アメリカの「最新リボルバー事情」を聞く【最新GUN事情】

 

毛野ブースカがアメリカ在住のリアルガンレポーターのSHIN に、ガンやタクティクスに関する疑問、質問を聞いてみようというコーナー。今回のテーマはエアガンやモデルガンで人気の「リボルバー」。アメリカでのリボルバーの最新事情を語ってもらった。

 

前回の【最新GUN事情】はコチラ

 

アメリカの「最新リボルバー事情」を聞く

 

 

■オートマチックvsリボルバー

 

毛野:
 

最近のリボルバーのエアガンが楽しいんですよ! タナカのM19ガスリボルバーもリニューアルで性能が大幅に向上しましたし、東京マルイの10歳以上用のパイソンPCCカスタムを先日購入したのですが、シリンダーにカートリッジを込める作業がオートマチックにはない楽しさを味わわせてくれます。
 

SHIN:
 

リボルバーにはロマンがありますよね。シリンダーがトリガーやハンマーに連動して回転するところを見ているだけでも楽しめますし。
 

毛野:
 

1980年代まではリボルバーが主流で、その後はオートマチックvsリボルバーみたいな議論が多く起きました。現在ではそんな議論は起こらないぐらいオートマチック全盛ですよね。
 

SHIN:
 

そうですね。1980年代、特に1985年に米軍がベレッタ92FSを採用した当たりがもっとも議論が激しかったですね。各社DAD9(ダブルアクションとハイキャパシティーマガジンを持つ9mmパラベラム弾を使用するオートマチック)を競って開発し、一気に軍、警察のオートマチックピストルの採用が進んだ時代でした。
 

 

アメリカの「最新リボルバー事情」を聞く

コルトパイソン(写真左)とエージェント。リボルバーはオートピストルにはないエレガントさを持っている

 

アメリカの「最新リボルバー事情」を聞く

S&W のサービス用リボルバーのマスターピースであるM19(写真中央と上)ステンレスモデルであるM66

 

 

毛野:
 

今では軍、警察のサービスピストルの分野ではまったくリボルバーは選ばれませんね。
 

SHIN:
 

オートマチックの性能向上、取り扱いのトレーニング方法が確立されたので、オートピストルの不安材料であった「作動不良」の可能性が最小限になり、さらにその対処法が一般的になったことが要素になっていますね。「銃撃戦に弾を持って行き過ぎたということはない」と言いますが、装弾数が多いほうが絶対に有利になりますからね。
 

毛野:
 

確かにそうですね。リボルバーは今後どのような形で生き残っていくのでしょうか。
 

 

■リボルバーの利点は「シンプルさ」

 

SHIN:
 

使用者が定期的な使用訓練を受けて使うサービスピストルの分野ではオートピストルが有利になりますが、銃器に興味がない人物が最小限の訓練でとりあえず護身に使える銃を選ぶとなると、リボルバーに分がありますね。
 

毛野:
 

つまりセルフディフェンス、護身用のピストルとしてリボルバーには需要があると?
 

SHIN:
 

そうです。リボルバーはオートマチックに比べて操作が直感的なんです。シリンダーに弾を込めれば装填完了でトリガーを引けば撃てます。
それに比べてオートピストルはマガジンに弾を込め、確実にマガジンを装着し、しっかりとスライドを引いて離し、やっと発射準備が整います。さらにセーフティ、デコッカ—などを操作しなければなりませんし、手順を間違えれば作動不良を起こし、その解除法も学ばなければなりません。
 

毛野:
 

発射までの手順を書き出すだけでリボルバーのシンプルさがわかりますね。
 

 

アメリカの「最新リボルバー事情」を聞く

シリンダーに弾を込めて戻せばすぐ撃てるシンプルさがリボルバーの利点の1つである

 

 

アメリカの「最新リボルバー事情」を聞く

ダブルアクションリボルバーは不発が発生したら、そのままもう一度トリガーを引けばシリンダーが自動的に回転して次弾が撃てる。作動不良の少なさもリボルバーの利点だ

 

 

SHIN:
 

FBIの統計によると、民間人が銃を使って護身を行なった件数は年間210万件~250万件となっています。これは通報があった場合のみですので、本当は銃を使って危機を脱したが警察には連絡しなかったケースが多くあるはずです。
これだけ民間人が銃を使って護身を行なうことが一般的な米国においては、銃にまったく興味はないが、とりあえず護身用として持っておこうという人物のほうが多いわけです。我々のように銃器に慣れ親しんだ人物であればオートピストルの良さが発揮できますが、彼らのほとんどが拳銃を入手したら何発か撃って家に置いておき、イザという時まで忘れてしまっているタイプの人たちです。
 

毛野:
 

日本にいると想像できない環境ですが、確かに最小限の訓練でとりあえず使うという環境では、リボルバーの方がオートピストルよりも確実性があるように感じますね。
 

SHIN:
 

さらにコンシールドキャリー(隠匿して携帯)する場合にも、軽量な小型リボルバーには小型オートピストルにはない利点があります。
 

毛野:
 

