スオミ M44短機関銃【無可動実銃の魅力】

 

戦時下という特殊な環境が生み出した簡易サブマシンガン

 

スオミ M44短機関銃【無可動実銃の魅力】

 

 

 戦争とは消費合戦であり、期間が長ければ長いほど求められるものは性能を落とさず生産性を上げることである。1939年に勃発したフィンランドとソビエトの戦争において、ソビエトに対し圧倒的に国力の劣るフィンランドでもそれは急務であった。

 大規模な戦闘を避け、奇襲や陣地戦を主体とした戦術を行使するためにサブマシンガンが必要となり、ドイツのMP-18をモデルにスオミM31を開発。影響を受けたソビエトもスオミM31をコピーしたPPSh-41を開発し、そのPPSh-41を極限まで簡素化させたPPS短機関銃に発展させた。

 戦線に投入されたPPS短機関銃は、すぐにフィンランド軍に鹵獲され、すぐさまフィンランド軍によって評価されている。構造が単純で5分も使い方をレクチャーすれば簡単に使いこなせることから、戦時下においては理想的な武器であると判断され、今度はフィンランドによってコピーされることが決定されたのだ。

 生産はスオミM31の製造実績のあるティッカコスキ社が、スオミM31のドラムマガジンの生産を他社に移管してまで行なうこととなっていた。

 

 

スオミ M44短機関銃【無可動実銃の魅力】

 

スオミ M44短機関銃(#4797)

  • 全長:825mm(625mm)
  • 口径:9mm×19
  • 装弾数:71/50/36発
  • 価格:¥100,000

 

 

東西両陣営に影響を与えた合理的なSMG

 

 スオミM44は、それまでのスオミM31より安価かつ短時間での製造が可能となった。重量もほぼ半分ほどしかなく、9mmパラベラム弾を使用しスオミM31のマガジンを使えるように設計されたため、兵站に支障をきたさない配慮もされている。

 

 

スオミ M44短機関銃【無可動実銃の魅力】

レシーバーとバレルジャケットは、1枚の鋼板を切断し曲げてから組み合わせて溶接している。設計の優秀さはスオミサブマシンガン用に開発されたすべてのタイプのマガジンが共用できたという点だ

 

スオミ M44短機関銃【無可動実銃の魅力】

バレルジャケットの底部は全体的に開口されているが、プレス加工で曲げられているため非常に頑丈だ

 

スオミ M44短機関銃【無可動実銃の魅力】

テイクダウンをすると徹底的に簡略化された内部構造を確認できる

 

 

 フィンランド国防軍は、1944年8月に2万挺のM44短機関銃を発注したが、スウェーデンから調達できた材料が1万挺分であったことと、翌月にはソ連との間に休戦協定が結ばれたために生産の必要性が薄れたことから、終戦後に注文は1万挺に減少され、それ以上の生産もされなかった。

 生産自体も非常に遅く始まったため、最初の引き渡しは継続戦争がすでに終了してからであり、ドイツ軍との間に起こったラップランド戦争でも使用されていない。

 スオミM44は戦時下に特化した生産性、価格、簡略化された構造であったため、フィンランドでの役目は終了したが1970年代までフィンランド軍で使用され好評を得た。

 しかしフィンランド軍にはM31の在庫が充分にあり、性能面でもM31の方が優秀なことから活躍の舞台は限られ、1958年のスエズ動乱で国連平和維持作戦に参加したフィンランド平和維持軍が軽量であることからスオミM44を装備した。

 

 

スオミ M44短機関銃【無可動実銃の魅力】

トリガーガードや前方のセーフティレバーは寒冷地用の厚手のグローブでも操作できるように大型化され、グリップも厳しい環境でも破損しないように木製のものが採用されている

 

スオミ M44短機関銃【無可動実銃の魅力】

マーキングの類はほとんどなく、レシーバー後部にティッカコスキのマークとシリアルナンバーが刻まれている。レシーバー上部のボタンはフォールディングストックのロックボタンだ

 

 

 戦場に投入されていないスオミM44がどれだけ優れているかを証明するのは困難である。しかし元になったPPS-43の評判が高く、優れていたことを考慮すると、戦争が続いていればスオミM44の活躍は想像できるだろう。

 その証拠に戦後、M44の設計図を持ってスペインに渡ったティッカコスキのドイツ人オーナーとM44の設計長がスペインのオビエドアーセナルでDUX-53を製造し、西ドイツの国境警備隊で採用された。

 また、べトナム戦争中アメリカ特殊部隊に愛用されたスウェーデン製のカールグスタフ M45やアメリカ製のS&W M76など、スオミM44の派生モデルと言える銃も長く活躍したのだ。

 

 

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この記事は月刊アームズマガジン2019年12月号 P.104~105より抜粋・再編集したものです。

 

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