さすがお兄様『大いなる狂気の書』


12月よりこっち、エッセンでの新作がいろいろ入荷してきていましたが、中国の正月による長期休暇前の駆け込みで、のこりは1月に入ってくるか、2月になる前に出荷されたものが2月の中旬くらいに入ってくるのが毎年の習わしなのですが、今回入荷致しました

大いなる狂気の書

も、エッセン新作で駆け込みで生産が間に合ったながれ。
間に合ってよかった……


さて。

プレイヤーは魔法学校の生徒なのですが、まだ基本の魔法を教わっただけ。
先生は図書館の奥にある魔導書は触れるな、と言ってるけど、きっとものすごい呪文が書かれていて、生徒に知られたくないから隠しているんだ……と考え、夜中に件の図書館にこっそり忍び込み、かの大書を開いてしまいます。
しかし、そこには、強力な呪文ではなく、恐ろしい魔物たちと狂気とが封じられていました……先生にばれる前に! そして自分たちが発狂してしまう前に! 何とか封印するのです!!

……『ハリーポッター』+『クトゥルフ』?

ゲームの目的自体はシンプル。
全員が狂気にとらわれる(=手札補充でひいた手札が全部狂気カード)、もしくは狂気カードを取らなければならないのに取れない、もしくは最後の怪物を封印できない……これらが敗北条件です。

つまり、勝利のためには、5体のモンスターの呪いと次々襲いかかる恐怖をかわしつつ、最後にいる最強のモンスターを倒すこと(そして先生にばれないようにこっそり後始末するのです)!


駆け出しの魔法学校生徒のプレイヤーはそれぞれ4種類のエレメントが含まれる12枚の魔力デッキ(構成比はそれぞれ違う)と、習ったばかりの基礎魔法4種類を持ってゲームを始めます。

キャラクターによって、最初のデッキの構成枚数と特殊能力が異なります。

手札は6枚で、毎ターン、
 1)モンスターが逃走し、
 2)使用済みの呪文が回復し、
 3)手札のコストを使ってアクションを実行し、
 4)手札が6枚になるまで補充、
 5)手番が左となりのプレイヤーに移る

を繰り返します。

アクションは、コストが払える限り何度でも実行できますが……
・呪文を使う
基礎呪文は以下の4種。
左下は必要コストで、3倍までコストを支払うことができ、その分○で囲まれた数字の効果が増える。
使うと消耗して、次の自分のターンが来るまで使用不能となる。

赤の《発火》は手札のカードを1枚破壊

……因みに『破壊』はゲームから取り除くこと。

青の《氷結》は手札のカード1枚を『サポート』に置く。

『サポート』は基本各キャラクターごとに3枚まで置ける、共通の手札みたいなもの。

緑の《成長》はカードを1枚引く。

白の《テレパシー》は他のプレイヤーに1アクション与えるもの。

コの呪文を使って他の人のターンでもアクションを使ったりすることが多いので、手番マーカーは重要だよ!

・呪文を買う(図書館でたまたま見つけた)
……呪文のスロットは5スロットなので空きがないときは何かを捨てないといけないことに注意!

基本破壊と狂気治療の火(赤)、ドローと魔力カード獲得の大地(緑)、援助と手札操作の水(青)、サポートと手札交換の風(白)と言った感じかな?

・魔力を買う

1魔力2枚で2魔力1枚など……買ったカードは捨て札山へ。
枚数が増えていくので、余裕があれば基本呪文の《発火》でデッキを圧縮したいが、余裕があるか?!

・狂気を治療する
……「狂気」はモンスターの呪いの効果で捨て札等に置かれたり、自分の魔力カードの山札を再シャッフルする際に1枚狂気カードの山札から入れてからシャッフルすることで、どんどんたまっていきます。
手札では何も役に立たないカードなのでどんどん手札の回転が悪くなるうえに、カードを引いたときに6枚とも狂気カードだったら発狂して脱落となる。狂気カードの山札から狂気が引けないときも負け。なるべく狂気カードの山札に戻したいのですが……

……2魔力で1枚狂気の山札に戻せます!
なお、基本呪文の《発火》で破壊できますが、狂気カードの山札には戻らないので要注意。

・呪いを破壊する
……敵が出現した時に、3枚+αの呪いが配置されるのですが、その呪いごとに記された、必要な魔力を払って破壊します。

報酬として2魔力の魔力カードが貰えるし、この呪いカードを次のモンスターが出るまでにすべて破壊しないと、モンスターは逃げ出してしまいます(呪いは次のモンスターが出現でリセット)。

敵となるモンスターは、魔導書から封印を解いて現れます……

モンスターがあらわれるのは、ターンマーカーが[1]のスペースに置かれた時。

モンスターは現われたときに呪いを吐き出します。

アイコンで描かれた3つの呪いと、ラウンド進行で置かれる対応する呪いカードを引いてスペースに詰めて置く。

右のページは、逃亡判定時の報酬とペナルティ、次のモンスターの呪いの色が書かれています。

毎ターン、モンスターの逃亡のステップで本の形のターンマーカーが1つ進むわけですが……

呪いがあったら、その呪いが発動。
たいていろくなことがない。
上図だと、モンスターが配置された時のプレイヤーが呪いを破壊できれば回避できた。

各モンスターは5ターンの間にそのモンスターによる「呪い」を破壊することで再封印できます(ターンマーカーが過ぎ去ったマスの呪いも破壊できます)。
5ターン目が過ぎた時、ターンマーカーがモンスターの逃亡チェックのマスに来たら、呪い全部破壊でモンスターは封印され、報酬が貰えます。どれか1つでも残っていたら、モンスターは逃亡し、ペナルティが課せられます。

この置かれる呪いは難易度にもよりますがだんだん増えていき、最後には5枚の呪いが並びます。

最期のボスは、すごい呪いを持ってるぞ。

この「呪いを全て5ターンの間に破壊する」を6回繰り返すことになるのですが、勝利のためには各プレイヤー間で、そのために必要な魔力カードの配分、呪文のコンボの確立、役割分担などの作戦レベルの決断から、実際の呪文の使用やアクションの使用などの戦術的な決断まで、全員が全体を見晴らして効率よく協力体制を整えなければなりません。
特に、敗北条件となる「狂気」の管理も重要だし、次々現れるモンスターの能力や呪いの効果とから、手番順をかんがみて手順を組み立てるのも大事。
カードの能力の相乗効果を相談して組み合わせ、分担する部分は、TCGのチーム構築のような感覚。ちょっと目新しい協力型ゲームである点に惹かれる方、TCG系のプレイヤーを引き込みたい方、魔法学校というシチュエーションが好きな方、デッキのマネジメントをするのが好きな方、さすがお兄様、という方には強くオススメします。

大いなる狂気の書
プレイ人数:2-5人
対象年齢:12歳以上
プレイ時間:60-90分
製作:Iello
デザイン:マクシム・ランブール
価格:5,800円+税