ノイエン:はいはーい。今日はファゴッツランドからお届する「アーカイアの車窓から」第5回で〜す。もちろん国はファゴッツっ。都と国の名前が覚えやすいと、こどもたちは助かりますね!ゲストのカタリナさん。
カタリナ:はいはーい。カタリナでーす。そうですよ。ファゴッツはトロンメルとかシュピルドーゼほど広くないし、地名も少ないから地理の勉強楽チンですの!
ノイエン:ファゴッツというと砂漠の国というイメージなんですけど、ファゴッツランドにいる分には水に困ったりしませんね。日差しが強いのが危険だけど。
カタリナ:ええ。なにも不自由しませんよ。国内でも北の方は乾いてるけど、碧玉遺跡や南のトロンメルとの国境を越えたあたりは、温泉が沸くくらい水は豊富だし。
そうはいっても国土の6、7割が砂漠だから、やっぱり砂漠の国ねファゴッツは。暑いけど薄着でいると真っ赤っかになっちゃいますよ〜。
ノイエン:ファゴッツランドも、水に困らないとはいえ高い建物はないし郊外にはテントも多くて、いかにも砂漠の国の都という印象を受けます。だけど暑さにめげずに商売熱心なんですよね、ファゴッツの人たちは。
カタリナ:すこし我慢すれば隣の国に入れるし、ちゃんとキャラバンを組めば苦労しないですから。その貿易で国外からおいしいものとか珍しいものとかを買ってきたり、またそれを買ってくれるところへ売りに行くんです。
ノイエン:貿易国ですね!そんな中で有名どころとしては、南国境付近にある「碧玉遺跡」は歌姫大戦の伝説の遺跡なんですよね。その反対側、北のヴァッサァマインとの国境付近には「ガイスト城」がある。
カタリナ:「幽霊城」は有名だけど、行く人はいないですよ。戦はしないし、あきないに役立つこともないし。リーチェオさまが城下町でも造る気になられたら別だけど。
ノイエン:幽霊が出るんじゃ困るでしょ。だけどどうして廃城になっちゃったんでしょうね。
カタリナ:それよりは碧玉遺跡ですよ。歌姫大戦のときに一番活躍した機奏英雄が祭られている霊山ですの。お賽銭をたくさん投げて、お祈りするといいことあるかも!エタファからリーズ・パスを越えて来られる方は、ぜひ寄ってお賽銭投げてね。
ノイエン:トロンメルとシュピルドーゼの中継点でもありますよね。
カタリナ:そーねー、クリークバルトがあるからトロンメルとシュピルドーゼの行き来はファゴッツを通ったほうが楽ですもん。深い森をよいしょ、よいしょと行くよりは、晴れた夕刻にきれいな双月を見上げてのんびり砂漠をいきましょう。そのほうが取引の機会も増えますよきっと。
ノイエン:じゃ、旅行者は日焼け止めとキャラバンの仲間をそろえると、楽しいたびが出来そうですね。
カタリナ:ですね〜。からっと乾いてさわやかな暑さと自由の都、ファゴッツランドをよろしく!
ノイエン:ということで、あきないの国ファゴッツの都ファゴッツランドからお送りしました。
次回はクアリッタと2人でポサネオ島からお送りします。それでは次回をお楽しみにっ。

§ ファゴッツ

地図
北にヴァッサァマイン、西から南にかけてをトロンメルと国境を接する商人の国。統治者はリーチェオ女王。都はファゴッツランド。領土の7割が砂漠で、残り3割はトロンメルとの国境でもある西の山脈沿いと南のリーズ・パス方面だけとなる。とはいえ水に関してはトロンメルとの国境を底辺とし、ファゴッツランドを頂点とする三角の形に地下水脈が存在するため、この範囲内の地域は若干深い井戸を掘るだけで水に困窮することはない。とはいえ食料を始めとする様々なものの自給率はやはり低く、商業に傾倒しやすい歴史を持っていると言える。
国家間関係は良好とはいえずクリークバルトのため地理的にも行き来に手間のかかるトロンメルとヴァッサァマインという2大大国の間で交易路としての利益を享受している。間柄の悪い両国間に立って、両国ともにそれなりに食い込んでいるところはいかにも商人の国と言えるだろう。
それを別にしても、ベーゼン商会を筆頭とする商業ギルドによるアーカイア全土への流通網は、物・情報の両面でファゴッツへかなりの利益を流入させている。その経済力を背景に黄金の工房とも多量の取引があり、絶対奏甲の部品までを含む製品の物流や様々な手配・調整、一部は生産も行っている。このように赤銅の歌姫率いる工房との関係も深いが、隣国の実質統治者で歌姫でもある白銀の歌姫や、彼女が率いる最高評議会ともやり取りはあるし、流通網が有ることもあってアーカイアすべての国家・地域と関係を持っている。

また絶対奏甲やアークドライブの関連を扱うことから幻糸鉱山とのやり取りでシュピルドーゼとも交易がある。これには海上輸送が利用されており、アーカイアの東海に定期航路を設けている唯一の国家でもある。
商業的な力で見ると代表するベーゼン商会に至っては、公式に認められることはないが、一般の人々に「扱わないのは蟲(奇声蟲)と歌姫のみ。」とまでいわれるほど。
領土内で知られている場所としては、北のガイスト・シュロス(シュロスは「城」の意)、南には碧玉遺跡がある。
ガイスト・シュロスは歌姫戦争のクリークバルトでの大戦闘の最前線となり壊滅したという言い伝えもあるが、事実はわかっていない。城内に死体や絶対奏甲の残骸がなく、すべて亡霊となって徘徊しているという「怪談」のほうが一般的に流布している。それを信じているのかどうか不明だが、城のないファゴッツランドから都を移すといったようなことは、歌姫大戦以来ない。
碧玉遺跡には歌姫大戦で活躍した機奏英雄が、その乗機の絶対奏甲と歌姫までとともに祭られていると言われている。この遺跡はファゴッツランドとトロンメル中部を結ぶリーズ・パスを通る大街道の脇に位置する丘にあるため、詣でる旅人は多いが遺跡の玄関口にある祭壇までのことで実際にその機奏英雄なり絶対奏甲を目で見た人間はいない。基本的には旅の無事を祈るまでのことである。
ファゴッツ出身の歌姫としては、カタリナ、ラピスラズリ、ニナ、シュリアがいる。自由な気風に沿って服装もこれといった共通項はないが、歌姫に限らず砂漠の陽光をさえぎるためラピスラズリやニナのように布が多いものを着、足を保護するために頑丈で丈の高いブーツを履くのが普通である(カタリナはお嬢様育ちなために軽装で、シュリアはあまりそういう面に気を配っていない)。