1888年。ロンドン、ホワイトチャペル地区。 その夜、路地は暗闇のベールに覆われていた。
ジャック・ザ・リッパー（切り裂きジャック）は、影の中を移動していた。ジャックが暗闇にまぎれて逃げ去る前に捕えようと、ガス燈の時代の腕利き捜査官たちが、ここに集合した。捜査官たちが仕掛けた罠は、ゆっくりとジャックに迫っていた・・・
しかし、狡猾なジャックは、実は捜査官の1人になり済ましていた・・・ はたして他の捜査官たちは、彼の正体を見抜くことができるだろうか？
2007年の2人用ボードゲームの賞を総なめにした、2人用傑作推理ボードゲーム「ミスター・ジャック」が、満を持して特選ゲームに登場だ!!
今回は、この傑作ゲームをリプレイ風に紹介しよう。
このゲームは2人用で、1人がジャック側、もう1人が捜査官側となる。捜査官は夜が明けるまで（第8ターン終了時まで）にジャックを逮捕すれば勝ち。ジャックは、夜明け前に街（ゲームボード）から脱出するか、夜明けまで逮捕されなければ勝ちとなる。
今回は自分がジャックとなってゲームをプレイ。
ゲームには、8人の個性的な捜査官キャラクターが登場し、実はその中の1人はジャックが変装しているという設定。ということで、キャラクターは捜査官ではあるものの、最初は全員が容疑者でもある。逮捕するためには、この変装を見破らなければならない。
まず準備段階で、「今回のジャックは誰に変装しているか」ということで、アリバイカードを引く。（当然このカードを見ることができるのはジャック側だけで、捜査官には秘密である。）
なんと、シャーロック・ホームズだった。
このホームズがくせ者で、毎ターン（厳密にいえば2ターンに1回）ランダムに1人ずつ容疑者の無罪を晴らしてしまうので、序盤は捜査官側が使いたいキャラクターだ。なので、自分でコントロールすることが難しいため、まず街から脱出はあきらめた方がいいかもしれないと、心を定めてゲームを始める。
で、ゲームの進行手順は、以下の通り。
１．8枚あるキャラクターカードのうち、ランダムに4枚を表向きにする。
２．4枚のキャラクターの中から捜査官プレイヤーが1枚を選び、そのキャラクターをボード上で移動させ、必要であれば、キャラクターの能力を使う。
３．残り3枚のカードの中からジャックのプレイヤーが2枚選び、1枚ずつそのキャラクターをボード上で移動させ、必要であれば、キャラクターの能力を使う。
４．捜査官プレイヤーは、残った1枚のキャラクターをボード上で移動させ、必要であれば、キャラクターの能力を使う。
５．目撃者がいたかどうかを判定。
６．ターン終了となり、夜が更けて街燈が1つ消える。
以上で第1ターンは終了で、次の第2ターンは以下の通り。
７．残った4枚のキャラクターカードを表向きにする。
８．4枚のキャラクターの中からジャックのプレイヤーが1枚を選び、そのキャラクターをボード上で移動させ、必要であれば、キャラクターの能力を使う。
９．残り3枚のカードの中から捜査官プレイヤーが2枚選び、1枚ずつそのキャラクターをボード上で移動させ、必要であれば、キャラクターの能力を使う。
１０．ジャックのプレイヤーは、残った1枚のキャラクターをボード上で移動させ、必要であれば、キャラクターの能力を使う。
１１．目撃者がいたかどうかを判定。
１２．ターン終了となり、夜が更けて街燈がまた1つ消える。使った8枚のキャラクターカードを回収し、次のターンに備える。
以上で第2ターン終了。3ターン目以降も上記を繰り返すことになる。ゲームは8ターン目が終了すると夜が明けてタイムリミットとなる。
第1ターンでは、極力キャラクター同士を隣り合わせ、街燈の下に集めて目撃者判定の時に無罪確定のキャラクターを1人に抑えることができた。
キャラクターの移動終了後に、ジャックの扮するキャラクターが、
・他のキャラクターと隣り合わせたマスにいる
・点灯している街燈と隣り合わせたマスにいる
