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公式アドベンチャー・シナリオ紹介記事 『影のピラミッド』プレイレポート

文:塚田与志也(「ゲームジャパン」2009年8月号掲載記事に一部加筆修正)


 D&D第4版をじっくり遊ぶなら、手ごたえ十分の公式シナリオはいかが? 
 GamedayなどでD&D第4版に触れ、「もっと遊んでみたいけどどうすればいいの?」という方にも、公式のシナリオで世界中のプレイヤーと同じキャンペーンを戦い抜いてみたい方にもお勧めなのが公式アドベンチャー・シリーズだ。
 現在、1レベルから10レベルまで、たっぷり遊べる3冊がそろっている。ここでは、3冊目にあたる「影のピラミッド」の魅力やDMとして遊ぶ際のアドバイスを、実体験をもとにお送りする。


影に包まれたピラミッドの謎を解け!
 『シャドウフェル城の影』『雷鳴山の迷宮』に続く3作目のシナリオである『影のピラミッド』には、広大なダンジョンを舞台としたバラエティ豊かな冒険が待っている。ピラミッドに待ち構えるモンスターたちは、英雄級の後半に達した強力なPCをしてなお手ごたえのある敵ばかりだ。
 コボルド・ゴブリン・おまけのペットたちなどとの戦闘には飽き飽きだという方には、ぜひこのシナリオをお勧めしたい。このシナリオに登場するモンスターは実に多種多様であり、同じモンスターが3回以上出てくることはほとんどないし、人型クリーチャーだけを見ても5種類以上の次元界の出身者が含まれているのだ。その上、『モンスター・マニュアル』だけでは足りないとばかりにオリジナルのモンスターまで複数追加されている。
 このシナリオはひたすら1つのダンジョンを探険し続けるものであるため、キャンペーンの一部としてでなく独立したシナリオとしてプレイしてもまったく問題はない。7レベルに達したPCの強さを手軽に味わうにはもってこいの冒険と言えるだろう。
 だが、『影のピラミッド』はダンジョン内の部屋を端から順に掃討していくような単純なシナリオではない。このダンジョンはいくつかのエリアに分かれており、エリアごとにまったく違った雰囲気の冒険が待っている。ダンジョンの住人と交渉して戦闘を回避したり、見つけた罠をわざと解除せずに敵をおびき寄せて罠にはめたり、戦闘と技能チャレンジを組み合わせた遭遇があったりと、単調にならないようにさまざまな工夫が施されているのだ。


DM向けの情報:シナリオ全体について
 影のピラミッド内部はエリアごとにまったく様相が異なっており、さらに遭遇をおもしろくするためにさまざまな仕掛けが設定されている。PCたちが未踏査領域に入るたび、しっかりと状況を描写し、充分な情報を与えるよう心がけること。これはゲームの雰囲気作りと円滑な進行の両方に役に立つ。
 同じシリーズのこれまでのシナリオにも言えることだが、このシナリオでPCたちが入手できるアイテムは『ダンジョン・マスターズ・ガイド』の基準に比べて明らかに少なすぎる。しかもこのシナリオではPCたちが買い物をする機会が皆無であるため、余計にプレイヤーの不満が溜まりやすい。DMは必ず、プレイヤー全員に「欲しいアイテムのリスト」を提出させ、それらを参考にして充分な量の報酬を与えるべきだ。
 ピラミッド内の各部屋には、全体的な通し番号とエリア別の番号の2つの数字が割り振られている。たとえば通し番号で9番の部屋は、“エリアC−5”とも呼ばれている。この2種類の番号の対応表を作っておいたほうが何かと楽だろう。


DM向けの情報:個々の遭遇のカスタマイズ
 シナリオ内の遭遇のうち、多少手を加えたほうがよいと思われるものについて筆者の意見を述べる。ネタバレにならないよう注意はしたつもりだが、プレイヤーとしてこのアドベンチャーをプレイする予定がある方は以下の文章は読まないで欲しい。
 24ページの遭遇に登場する兵士役モンスターは、このレベルにしてはACが高すぎるため、戦闘が無駄に長引く恐れがある。弱めの兵士役2体に差し替えたほうがよいかもしれない。
 26ページのように雑魚ばかりが大量に登場する遭遇は、プレイヤーの好みやパーティーの構成によってはつまらなくなる可能性が高い。雑魚でないモンスターに置き換えることも考慮してみてほしい。
 46ページの遭遇は戦闘と技能チャレンジの組み合わせだが、敵の戦力が低すぎておもしろくない。戦闘好きのプレイヤーが多い場合、モンスターを適当に追加したほうがよいだろう。
 繰り返し登場する悪役のK氏については、あらかじめ口調や声色を決めておき、プレイヤーたちの記憶に残るような演出を心がけること。彼が登場する頻度は2セッションに1度程度になるだろうから、気をつけないと忘れられてしまう恐れがある。


公式アドベンチャー・シリーズ3部作

 英雄級アドベンチャー・シリーズが3冊そろい、1レベルから始めて10レベルに達するまで。じっくり腰を据えて遊べるようになった。これらの3冊はそれぞれ独立しても使えるが、つなげて遊べば張られた伏線が生きてよりおもしろくなるだろう。それぞれ、3,990円(税込)にて発売中だ。

H1英雄級アドベンチャー・シナリオ シャドウフェル城の影 H2英雄級アドベンチャー・シナリオ 雷鳴山の迷宮 H3英雄級アドベンチャー・シナリオ 影のピラミッド

実際に遊んでみました!

