米国の最新サブマシンガン事情とは!?【最新GUN事情】

 

毛野ブースカがアメリカ在住のリアルガンレポーターのSHINに、ガンやタクティクスに関する疑問、質問を聞いてみようというコーナー。今回のテーマは「サブマシンガン」。アメリカでのサブマシンガンの最新事情を語ってもらった。

 

前回の【最新GUN事情】はコチラ

 

米国の最新サブマシンガン事情とは!?

 

■主流はSMGからコンパクトM4へ?

 

毛野:

 

最近サブマシンガンが気になっているんですよ。エアガンでもM4カービンをベースにグロックのマガジンをモチーフにしたモデルが各社から発売されていてコンパクトで使いやすいですし、そのスタイルも昔のサブマシンガンと違ってアクセサリーレールが各所に配置され高い汎用性を持っています。

 

SHIN:

 

サブマシンガン復権の流れは確実に来ていますね。1980~90年代前半までは特殊部隊といえばH&K MP5を代表とするサブマシンガンが象徴のように使われていましたが、その後アサルトライフルを短縮化することで生まれたM4カービンを代表とするカービンモデルが取って代わりました。

 

毛野:

 

14.5インチ銃身を持つM4カービンをさらに短くした米軍CQBRや、さらに7インチ銃身程度まで切り詰めたコンパクトM4がここ数年生まれて来ていますよね。

 

SHIN:

 

車輌内での取り回しやすさ、さらに市街地での身辺警護では隠匿性も求められます。そこでカービンよりもより短い、極端にコンパクト化されたアサルトライフルが求められた訳ですね。

 

毛野:

 

コンパクト化による弊害も大きそうですが…。

 

SHIN:

 

そうですね。5.56mmNATO弾を使用する場合、充分な威力を発揮するためには最小でも10インチの銃身長が必要になります。それ以下では火薬を充分に加速させることができず威力が著しく低下しますし、さらに銃身内で燃焼しきれなかった火薬が銃口から吹き出しながら燃えるので大きなマズルフラッシュと銃声を発することになります。

 

毛野:

 

なるほど、そうなると使い勝手も悪いですね。

 

SHIN:

 

サプレッサーを取り付けることである程度緩和できますが、そうなると全長は長くなってしまいますし、消音性能も限られてきてしまいます。ですが、コンパクトなショルダーウェポンのニーズはある訳で、単純にカービンを短縮化することで対応できないのであれば、新たなアプローチを探す必要が出てきたわけです。

 

 

米国の最新サブマシンガン事情とは!?

B&TによるAPC9 Pro(写真下)とそのコンパクトモデルであるAPC9 Pro K.は、レシーバーの長さ、異なるマグウェルとセレクター、ストック、ハンドガードと言ったコンポーネントを取り換えることで様々にセットアップ可能なモジュラーサブマシンガンだ

 

米国の最新サブマシンガン事情とは!?

B&TのAPC9 Pro K.が今年SCW(サブ・コンパクト・ウェポン)として米陸軍に採用された。SCWプログラムとは、警備任務や個人防衛の際に必要となる小型の銃器を求めた内容であり、50,000発発射耐久テストを含め、サプレッサーとの適合やMHSプログラムとともに新規に採用されたXM1153ホローポイント弾を使用した際の作動性などがテストされた

 

 

■時代を先取りしていたMP5

 

毛野:

 

そこでサブマシンガンが再注目された訳ですね。

 

SHIN:

 

そのとおりです。それもこれまでのサブマシンガンのカテゴリーとは少し異なる、PCC(ピストル・キャリバー・カービン)としての性格を持ったモデルが多く生まれてきています。

 

毛野:

 

PCCはピストルキャリバー、つまり拳銃弾を使うカービンという意味ですね。これまでのサブマシンガンとはどのように違うのでしょうか?

