コラム

D&D第5版へのお誘い『モンスター・マニュアル』プレビュー

更新日: 2018.02.16

エティン

 エティンは不潔な双頭の巨人で、オークに似た野蛮な性質を備えている。水あびをせずにすむ限り決してしないので、悪臭を放つ毛皮の服の下の分厚い皮膚には、さらに分厚く埃と垢あかがこびりついているのが普通である。長いもつれた髪の毛が、少しも整えないまま顔にかかっており、歯も牙も虫歯だらけで、その口からもれる息の臭いことといったらない。

 二重人格:エティンの2つの頭は、1つの荒くれ者の肉体に囚われた、2つの別々の人格である。どちらの頭にも独自の精神と個性と名前があり、自分だけの好みと癖がある。生れた時からつながっているため、どちらの精神も、プライバシーだの孤独だのというものはめったに体験できない。あんまりいつも一緒にいるのでお互いを邪魔に思うようになり、もう一つの頭相手にいばりちらしたり言い争ったりする。2つの頭はどちらも相手にバカにされたと思いこむことがよくある。
 他のクリーチャーが特定のエティンを指す時には、2つの名前を組み合せてひとつながりの名前にし、その特定のエティン全体をその名前で呼ぶ。たとえばあるエティンの片方の頭の名前がハーグル、もう一方の頭の名前がヴァーグルなら、他のクリーチャーはそのエティンをハーグルヴァーグルと呼ぶ。

 孤独な暮し:エティンは自分自身とよく言い争うが、他のエティンにはもっとがまんができない。2体のエティンの会話は、ほとんど常に、けんか腰の4つの頭の叫びあいになる。結果として、ほとんどのエティンはたった1人で生き、子をなす時以外は他人といっしょにいようともしない。
 エティンの2つの頭と体はみな必ず性別が同じである。エティンの間では女のほうが支配的であり、エティンの結婚の儀式は女が主導する。女のエティンは、しかるべきねぐらを見つけたのち、男を狩りそして征服する。6 ヶ月の妊娠期間のあいだ、男は女の世話をやき、食べ物を運んでくる。子供が生れると男のエティンは奉仕から解放される。子供が自分で狩ができるようになると、母親は子供を旅立たせ、ねぐらを捨て去る。

 2つの頭は1つよりよい:互いに利のある目的のことをもっぱら考えているとき、あるいは、共通の脅威を前に団結したとき、エティンは2つの頭の人格の違いを乗り越え、おのれの全存在を仕事に捧げることができる。エティンは戦いでは左右の手にそれぞれ一振りの武器を持ち、対応する頭の命令に従って2回の攻撃を行なえる。エティンが眠る時には、頭の片方は起きていて、唯一自分のプライバシーが守られる瞬間を手にする。そして貴重な孤独の時間を邪魔するクリーチャーはいないかと、絶えず目を光らせるのである。

 オークとの結びつき:古い共通語の方言では、エティンという語は“醜い巨人”と訳せる。伝説によれば、昔、とあるオークたちがデモゴルゴンの社やしろに足を踏み入れると、社の魔法がオークたちを変へんげ化させ、“全プリンス・オヴ・デーモンズデーモン族の王”デモゴルゴンの双頭の姿をまねたような体にしてしまった。なかば狂気に駆られて、このクリーチャーは荒野に散らばってゆき、最初のエティンとなった、という。
 エティンの起源の真実はどうであろうと、オークはエティンのことを遠縁のいとことして扱う。オークの部族はしばしば、エティンをおだてそそのかして、番人や物見や略奪者として使う。エティンは自分を操るオークにそこまで忠実というわけではないが、オークは食糧と略奪品の分け前を約束することでエティンの忠誠を買える。