アーカイア北方の歌術の国。都は「白銀の都」フェアマインで、同名の「フェアマイン城」を中心とする大城下町を形成しており世界でも名の通った城塞都市となっている。
北方に位置することもあり全域が寒冷地で、都が「白銀」の名を冠されるのは雪が降ることから来ている。ただし、隣国ファゴッツ方面へ向かって南東へ行くと急速に土地が乾燥していき、ファゴッツ領内へ入ると砂漠化が顕著となる。これは、この方面に地下水脈などが存在しないのではないかとの推測の論拠ともなっている。
逆に南西へ向かうと緑豊かになっていき、トロンメルとの国境付近は森が広がっている。これが歌姫大戦の古戦場「戦の森(クリークバルト)」で、この森が関係の良くないヴァッサァマインとトロンメルの衝突を地理的に防いできた 。
ドンナーベルク、クリスタルバルト、虹諸島など、気候的/現象的に不思議な土地が多く、歌術の広まりとともに神秘的な国という印象を強めている。。
他国の一般層には、歌術が盛んであることも手伝い「魔術の国」といった理解がされているが、実際には歌術を体系化し、道具を作ったりするような技のように広めることの出来る「技術」あるいは「学問」として歌術に取り組んでいる。
その取り組み方は、歌姫として最高評議会に認められるかどうかを問わず、国民がほぼ義務教育として歌術を学ぶほどで、歌術に必要なチョーカーがあればほとんどの女性が歌術を行使できるのではないかと思われるほどである。
(歌術に必要なチョーカーはポサネオでのみ作られているもので、アークドライブやそれを組み込んだ絶対奏甲と同様、最高評議会の承認なしでは手に入らない。)
また、それにともない「アーカイア人」としての誇りも高く、別の世界の力を借りることを意味する機奏英雄や絶対奏甲の力を頼らずとも、奇声蟲を殲滅できると豪語する者もいる。その自信は、国内にあるドンナーベルクを始めとする過酷で不可思議な場所での修行に裏付けられているのかもしれない。
この国を挙げての歌術への傾倒のため、隣国トロンメルからは「歌術でさまざまなことの手を抜いている」という誤解を招いたまま、国家間でも仲が悪い。
逆にもう一方に国境を接する国ファゴッツとは商業的にも政でも近い存在である。ヴァッサァマインから乾燥しがちなファゴッツへ水確保のために氷を輸出していたり、産業のための労働力の手配をファゴッツがおこないヴァッサァマインへ斡旋するといったことを始め、雪の国と砂漠の国の関係は深い。
統治者は女王キサラ・キサラではあるが、白銀の歌姫に任命されていることもありフォルミカが実権を持っており、国内での人気も絶大である。
黄金の歌姫以外に歌姫としての力で凌ぐ者のいないとされるフォルミカは、ヴァッサァマインの歴史上でも希代の才女であると評され、民の誇りとしても広く支持を受けているのである。最高評議会の議長職を勤める一方で、実務は女王キサラ・キサラが執るもののヴァッサァマインの国務で重要な判断のほとんどがフォルミカに仰いでから執行される。
虹諸島、翼風諸島を始めとする島地域や、トロンメルを介さないルートの確保のため船舶を所有しており、トロンメルほどの数はないものの北海の荒海をものともしない頑強さと、歌術を用いた装備などによって民間、軍事問わず能力は高い。
また過酷な寒冷地でもあるため、陸の部隊も水軍に劣らず高い練度を誇り、こちらでも歌姫で構成された部隊との連携が他国では見られない特徴となっている。
一方で絶対奏甲への依存心が低く、今回の騒乱では絶対奏甲ごと参加する機奏英雄が馳せ参じるまで、ごく少数しかみられなかった。
それさえ受け入れずに、自由民として歌姫のみの集まりを構成している人々もいる。民の歌術に対する適応の高さからすると他国に比べて多数の歌姫がいてもおかしくないが、最高評議会が多数の歌姫を認知したポサネオ集会場の件では、機奏英雄と絶対奏甲への考え方から召集に応じた人数が少なく、よって知られている歌姫も少ない。
白銀の歌姫フォルミカのほか、ヴィオレッタ、プリムラがヴァッサァマイン出身である。ヴァッサァマインの歌姫たちのいでたちは、寒冷地の住人であることを反映して長くボリュームのあるスカートに見られるように、他国の衣装に比べ使う布地が多い。造りとしても材質や裏地の付き方などの点で、北方で必要とされるような厚手の衣となっている。
また、髪に関しても衣装に応じて長く伸ばしたボリュームのある髪型が、歌姫に限らず多く見られる。
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