 

SHIN:

 

UZIやイングラム、スターリングやトンプソンなどに代表されるサブマシンガンは基本的に小型で威力の限定的な拳銃弾をフルオートでバラまくための安価な銃器として開発されています。それに対してPCCは、セミオートをメインに高い精度で射撃ができるピストル口径のカービンという新しいカテゴリーだといえます。SIGのMPXや、CZのスコーピオンEVO3等、新たに開発されているサブマシンガンもセットアップによってはPCCとして運用できるようにデザインされています。

 

毛野:

 

これはH&K MP5が持っていた性格に近いですね。

 

SHIN:

 

そのとおりです。クローズドボルトからの発射と、優れたトリガー、しっかりとしたサイトといったアサルトライフルから受け継いだ構造をそのままに、限定的な威力を持つ拳銃弾を使用することで成功したのがMP5でした。最近生まれてきているサブマシンガンは同じ方向性を持ちつつ、ポリマーやアルミ等を多用し、軽量化が推し進められています。90年代以降、コンパクトなアサルトライフルの台頭により、サブマシンガンは無視されてきたカテゴリーでもあります。

 

 

米国の最新サブマシンガン事情とは!?

MP5はバトルライフルであるG3の特徴をそのままに小型化されたため、サブマシンガンとしても独特なカテゴリーに属する

 

 

■サブマシンガンの復活に注目

 

毛野:

 

アサルトライフルのコンパクト化の限界から、サブマシンガンが再注目されるようになった。それも過去の弾をばら撒くことを目的としたサブマシンガンではなく、ピストルキャリバーカービンとしての性格を持つ少し異なるカテゴリーとして生まれ変わったと考えていいのでしょうか。

 

SHIN:

 

そのとおりですね。サブマシンガンの復活の背景には9mm弾の威力向上、さらにサプレッサー技術の進化があります。

 

毛野:

 

拳銃弾はサプレッサーとの併用でも大きな利点がありますね。

 

SHIN:

 

音速を超えた弾薬を使用すると、弾頭自体がソニックブームにより大きな音を発生させます。これでは高い効果を持つサプレッサーを使用し、銃声を消しても効果は低くなってしまいます。この部分がライフル弾を使用する際における消音化の限界となってしまいますが、拳銃弾であれば弾頭重量の選択により音速を超えない、亜音速弾の使用が行なえます。

 

 

米国の最新サブマシンガン事情とは!?

MP5SDとMP5A5にAWS製サプレッサーを取り付けたところ。ここ10年でサプレッサーの研究は大きく進んでいる

 

 

毛野:

 

9mmの威力向上とは、FBIが.40S&Wから9mmパラベラム弾へとデューティ向けの使用弾薬を切り替えたこととも関わっていますか?

 

SHIN:

 

そうとも言えますね。FBIの研究では、9mmパラベラム弾が優れていたというよりも、9mmパラベラム、.40S&W、.45ACPの間で対人用として使用した場合、どれも等しく威力が低く、大きな差はないという内容でした。そこで、反動が小さく撃ちやすく、同じサイズの銃であればより多くの装弾数が稼げ、銃とシューターへの負担も少なく、安価で取り扱いやすい9mmパラベラム弾が選ばれたという訳です。

 

 

米国の最新サブマシンガン事情とは!?

写真右から.45ACPホローポイント、.40S&Wホローポイント、9mm×19ホローポイント。FBI(米連邦捜査局)はこれら拳銃弾は人を止める威力を持たない、しかし9mmパラベラムで最新のホローポイント弾を使用すれば、.40S&Wや.45ACPといったより大きな口径と劣らない威力が出せる。その弾を使い、素早く正確に多くの弾を撃ちこむことがもっともいい選択肢であるとしている

 

米国の最新サブマシンガン事情とは!?

米軍にSCW(サブコンパクトウェポン)として採用されたAPC9 Pro K.はサプレッサーを付けた状態でも脇の下に収まるコンパクトさを持つ

 

 

毛野:

 

コンパクトで消音性の高い銃という面でみるとサブマシンガンの復活も理解できますね。

 

SHIN:

 

そうですね。ですがあくまでもカービンサイズのアサルトライフルがこれからもメインとなることは変わりません。アサルトライフルが使用する中威力ライフル弾では対応できない部分、コンパクト化と消音化と言った部分でサブマシンガンが活きてくるのです。

 

毛野:

 

M4カービンのバリエーション展開には少し飽きて来ていた部分もあります。サブマシンガンというカテゴリーが復活することでエアガン、そして銃器業界にも新たなトレンドが生まれて来ていますね。

 

SHIN:

 

サブマシンガンの復活は1年前では考えられなかった流れですね。これから各社がこの分野に注目してくると思いますし、今後が楽しみなカテゴリーですね。

 

 

TEXT:SHIN、毛野ブースカ
PHOTO:SHIN

 

 


この記事は月刊アームズマガジン2019年9月号 P.150~151より抜粋・再編集したものです。

 

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