LAUGO ARMS ALIEN PISTOL 実銃レポート

 

チェコの気鋭デザイナーが放った最新ピストル

 

地球外生命体襲来か……!? CZスコーピオンEVO3を手掛けたデザイナーが放つチェコ・ラウゴアームズのエイリアンピストルは、その見た目だけでなくメカも撃ち応えもインパクト大だった! 世界が注目する、この最新コンペティションピストルに迫ってみよう。

 

LAUGO ARMS ALIEN PISTOL 実銃レポート

 

 

ユニークなピストル

 

 最近のピストルは猫も杓子もポリマーフレーム&ストライカーファイアばかりで、グロックの牙城を崩さんと躍起になるあまり似たようなものが増える一方。まあ、これがマーケティングというモノだろう。だが、それを気にしない小さな銃器メーカーが、面白い銃を生み出している。たとえばイタリアのArsenal FirearmsのAF2011シリーズはダブルバレルのユニークなクローンガバで、ラグジュアリーピストルとして展開し成功を収めている(実用向きではないが…)。

 チェコの銃器メーカー・ラウゴアームズ(LAUGOARMS)もまた、そんな気鋭のメーカーのひとつだ。昨年9月に「エイリアンピストル(ALIEN PISTOL)の発表があるので来ないか?」 というお誘いがあった。エイリアンというくらいだからAF2011のような奇をてらった銃では、と予想していたらそれは見事に裏切られた。その時見せてもらったプロトタイプの姿は、姉妹誌「月刊ガン プロフェッショナルズ」2018年12月号に掲載されている。そして、今年のIWAで正式発表され、初期ロット500挺をはるかに上回るオーダーがあったという。そこで、いよいよデリバリーが始まった製品版を確かめにチェコ共和国の首都プラハに飛んだ。

 ラウゴアームズはプラハ近郊の銃砲店「TOP GUNS」の中にある。アンテナショップ的な存在と思いきや、実は地下にファクトリーとテスト射場があるのだ。

 エイリアンピストルを設計したヤン・ルーカンスキィ(Jan Lučanský)氏は、あのCZスコーピオンEVO3のデザインを手がけた人物だ。CZUBの銃器デザイナーだった彼は独立してラウゴアームズを立ち上げ、思い描いていた理想のピストルを具現化したのである。

 

 

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ラウゴアームズの代表でありデザイナーのヤン・ルーカンスキィ(Jan Lučanský)氏。右手に持つのは氏がCZUB在籍時代にデザインを手がけた傑作SMG、CZスコーピオンEVO3。左手に持つのが、今回撮影したエイリアン・ピストル(ALIENPISTOL)だ

 

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ノーマル仕様のエイリアンピストル。アイアンサイト(フロントサイトは集光タイプ)が装備されている

 

SPEC

  • 使用弾:9mm×19
  • 全 長:210mm
  • バレル長:124mm
  • 重 量:1,009g
  • 装弾数: 17発

 

 

 エイリアンピストルはスコーピオンEVO3と同様ローエンフォースメント向けの銃として開発をスタートしたが、開発途中でコンペティション向けに方向転換。CZUBの秘蔵っ子シューターで、プロダクションディビジョンのチャンピオンであるアダム・ティッツも開発に参加し、極上の射撃フィーリングを実現した。そのためか、某特殊部隊からのオーダーも入ってきたそうだ。プロフェッショナルは優れた銃を嗅ぎ分ける、ということだろう。

 

 

ストライカー式と見せかけて実は…

 

 このエイリアンピストルはハンマーが露出していないことからストライカー式と勘違いされそうだが実はインターナルハンマー式で、ガスディレイドブローバック方式を採用したことによりバレルはフレーム内部に固定されている。そのためサイレンサーなどの重量物をマズルに装着したとしても作動への悪影響がない。バレルがごく低い位置に配されているのも特徴的で、アキュラシー向上とリコイルの低減を意識していることが分かる。

 

 

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エイリアンピストルは専用のソフトケースに各種オプションやツール、ホルスター等とともに収められている

 

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ストライカーピストルのようにスライド後端にコッキングインジケーターが付いているが、この銃はインターナルハンマー方式を採用している

 

 

革新的なメカニズム

 

 リコイルスプリングやガスピストン、スライドなどはバレルの上に配置され、さらにスライドを挟んだ上側にはリプレーサブル(交換式)アッパーレールがあり、ハンマーはここからぶらさがっている。

 アッパーレールはテイクダウンピンでフレームに固定されており、射撃時にはスライドだけが動く。つまりサイトも動かないので、一般的なオートピストルよりも射撃時にターゲットを捉えやすい。サイトレールは通常のアイアンサイト付き、マイクロドットサイト付き、そしてピカティニーレール付きを選択できる。さらに工作精度も高く、たとえばドットサイトをゼロインした後でこのサイトレールを別のエイリアンピストルに取り付けたとしても、90%の精度は確保できるという。

 

 

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マズル上部のテイクダウンピンを抜くとアッパーレールを取り外せる

 

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リプレーサブルアッパーレールを外した状態。アッパーレールはアイアンサイト付きのノーマルタイプに加え、マイクロドットサイトがマウントされたORタイプ、各種オプションを装着可能なピカティニーレールタイプなどがある。なお、最近のピストルの例に漏れずグリップのバックストラップも交換可能となっている

