【ダイスエイジ連載】「『ダイスエイジ』が生まれるまで」(第2回)


こんにちは、ゲーム開発課です。
今回は当社オリジナルボードゲーム「ダイスエイジ」発売を記念して、デザイナーの佐藤敏樹さんにデザイナーズノートを寄稿していただきました!
今回はその2回目です。


佐藤敏樹さん:
「ダイスエイジ」システムデザイナー。「さとーふぁみりあ」主宰。
最近の代表作は「8bit Mockup」など。詳しいプロフィールはこちら


1週間ぶりのご無沙汰です。さとーふぁみりあの佐藤です。

今回は「『ダイスエイジ』が生まれるまで」ということで、このゲームの着想を得てからゲームとして産声をあげるまでをお話ししようと思います。

『ダイスエイジ』のアイディアは、10年前のシャハト(※1)の作品『シャンハイ』 から得ました。
『シャンハイ』は2人用ゲームで、複数個のダイスを振ってその目に従って配置していき、各ダイス目ごとにマジョリティを競うゲームです。

【編注】
(※1)シャハト……ミシャエル・シャハト/Michael Schacht。「ズーロレット」「モンド」など。

この「複数個のダイスを振ってダイス目に従って配置する」というルールをベースにして、4人まで遊べる『Aqua Biz』というゲームを作りました 。この『Aqua Biz』は自分の水族館にイルカやシャチ、ジンベイザメなどを集めていくゲームです。
何度もテストプレイを重ねたのですが、テーマとシステムがいまいち噛み合っていなかったり、競り負けたプレイヤーがとても不利になってしまうなどの不満要素があり、完成にはいたりませんでした。
また、『シャンハイ』をベースにしているので独創性に欠けるのではないかという思いも製品化を思いとどまった要因のひとつでした。

その後、『Aqua Biz』は5年ほどお蔵入りしていたのですが、3年ほど前に『ベガス』 というゲームに出会いました。
この『ベガス』は2012年のドイツ年間ゲーム大賞(※2)の最終選考に残ったダイスゲームです。このゲームも『シャンハイ』のダイス配置ルールをベースにしていました。
そのとき閃いたのが「『Aqua Biz』も製品化してもいいんじゃないか」ということでした。ただ、5年前の不満要素を解決しなければ製品化にはたどり着けません。
そこで『Aqua Biz』をあらためてお蔵から出し、考え直すことにしました。

【編注】
(※2)ドイツ年間ゲーム大賞……ドイツで選定されるボードゲームの最も権威ある賞。審査員の評価で選ばれる。2012年の大賞受賞作品は「キングダム・ビルダー

『ダイスエイジ』は獲物ごとのマジョリティを競うゲームですが、『Aqua Biz』のルールは異なり、同じ種類のカードを集めれば集めるほど高得点になるというものでした。イルカ1匹なら1点、2匹なら4点、3匹なら9点といった具合です。でも、これはテーマとあっていません。。。

「同じ種類が5つくらいあって、集めるといいもの」ってなんだろうと悩んだ末に「瀬戸物」が浮かびました。よく「食器5点セット」が売られていたり、古美術でも5つすべて揃っていると高値がつきますよね。そういうイメージです。
そんなわけでしばらくは『セトモノマイスター』というタイトルでディベロップを進めていました。
ただ、どうもピンと来ません。瀬戸物を買うためになんで行列に並ぶ必要があるんだと。瀬戸物でなく、骨董品とかにテーマを替えてみてもしっくりきません。

そんな折、長谷川登鯉さん(※3)が好きな原始時代をテーマにしたらどうだろうと想像を膨らませてみました。

【編注】
(※3)「ダイスエイジ」のアートデザイナー

そうしたら、マンモスに群がる原始人がイメージとして広がっていきました。

そして、とどめをさした人が獲物を取るという理屈ならしっくりくるじゃないですか!

これはもう「原始時代」しかないという感じになりました。

さっそく長谷川さんに相談を持ちかけたところ、すぐに仮のコンポーネントを作ってくれました。
2016年の夏のことです。これでテーマは決定です。

もうひとつの不満点(競り負けたプレイヤーの不利さ)も、テストプレイを重ねるうちに解決策が見つかってきました。
それは、競り負けたプレイヤーにもう1回競りへ参加するチャンスを与えるというものです。簡単に言うと敗者復活戦のようなイメージです。(ウルトラクイズ世代だとわかりやすいのですが。。。)
原始時代のテーマで妄想を広げると、狩りに失敗した戦士たちがそのまま家に帰るわけにもいかず、次の狩場へ向かう様子が浮かんできました。こうして「エクストラハント」という要素が生まれました。

こうして不満要素も解消され、晴れて製品化しようと考え始めていた矢先、ホビージャパンのねいじまさんと出会います。
2016年11月24日のことでした。

この続きは次回「『ダイスエイジ』のディベロップメント」でお話ししましょう。


いかがでしたか?
この連載は第三回「『ダイスエイジ』のディベロップメント」、作者・佐藤さまとディベロップメントチーム宇藤との対談を掲載します。
次回掲載は11月24日(金)(予定)!
お楽しみに!


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