・キャラクターのワトソンが持つランタンの光線の届くマスにいる
場合、ジャックのプレイヤーが目撃者がいたと宣言する。
なので、「目撃者がいない」と宣言された場合は、上記の目撃条件に当てはまるキャラクターは無罪となる。
逆に、「目撃者がいた」場合は、上記の目撃条件に当てはまらないキャラクターが無罪となる。
無罪となったキャラクターは、キャラクター駒を裏返して表示する。
裏返ったキャラクターは、以後無罪キャラとして続ける
第2ターンは自分が先手。うまくシャーロック・ホームズを引き当て、相手にヒントを与えない。結局のターンもキャラクターの能力で街燈移動に成功し、無罪確定キャラを増やさずに済んだ。
そして第3ターン。第3ターン以降になると、街燈が2つも消えてしまうため、すべてのキャラクターの駒を目撃条件の場所に移動することは難しくなってくる。しかも、相手はホームズを引き当てて、無罪確定キャラ1人分の情報を得てしまった。ここはまだ勝負ではないと判断し、極力キャラクターを目撃条件に当たらないマスに移動して終了。目撃者判定で、無罪確定キャラ2名が増えてしまった。残る容疑者は5名。（ホームズの能力で引いたキャラが、無罪確定キャラと被っていなければ4名）。
第4ターンで、この段階で容疑者が5名も残っているのは上々の出来。ここからは、街からの脱出も視野に入れて、撹乱も含めて激しく動くことに決める。レストレード警部の能力で、街の非常線を撤去して、容疑者たちを出口付近に集めてみる。
レストレードは、街の出口封鎖を別の出口に移動できる。
案の定、敵も乗ってきて容疑者全員が、目撃条件になり、ここで無罪確定キャラは増やさない。
第5ターンも撹乱を続ける。幸いキャラクターカードでシャーロック・ホームズが出なかった為（ということは、次のターンで自分が使えるということ）、次のターンで街から脱出できるべく行動をしてみた。
街から脱出は、前のターンに目撃者がいなかったときしかできないルールなので、目撃者なしの状況を作りつつ、退路の確保をしようとしたが、キャラの能力で街燈が移動してきて、ホームズが照らされてしまい、失敗。しかし、この段階でも容疑者5人はキープ。
第6ターン。もちろん自分は先にホームズを選択するものの、前のターンに目撃者がいたので、脱出はできない。あまり出口付近をうろうろしてるとばれてしまうので、ひたすら場を撹乱することに専念して、8ターン目まで粘ることにした。このターンはホームズが目撃されなかったため、新たに無罪確定キャラが2名増え、残る容疑者は3名となった。
第7ターン。もう粘ることしか考えず、ホームズの正体がジャックであることがばれても、捕まらない位置に逃がすことに専念。近くのマンホールに蓋をして離れた場所からのワープを防ぐなど、防戦一方の配置。結果3名中2名の無罪が確定し、ホームズがジャックであることがバレた。
ジャック逮捕のルール
ジャックを逮捕するためには、他のキャラクター駒を、ジャックと思わしきキャラクターのいるマスに移動しなければならない。逮捕したキャラクターがジャックではなかった場合は、即座に捜査官側の負けとなる。
現在の配置で、唯一ホームズに届くキャラは、障害物に侵入可能で、移動力が4あるステルシー女史のみ。しかし、第7ターンで出なかったということは、次の第8ターンで自分が使えるということだ。
ステルシーは障害物に侵入可能で移動距離も長い
第8ターンは、予定通りステルシー女史を遠ざけ、この時点でジャックの逮捕が不可能であることが確定。無事勝利の運びとなった。
ゲームのプレイ自体まだ3回目ではあったが、毎回展開が違い、またプレイしたくなるゲーム。各キャラの個性的な能力、カードの引き運、駆け引きとブラフ、8ターンという時間、そして推理。どれをとっても絶妙のバランスに仕上がっている傑作ゲームだ。
対象年齢9歳以上、プレイ時間約30分、プレイ人数2人
ルール日本語訳付き、￥5,000+税