 

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アッパーレール内部にはハンマーがぶら下がるように内蔵されている

 

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OR(オプティカルレディ)タイプのアッパーレールに交換した状態

 

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こちらはピカティニーレールタイプのアッパーレール。スライドを引いてもフレームに固定されたアッパーレールは動かず、スライドのみ後退しているのが分かる

 

 

 発射ガスを利用するガスピストンは弾頭がバレルを離れるまでの間スライドを抑え込み、弾頭がバレルを飛び出し発射ガスが放出されるとスライドが後退を始める。この機構はカートリッジのパワーに応じた調整を必要とせず、またガスピストンがバレルの上にあるので連射時もフレームに熱が伝わりにくいという利点がある。

 

 

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アッパーレールを外したら、スライドを上に引き抜く。スライドは意外と大きくウェイトとしての役目もあり、内部にはファイアリングピンが隠されている

 

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ハンマーはアッパーレールに内蔵されるためフレーム内の構造はシンプル。トリガーに繋がるピンがスライド内のピンを押し、アッパーレール内のシアを押し上げてハンマーダウンとなる。また、エジェクターはプロトタイプの棒型から改良されプレス製となった。フレーム内に固定されたバレルの上には、ガスピストンとリコイルスプリングが水平に配置されている

 

 

 トリガーフィーリングはこのクレバーなピストルにふさわしく、鳥肌が立つほどキレがいい。トリガーリセットも最小限で、ダブルタップを気持ちよく決められることだろう。セーフティはトリガーセーフティのみだが、コッキング状態で強い衝撃が加わりハンマーがシアから離れたとしてもハーフコック位置で止まるようになっており、さらにファイアリングピンを一般的なピストルのそれよりもごく短く軽くすることで不意の落下時の暴発を防ぐなど、安全性の確保にも余念がない。

 

 

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一般的なオートピストルのようにホールドオープン状態で横からバレルが見えることはない。またアッパーレールが固定されているため連射時のエイミングは格段にやりやすくなっている

 

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セーフティはトリガーセーフティのみ。そのスマートなデザインを見るだけで、極上のフィーリングが伝わってくるかのようだ

 

 

シューティングインプレッション

 

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 めいっぱいカートリッジを詰めたマガジンをエイリアンピストルに叩き込み、前述のようにサイトレールは動かないのでスライドを左右からつまむように掴んで引く。アイアンサイトの場合はスライド前方も掴めるが、ドットサイト付きの場合は後方を掴んで引く方がいいだろう。セレーションの彫りは深く大柄で、素手で掴んでも痛いということはなく操作しやすい。スライドもガタつきがなくスムーズで気持ちいい。バレルは一般的なピストルよりも低い位置にある。

 エイミングしてトリガーを絞ると、プロトタイプを撃った時ほどの驚きはなかったが、ほとんどマズルジャンプがないことに感心させられた。リコイルは真っ直ぐ後ろに来るためターゲットにサイトを戻すまでのタイムラグも短い。そしてほんの少し人差し指を戻すだけでトリガーリセットとなり、そこから再びトリガーを絞れば速やかに次弾を放つことができるのだ。トレーニングを積んだシューターなら、フルオート並みの連射が可能なのではと思わせるほどだ。

 

 

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筆者の射撃風景。真後ろにガツンと来るリコイルは9mmパラらしいが、マズルジャンプは少なくリコイルも制御しやすい。バレルの位置、ガス圧作動システム、トリガーフィーリングなど、このエイリアンピストルの特色が噛み合って最高の射撃結果を生み出すことができた

 

 

 連射してもフレームが熱くなって持てなくなるようなことはなかった。聞けば1分間に7~80発も連射すればさすがに熱くなるというが、そんなシチュエーションはなかなかないだろう。射撃練習で数本のマガジンを一気に撃ったとしても、次の射撃まで数分休みを入れる間に充分冷える。9月のプロトタイプ撮影時、デモンストレーターを担当したチェコのトップシューターによれば1日500発以上の射撃練習をしても持てなくなるほど熱くはならなかったとのこと。そして素手で持てなくなるほど熱くなっても機能的には問題なく撃てる。ガスピストンは1,000発ごとのクリーニングが推奨されているが、テスト時に2~3,000発ほど撃っても作動不良は起きなかったそうだ。

 

 

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出荷に向けて組み立てられるエイリアンピストル。なお、詳しくは書けないがフランスの某特殊部隊が数十挺単位でオーダーしたほか(納品は9月とのこと)、英国のあの部隊も含め各国の特殊部隊がここを訪れテストを行なっているとのことだ

 

 

 筆者は自分の意見も反映された夢のピストル、CZ SHADOW2がイチ推しだったが、エイリアンピストルのすばらしさを知ってしまった今はそれも揺らいでいる。しかし、エイリアンピストル1挺の価格はCZ SHADOW2の約3挺分に相当するので悩ましいところではある。なお、年内にアメリカへのデリバリーも開始されるとのことで、あの銃大国でどのような評価を得られるのか、今から楽しみだ。

 

 

Photos & Text:櫻井朋成(Tomonari SAKURAI)
撮影協力:LAUGO ARMS Czechoslovakia  http://www.laugoarms.com

 

 


この記事は月刊アームズマガジン2019年10月号 P.146~153より抜粋・再編集したものです。

 

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