 D&D日本語版翻訳チームや編集部員が集まり、塚田DMのもと「影のピラミッド」を実際に遊びました。皆さんの感想を読めば、あなたも遊んでみたくなるはず。


桂令夫(翻訳チーム)
 当アドベンチャーの舞台となるピラミッドの中は、ある意味「この世界」でない何物かでありまして、ファンタジーならではの風景が多数存在します。巻末にはプレイヤーに見せる用の絵もアリ。しかもそれらの風景は必ずしも単なる一枚絵ではなく、時として冒険や戦闘に大きな影響を与えます。
 結果、個々の戦闘のシチュエーションが一々愉快です。敵を強制移動させて危険な地形に落としこむことや、逆にこちらが強制移動させられないようにすることが重要(ここでドワーフの種族パワーが生きるのは言うまでもない)。段差がある地形でどうやって上に上るか/下に下りるかを考えるのも重要(ここでエラドリンの以下同文)。これが4版「らしい」シナリオにおける4版「らしい」戦闘の1つの形なのだろうなという気がします。
 スピーディな導入も個人的には好印象でした。


岡田伸(翻訳チーム)
 今回はバリバリの武闘派クレリックで参加しました。『影のピラミッド』のモンスターは強敵ぞろいなので、パーティー内の連携と指揮役の的確な支援がないと苦戦することも多いでしょう。英雄級後半になると遭遇毎パワーも増え、指揮役も敵に相当なダメージを与えつつ仲間を支援したり治癒できるようになりますから楽しいですよ。
 ただしその一方で、指揮役が派手に活躍しすぎると敵の集中砲火を浴びることも。プレイヤーの人数が多いなら、指揮役を2人入れたり防衛役の1人をパラディンなどにすると保険が利きますね。
 このダンジョンは各部屋の地形や仕掛けも凝っています。敵を強制移動させるパワーや瞬間移動をうまく使って戦況をコントロールしましょう。間合いのある武器や遠隔攻撃の有無が勝負をわける遭遇も多いですから、いろんな戦闘スタイルのキャラクターが活躍できます。グレートスピア最高!


楯野恒雪(翻訳チーム)
 今回はエラドリンのソードメイジ(『フォーゴトン・レルム・プレイヤーズ・ガイド』に収録のクラス)をプレイしました。ソードメイジの魅力は何と言っても近接範囲攻撃の豊富さ。味方を巻き込む心配なしに使え、しかもAC以外の防御値も狙えるため、多数の雑魚が押し寄せてくるような遭遇では無類の強さを発揮しました。防衛役でありながら多彩なエネルギー攻撃ができるのも便利。また、マークした敵の攻撃が味方にヒットした場合にダメージを軽減できる能力があり、強力な敵が登場する遭遇では、これで味方の被害をかなり抑えることができました。ただし、自己回復手段に乏しいため、自分が集中攻撃を受けると一転ピンチになることも。
 D&D第4版のアドベンチャーは、遭遇ごとにさまざまな仕掛けが盛り込まれており、ただモンスターと戦うだけの単調なものはほとんどありません。ダンジョン冒険のだいご味をとことん追求した新しいD&Dの世界をお楽しみください。


柳田真坂樹(翻訳チーム)
 「影のピラミッド」を冒険した感想としては、とても「4版らしさ」を意識した作りであると言えます。具体的には立体的(高低差がある)、動的な戦場(罠などで戦場にさまざまな効果がある)が多いと言うことです。ゆえに常に戦場の動きに気を払う必要があり、このレベルのPCたちにはそれができるのが成長と冒険者らしさを感じさせます。  それもあって、漫然と戦闘していては勝てなかったり、被害が大きくなったりする傾向があります。モンスター識別は重要ですが、敵の小隊や能力がわからないなりに攻撃の優先順位をつけ、数を減らしてゆかないと勝てないでしょう。
 では戦闘だけの冒険かと言えばさにあらず。
 閉鎖環境のなかで一体何が起きているのか? 不気味なアーティファクトに秘められた物語は? と物語も重要な要素となっています。英雄級冒険の〆にふさわしい冒険でした。


中林(GJ編集部)
 実は今回がちゃんとしたキャラメイクからの初プレイだったので、一からキャラクターを作るというのが初体験なのと、普段はウィザードなどを多くプレイしていたので、ローグという未知の選択肢にしたことが、2重にキャラメイクのハードルをあげてしまいました。
 作る前は「ローグなんて後ろから殴ってればダメージだせるんでしょ?」とか思ってましたが、実際にはパーティー内での連携をよく考えて技能や特技の選択をしないと、戦術的優位を満足に得ることすら難しかったです(当然ですが、序盤はダメージを満足に出せませんでした)。
 技能や特技以外に、武器の選択も撃破役には重要項目でした。今回は魔法の武器を最初から持っていましたが、魔法の武器のクリティカル時の効果や一日毎パワーは戦闘の流れを左右しかねない強さを持っています。冒険者の宝物庫も発売されましたので、少しでも強力な武器、かつ自分に合った武器を選ぶことが重要だと感じました。


瀬尾(GJ編集部)
 私はリプレイ「海燕」で使用しているアウラをそのままレベルアップして使ってみました。7レベルPCともなるといろいろなことができるようになってきますが、中でも5レベルの一日毎パワー、スティンキング・クラウドの強さにはビックリです。
 いろんなシチュエーションでの戦闘があるので、悲鳴をあげながらも次へ次へと進みたくなるシナリオでした。また、エラドリンならではのユニークなアーティファクトが登場し、それをいかに活用するか考えるのがとてもおもしろかったです。