アーカイア最大の領土を持つ大国。都は「麗しの都」エタファ。統治者は女王ゼロッテ。
「北氷山脈七峰」を含む「九つ峠(ノイン・パス)」のある連峰以北を「北部」、都のエタファから東に帯を敷いたように見て「リーズ・パス」周辺を含める「中部」、それ以南の「南部」と3つの地域として把握することが多い。これは地域の危険度と地形によるもので中部は安全度が高いとされ、同時に穀倉地帯として大国トロンメルを支えている。
礼節の国とされるだけに、広く人々は礼儀正しく親切。広い領土は、そのような気質の人々と、それを見習う人々が賛同してトロンメルという国家に参加することから来ると考えられる。その点では「人々の規範となる世界の指導的国家」という面は正しいといえる。
隣国のヴァッサマインの人々が歌術を使いがちであることを、人本来の勤労をせずに怠けていると一般の人々も見ており、国家関係としても相反しがちである。
都市部はそのほとんどで快適に生活ができるが過疎地はそうではない。アーカイアにおいては長距離移動を便利にする乗り物などが発明されていないのも手伝って、広い領土をカバーしきれていないのが実情である。まだこの世界では「面」で領土を治めているのではない。これはアーカイアのどの国家にも当てはまる。
アーカイア全域で知られている場所としては「ドラッヘン・トーア」「戦いの森(クリークバルト)」「竜ノ湖」「ゲッター・トーア」「ノイン・パス」「リーズ・パス」「神々の峰」「ヴェストヴィンド岬」「ユヴェール湖」と広さに応じて数多い。
そのほか、秘境「トーテス・タール」やポサネオ島との間の海域にある「亡霊島」、南部の危険地帯である「蟲ヶ森」などはまだ知られた場所で、それ以外にも各国家の首脳部クラスしか知らされない場所として「隠者の洞窟」、リーズ・パス地方にある閉じられた高地「神々の峰」、黄金の歌姫の秘密が眠るとも言われる「リート・グロッテ」といった場所がある。それらは、それぞれの国家や高位の歌姫による様々な形での調査や監視の目が途絶えない場所でもある。
都エタファはポサネオ市と関係が深く、都の発展が優れた開発計画に則って進行したこともそれと無縁ではない。一般の市街地の造りもそうだが、騒乱で大々的に使用されるまでは秘中の秘であった、ポサネオ市との間を結ぶ大規模な水中海底道はその関係の表れでもある。
もちろん女王と最高評議会との関係も密である。軍事国家を自ら称しているシュピルトーゼが西進してトロンメルを脅かさないのは、トロンメルの軍事力と評議会の政治的な圧力によるところが大きい。とはいえ礼節の国だけあって後ろ暗い部分はなく、その忠誠は正しく黄金の歌姫に向いている。
そのトロンメル軍も、ポサネオとの貿易やさらに直接的な取引のため質が高く、自前の造船技術と内海に面した大規模な軍港整備の効果とあいまって水軍を始めとする強力な軍事力の保持に結びついている。ただし絶対奏甲は歌姫大戦以後ポサネオ島外にはないことになっていたため質以前の問題としてトロンメル軍に存在しなかった。
さらに礼節を備えた国民が、不当な侵攻や謀略に対して徹底的な反撃をするであろうことを、シュピルトーゼ側がわきまえていることもある。
造船技術の優秀さは、絶対奏甲が全面的に投入される以前に建造された軍事用船舶が、多数の絶対奏甲を輸送・支援可能であるほどの能力を備えていることが証明しているといえよう。
今回の騒乱の初期において、蟲ヶ森からエタファの西に張り出す半島を経由してポサネオ島へ移動した奇声蟲の群れに領土を蹂躙された。
この際エタファには直接の被害は出なかったものの、トロンメル軍は黄金の工房から緊急に譲渡された絶対奏甲と、トロンメル国内で召還されたばかりの機奏英雄を独自に召集して立ち向かい、かなりの損害を出した。
これは評議会から譲渡された絶対奏甲が、200年前に使用されたシャルラッハロートをオーバーホールしただけの機体ばかりだったこと、機奏英雄が召還されて間がなく詳しい事情を理解しないまま投入されたため練度が低かったこと、200年のブランクによって絶対奏甲を集団で運用するノウハウがトロンメル軍から失われて久しかった、などが重なり、一匹の貴族種が百匹以上の衛兵種を率いる群れに対し圧倒的に不利であったことによる。
この奇声蟲の群れはポサネオへ直接出現した群れと一葉に、ポサネオの集会所で歌姫たちとシンクロを果たした多数の機奏英雄たちによってほぼ撃退・殲滅されるわけだが、すでに被害を被ったトロンメル領の復興がされるわけではない。
出身歌姫はリリエを始め、フラウ、リノンがおり、クアリッタもトロンメル出身である。共通するのはやはり礼節整っているところだろう。また出身歌姫には、クアリッタやリノンが肩につけているアクセサリーに見られるように、肩のあたりに羽根を連想させる服飾と、コルセットをつける習慣がある。
|