Tu Lam コンバットクラス潜入レポート コンバット・カービン編

 

ガン&ギア、テクニックからアメリカ陸軍特殊部隊の強さに迫る

 

 

Tu Lam コンバットクラス潜入レポート コンバット・カービン編

 

 

Tu Lam(トゥ・ラム)。
本誌でもおなじみ、USアーミーの特殊部隊員として20年以上の経験を持つ気鋭のタクティカルインストラクターだ。そんな彼が主催する4日間のコンバットクラスを取材できる機会に恵まれたので、その一部を紹介する。

 

 

Tu Lam コンバットクラス潜入レポート コンバット・カービン編

Ret. MSG TU LAM
(リタイアド・マスターサージェント、トゥ・ラム)
USアーミー入隊後3年目にはグリーンベレーに所属、世界27カ国に特殊部隊員として派遣され、戦い抜いてきたWarrior(戦士)。2014年に除隊後、“RONIN TACTICS”を立ち上げ、その類稀なスキルと経験を生かしたタクティカルクラスと製品開発をこなしている。

 

 

コンバット・タクティクス

 

 USアーミーの特殊部隊というとグリーンベレーやデルタフォースなど、その名称自体はよく知られているが、それぞれのミッションの性質上、その実態は明らかにされていない部分が多い。おさらいも兼ねて簡単に説明してみよう。

 

グリーンベレー  US Army Special Forces


 対ゲリラ戦、斥候、偵察などの最前線での任務をはじめ、アメリカ友好国の軍隊、親米軍事組織に、特殊ミッションやゲリラ戦の訓練を施す。アフリカや中南米、ヨーロッパ、アジアなど、各国の拠点に配備され、常駐して任務を遂行する。その部隊規模は、約1万人とされている。

 

デルタフォース  1st Special Forces Operational Detachment Delta

 ノースカロライナ州フォートブラッグを本拠地とする、対テロリスト特殊部隊の俗称。少人数で行動し、テロリストによる占拠事件やハイジャックにも対応する特殊戦闘部隊で、その規模は1,000人ほどといわれている。

 

 今回紹介できることになったTu Lam(トゥ・ラム)氏は、1992年に18歳でUSアーミーに入隊し、1年半でE5ランク(サージェント)を取得し、スペシャルフォースメンバーになるべく訓練を始めた。まさに入隊からグリーンベレーへの最短距離を歩んだ猛者である。
 その後20年間にわたり、アジア各国、イラク、アフガニスタンといった中東区域、リビア、カメルーンなどのアフリカ地域に派遣され、数々の戦闘やミッションをこなしてきたのだ。

 

 

Tu Lam コンバットクラス潜入レポート コンバット・カービン編

Tuの装備は、現役時代の経験をもとに最新かつ堅牢なツールが集まっている。彼の意見を求めて、あらゆるイクイップメントが送られてくる。ミリタリー関係者やLE(ロウエンフォースメント)に教えることが多いので、基本的な装備はそれらに準じている

 

Tu Lam コンバットクラス潜入レポート コンバット・カービン編

Tuは右利きだが、利き目は左だ。よってこの高さでのプローン射撃では、ライフルを寝かせたポジションになる。狙点も変わってくるが、瞬時にアジャストしてしまう

 

 

「2014年にアーミーをリタイアするまでの14年間は、常に戦闘と訓練に明け暮れる毎日だった。この間、私はまさにウォーリアー(Warrior:戦士)だったと言い切ることができる。自分の国の理念とフリーダムを守るためには、どんな試練があっても戦い抜くというスキル(技量、能力)とマインドセット(信念)が出来上がっていたんだね。
 除隊後にはいろいろあったが、国という後ろ盾をなくしてRONIN(浪人)となった私にも、これから同じような道を歩もうとしているたくさんの人たちに、私の持つスキルや経験を伝えていくことができるのではないかと考え始めた。そういった思いから“RONIN TACTICS”を立ち上げたんだ。」

 コンバットプルーフされたスキルフルなタクティクスを、やる気のある後進に伝えていこうというのだ。コロラド州ベースのTuだが、そのクラスの開催場所はテネシー州やカンザス州、フロリダ州といった東寄りが多い。そこで、今回は有志が集まって、ぜひトゥを西海岸に呼ぼうという機運が高くなったのだ。

 

 

Tu Lam コンバットクラス潜入レポート コンバット・カービン編

この日は15人中10人がLEオフィサーであった

 

 

 カリフォルニア州で初めて開催されたTu Lamクラスは、4日間のコースから成り立っている。

 

