・タルトが十分無いなどの場合はカードの能力を使うしかないので、その辺の計算も必要。

これは山札の枚数が多いほうが王様のカードのコラムの数字……つまり7点得られるということ。
かなり大点数!

さらに。このゲームで最大の得点源は目的タイルから得られる点数ですが、この目的タイルは対応するカードが枯れていなければならず、目的タイルの条件のカードをかつ相手よりより多く持っている必要があり、カードの購入をせずにカード効果を使うだけでは勝てない上に、相手のデッキの中身(目的タイルが有効になりそうなカードの山を切らすべきか否か、相手より多いか否か……)を覚えておくことも重要。

ここで重要なのが、1)の数字比べでフラミンゴは重要ですが、目的タイルの枚数比べでもフラミンゴが重要だということ! フラミンゴのゲーム中占有率も考えておかないと、イニシアチブは取れません。

加えて、時計で点数を得るマスは2つありますが、「2点得られるマス」の次のマスは「自分の捨て札を得点カード化できるマス」(つまり得点とデッキ圧縮が同時にできる)、「自分の山札のカードを2枚捨て札にしてその分得点する」の次のマスはこのゲームで重要な「ピンクのフラミンゴをとる」マスなので、よくよく考えておかないと相手に漁夫の利を与えることになるかもしれません。

ゲームの終了は、デッキをリシャッフルするときに加える《ウサギ》が不足して加えられない、もしくはテーブルの上に5つ並んだ購入できるカードの内4つの山が尽きたら終了。
実のところこの終了タイミングも重要となります。終わるタイミング次第では、一歩届かずとなる場合も。

……と、簡単なルールと華やかなアートワークとは裏腹に、運の要素はあるものの、大事なのは短期的な選択と長期的な選択を要求され、相手と自分のデッキ内容を覚えておくカウンティングスキルが必要とされるゲームとなっております。

運要素が無い2人用ゲームは完全な技術のゲームとなってしまうので、サツバツとなってしまいがちですが、運要素が適度にありつつスキルも要求される内容となっており、「勝ったのは自分のスキルのおかげ、負けたのは運のせい」にできる適度なバランスのゲーム(実際はテーブルの下では足蹴りの応酬をしているプレ如何ではありますが)。

準備もプレイも短時間、ルールも簡単ですぐ覚えることができますし、がっつり考えてプレイしても、さらっと遊んでもOK。
1戦終わった後にもう1回戦、2回戦と繰り返し遊びやすいゲームとしておススメいたします。

2人でお茶を
プレイ人数:2人
対象年齢:10歳以上
プレイ時間:30分
製作:Space Cowboys
デザイン:セドリック・シャブシ
価格:3,000円+税

なお『2人でお茶を』のオリジナルタイトルは“Tea For 2(T42)”。