クアリッタの音楽室  「アーカイアでの歌姫とは 〜 英雄大戦・後期」
こんにちは、瑠璃の歌姫クアリッタです。今回は、英雄大戦が進むにつれ、歌姫という立場がどう変わっていったかについて、お話してまいります。

英雄大戦においては「機奏英雄を見つけたら歌姫」という基準緩和により、あまりにも多くの低位の歌姫が世に輩出されました。これは黄金の工房の分裂により成立した「無色の工房」がアーカイア各国へ浸透し、アークドライブや歌姫の首飾りなどの幻糸の利用技術が世界に拡散したことで、大戦後半にかけて加速していきます。
各国が勝利を得ようと開発した絶対奏甲や新機構が、その傾向に拍車をかけます。歌姫の負担は大きくなるにも関わらず、経験は浅く、歌術についての知識・学習も十分ではない歌姫を連れた英雄が多い中、奏甲の性能で戦力を向上させることが目標とされたからです。特に大戦末には、英雄や歌姫の安全性を無視した機能を持つ奏甲まで、戦線へ投入されました。
これらの「歌姫の兵器化」に異を唱え、英雄をその原因として危険視し、早いうちから激しい抵抗運動をしていたのが「自由民」と呼ばれる歌姫のグループです。
自由民は、評議会によるポザネオ島の集会場での英雄と歌姫の引き合わせ会に反対し、アーカイア人でも戦闘起動が可能な奏甲「キューレヘルト」をもって妨害しようとしていました。(数機しかない奏甲を強奪されたために決行されませんでした。)
自由民は歌姫セリアメンテに率いられていましたが、集団は一つではなく、歌姫試験の基準緩和前の厳しい歌姫試験に合格して任命された歌姫たちを中心に、アーカイア各地で同様のこころざしを掲げ、それぞれで抵抗運動をしていました。実際に各地へセリアメンテの指示などが伝えられ、連携も見せていたようですが、場所により状況も対応も異なったようです。
セリアメンテが率いた集団の次に知られているのは、クリスタルバルトに本拠地を持つと考えられる自由民キャンプです。ハルフェア出身の歌姫がリーダーだと噂されています。白銀の歌姫が評議会から離反した際、一時的にヴァッサァマインに味方したようですが、フェアマインにおけるクロイツ・ゼクストをはじめとする奏甲の活躍により、白銀の暁が逆転すると、なりを潜めてしまいました。英雄と奏甲が戦局を左右することを、認めざるを得なかったからだといわれています。
とはいえ大戦後のアーカイアで、「歌姫至上主義」ともいえる自由民の思想は、一般の人々や教育機関でも根強く残っていきます。

英雄大戦後期には、歌術を行使すると言う点で、それまで考えられていたよりも多くのアーカイア人が歌姫になれるのだ、という「身近な力」として、一般の人々の脳裏にも記憶されます。
一方で自由民の行動のために、危険な集団ともなりうるということから、大戦前の絶対的な権威や憧憬は、歌姫という地位から失われていました。 そして、それに更なる変化をもたらしたのが、黄金の歌姫と白銀の歌姫のポザネオ島での決戦でした。
次回は、この決戦と大戦後の世での歌姫について、お話いたします。

それではまた、この音楽室でお会いしましょう。