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古き王の眠りを破るは・・・はたして――何者 『DD1:大帝王の墳墓』 好評発売中!

 ショベルが岩にあたって音を立てた。ショベルを使っていた者は不機嫌そうに歯をむき出してうなった。茶色い、毛むくじゃらの手を振って、しのつく雨のなかで上に目をやった。
 その上から鋭い声。
 「掘るがよい。手を休めるなら、きさまの皮を生き剥ぎにしてくれようぞ」

  穴の底にいる、茶色い毛むくじゃらな人型生物――“ヴァラグ”と呼ばれる種族の戦士から、上の声の主の姿は見えない。けれど見るまでもなく、相手のことはわかりすぎるほどわかっていた。すべすべした肌に絹の服を着た大馬鹿野郎だ。 ショベルが音をたてた。また石だ。
 ヴァラグはショベルを投げだし、酒の皮袋に手をやった。一休みせねばやっていられなかった。
 と、そのとき。頭上の暗闇から緑の球体が降ってきて、ヴァラグの手から酒の袋をはねとばした。
 ヴァラグは痛みと怒りにうなり声をあげ、手のやけどを、もう一方の手でおさえた。目の前で、酒の袋は緑の液体にのまれて、影も形もなくなってしまった。ヴァラグは上を見た。すべすべした肌の魔法使いをにらみ、手にしたショベルをまるで斧のように構えて。
 そして彼は相手の目を見た。――ああ、その目のなんという恐ろしさよ。
 ヴァラグはふたたび地面の泥と石に向いあった。ヴァラグはふたたび地面を掘りはじめた。


冒険の背景

 山を見上げてなだらかな丘がいくつもつらなる、その丘のひとつのふもとに、キングズホルムの町がある。町がいつごろできたのか、誰も知らない。宿屋“花かんむりとキャベツ”亭の主人イアン・ターブランドによれば、彼の一家はこの宿を営んですでに三百年になるというのだが、さて、本当かどうか。キングズホルムはこのあたりの他の町とおおむね同じように見えるが、一つ違ったところがある。――墓地である。
 キングズホルムの墓地は町のそばの丘陵地帯、丘の上および地下に築かれており、数世紀の歴史を有する。町の住人の中には、この墓地は町のできる前からあったのだと考えている人もいる。キングズホルムのほとんどの人は、この墓地の長い伝統と格式を誇りに思っている。キングズホルムでは、名のあるりっぱな人が死ぬと、墓地の中心部の霊廟に葬られることになっている。町の衛兵たちは、現地では“番兵”と呼ばれているが、この人々は町の通りの見回りと同じくらいひんぱんに墓地の見回りをする。
 この墓地で最も目につくものは、実のところ町のすぐそばではなく、町から北へ1マイルほども行った丘の上にある。そこには大昔の王の像が立っているのだ。この王が何びとで、なぜここに像があるのか、町の誰も知らない。けれど人々はこの像をたいそう畏れている。実際、町の人々に、きちんと手入れをした墓地を怖がる者はいないが、王の像を敢えて訪う者はごく稀である。


冒険のはじまり

 PCたちが“花かんむりとキャベツ”亭でくつろいでいると、裏手の部屋で物音がする。宿の亭主のイアン、町の衛兵の制服を着た女が1人、それに金持ちそうなドワーフが1人、扉を抜けて広間へ入ってくる。そして主人は迷いなくPCたちのテーブルにやって来る。


 「あんたがたは傭兵かね」と言い出したのは、この宿の亭主とおぼしき大男です。そして彼は、黒い目であなたがたをじっと見て、自分の見込みに間違いはあるまいという目をして言います。「それとも冒険者かね。わしらはちょうど今の今、勇気があって腕の立つ人を探してるとこなんだ。金ははずむよ」

 衛兵の制服を着た女のほうを指差して、亭主は話を続けます。「ミア隊長が言うことには、古い墓場で事件があったそうな」隊長と呼ばれた女は心配そうな面持ち。わきで話を聞いている人たちも、なにやら怖がっているような様子です。亭主はさらに続けて、「わしらには入り用なんだ、あんたらの助けが、それも今すぐ!」