Day1:マーシャルアーツとナイフファイティング
極近接戦闘における身体の捌きと、いかにより速くナイフ、もしくはハンドガンを抜いて優位に立つまでに持っていくかという訓練。

 

Day2:コンバット・カービン
安全かつ効果的なカービンの扱いを学ぶ。50ヤード(約45m)から3ヤード(2.7m)というあらゆる距離からのミリ単位ともいえる正確な射撃とマインドセットを学ぶ。

 

Day3:ローライト・ピストルコース
ハンドガンスキルのブラッシュアップ(改善)と、OKウェポンマウントライトではなく、手持ちのフラッシュライトを使ったローライト(暗い場所)時のテクニックを学ぶ。

 

Day4:LE(ロウエンフォースメント:法執行機関オンリーコース)
いわゆるポリス向けカービン&ハンドガンコース。ライフルからハンドガンへの移行、ローライトコンディション下の正確かつ的確な射撃を学ぶ。

 

 

Tu Lam コンバットクラス潜入レポート コンバット・カービン編

 

 

 それぞれ15人が募集され、すぐに募集枠が埋まってしまうという盛況となった。4日間通してクラスを受ける人は7名。彼らはLE関係者ということになる。Day2とDay3におけるLEオフィサー(ポリス、シェリフのデピュティ、各エージェントのオフィサーたち)の割合は70%を超えており、Tuのクラスがどれだけ評価されているかの目安にもなる。今回はこれらのクラスを紹介するにあたり、少々刺激が強いDay1のクラスは割愛し、まずはコンバットカービンクラスに踏み込んでみたい。

 

 

Tu Lam コンバットクラス潜入レポート コンバット・カービン編

カービンは片腕でしっかりホールドできる必要がある。ストックを、この肘の内側に押し当てて固定すれば、マガジンチェンジもプローンに入る際もハンドルしやすくなる

 

Tu Lam コンバットクラス潜入レポート コンバット・カービン編

「プローンは、身体の中心線がターゲットに90度で正対するようにするんだ」。基本だが、これが意外とできていない人が多い

 

 

 これまでにも数々のタクティカルトレーニングを取材させてもらってきたが、Tuのクラスが印象的だったのは、精度第一だが常にアグレッシブ(戦闘的)であれ、というマインドセットにある。特にカービンによる近接戦闘では、“サイト・オーバー・ザ・ボア”と呼ばれる銃身のセンターと、ドットサイトを通した狙点の落差(近距離になるほど、狙点と着弾点に上下差が出る)を瞬時に認識して正確に撃つ、というテクニックを身につけなければならない。

 

 

Tu Lam コンバットクラス潜入レポート コンバット・カービン編

並べられた椅子を車の内部だと想定。前方から敵が撃ってくる。あなたは後部座席に座っている

 

Tu Lam コンバットクラス潜入レポート コンバット・カービン編

マズルが前席のパッセンジャーに向かないようにしながら、思い切り肩の上にストック部分を跳ね上げるようにクリアする

 

Tu Lam コンバットクラス潜入レポート コンバット・カービン編

マズル部分を窓から突き出したつもりでクリアする、右足はシートの端から出ないことなど注意が与えられる。このトレーニングは初めての生徒が多かった

 

Tu Lam コンバットクラス潜入レポート コンバット・カービン編

難しいのはこの左側シートだ。左肩できれいにマズルの方向をクリアする必要がある

 

Tu Lam コンバットクラス潜入レポート コンバット・カービン編

上下動を最小限に抑えたムーブ&シュートの講習も行なわれた。レーザーポインティングデバイスを使っているので、サイトは使っていない

 

Tu Lam コンバットクラス潜入レポート コンバット・カービン編

結構なスピードで前進する。2人、もしくは3人でのマズルの方向を注意しながら、広い範囲をカバーする訓練だ

 

 

 すべてのカリキュラムは、まずTuが完璧なデモンストレーションを見せてくれるので、生徒たちは迷うことなくどこに集中すべきかを知ることができる。クラスが進むほど、生徒がトゥの一言一言に集中していくのが見て取れた。

 

 

Tu Lam コンバットクラス潜入レポート コンバット・カービン編

クラス後、ひとりひとりにTuからコメントがもらえる。質問だらけで話し込んでしまう人もいた

 

 

 ここに紹介できたのはごく一部だが、本誌8月号ではより詳細なカリキュラムを掲載している。ぜひあわせてご一読いただきたい。

 

 

Text & Photos:Hiro SOGA

 

 


この記事は月刊アームズマガジン2019年8月号 P.26~35より抜粋・再編集したものです。

 

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