米国では民間人のCCW(コンシールドキャリーウェポン)として、S&Wシールドやグロック43等、コンパクトで薄型のCCW向けピストルが各社から競うように登場していますね。
 

SHIN:
 

これらは素晴らしいオートピストルなのですが、9mmパラベラム弾というフルサイズオートピストル用の弾を使いつつ、コンパクト化しているのでマガジンスプリングやリコイルスプリングが強く、そのためマガジンの装着やスライドの操作に力がいるうえ、サイズが小さいのでしっかりと掴みにくく操作が難しくなる点があります。
さらに小型、軽量化されたことで反動が強く、しっかりと握っていないと作動不良を起こしやすい傾向を持っています。
 

毛野:
 

なるほど。小さくなればなるほど操作しにくくなりますからね。で薄型のCCW向けピストルが各社から競うように登場していますね。
 

SHIN:
 

リボルバーのほうが構造がシンプルなため、軽量化、小型化という面で言えば構造的に有利と言えます。特に女性や年配の方の場合、ガンショップで人気の小型オートに触れると、その操作の難しさからリボルバーを選ぶことも多いですね。
 

 

アメリカの「最新リボルバー事情」を聞く

CCW向けコンパクトオートの代表作であるS&Wシールド(写真上)とS&Wの傑作コンパクトリボルバーであるチーフスペシャルから派生したエアウェイト。エアウェイトはアルミ製フレームを持つ軽量モデルだ

 

 

毛野:
 

さらにリボルバーは作動不良が起きにくいですしね。
 

SHIN:
 

その通りです。小型リボルバーの市場は現在でも大きく、例えばS&Wは多くのリボルバーのラインアップを用意していますが、リボルバー製造数の3/4が小型リボルバーの代名詞であるチーフスペシャルと、そのJフレームを使用した派生モデルであると言います。
 

毛野:
 

確かにS&Wのカタログを見てもJフレームのバリエーションが非常に多いです。コルトもエージェントシリーズの小型リボルバーを発売していますし、キンバーのコンシールドキャリー向けリボルバー、K6sも新製品ですよね。
 

SHIN:
 

コンパクトリボルバーはアルミ、チタン、スカンジニウム、ポリマーといった素材を使用しての軽量化が進んでいます。コンパクトオートにはない利点と魅力を備えているのがコンパクトリボルバーですね。
 

 

■今後も進化するリボルバーの「可能性」

 

毛野:
 

その対極にあるのがS&Wの.500S&Wに思えますね。
 

SHIN:
 

その通りです。リボルバーは構造が単純なため、小型化だけではなく大型化にも適しているんです。.500S&W弾は9mmパラベラム弾の7倍ものエナジーを発生させます。この威力を支えることはオートマチックでは不可能でしょう。
 

 

アメリカの「最新リボルバー事情」を聞く

スミス&ウェッソンS&W500。特大のXフレームは.500S&W弾のためにデザインされた巨大なフレームである

 

アメリカの「最新リボルバー事情」を聞く

発射の瞬間。ハンドガン最大の威力を持つS&W500は最大の反動を発生させる。人間が耐えられる限界の反動とも感じられる強烈なものだ。決して快適な経験ではない

 

 

毛野:
 

リボルバーは小型化、そして大型化して生き残っていくということでしょうか。
 

SHIN:
 

41マグナム以上のマグナムリボルバーは今後も一定の人気を保ち続けるでしょうね。ハンティング用として実用的なのもマグナムリボルバーですし、またプレミアムアイテムとしてハイパワーなハンドガンを持ちたいという層は確実にいます。そのうえで、最近では7~8発が装填できるリボルバーも人気となっています。
 

毛野:
 

IPSCやUSPSA等のリボルバーディビジョンで使用されていたカスタムがそうでしたね。
 

 

アメリカの「最新リボルバー事情」を聞く

Smith&Wessonのセミカスタムモデルを製造するパフォーマンスセンターの「686PLUS」は、Lフレームリボルバーをベースに、IDPA及びUSPSAのリボルバーディビジョンを念頭に開発されたコンペティションモデル

 

 

SHIN:
 

 現在ではICOREと呼ばれる団体がリボルバーを使ったアクションシューティングを推進しています。フルムーンクリップを使った8連発リボルバーのリロードはオートにも負けないスピードで行なわれます。これをタクティカル、ディフェンス向けに転用した製品が多く生まれてきています。対人用として9mmパラベラム弾よりも優れる.357マグナム弾を8発装填できる軽量リボルバーは、オートピストルにない魅力を持っていると思います。
 

毛野:
 

確かにそうですね。こうしてみるとリボルバーは、小型化、大型化、ハイパワー化、多弾装化、軽量化と言った様々な方向への進化を持って近代的なオートピストルと今後も棲み分けていくのだなと言えますね。
 

 

TEXT:SHIN、毛野ブースカ
PHOTO:SHIN

 

 


この記事は月刊アームズマガジン2019年8月号 P.136~139より抜粋・再編集したものです。

 

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