FNH FNX-45 Tactical 実銃レポート

 

アメリカ特殊作戦軍向けに開発された攻撃型ハンドガン

 

 

FNH FNX-45 Tactical 実銃レポート

 

 

 FNX-45は、FNHが開発した.45ACP弾を使用するセミオートマチックピストルである。ポリマー製フレームとステンレススチール製スライド。作動方式はブローニングタイプロックのショートリコイルブローバック。ハンマー式のダブルアクション&シングルアクショントリガーを持ち、コック&ロックド及びデコッキングが行なえるセーフティメカニズムを誇る。そもそもFNX-45は、2005年にUSSOCOM (アメリカ特殊作戦軍)が行なった特殊部隊向け次世代拳銃を選定するためのプログラムJoint Combat Pistol(JCP)、通称USSOCOM JCP用に開発したものだ。

 

 

FNH FNX-45 Tactical 実銃レポート

 

 

 USSOCOM JCPとは、高度な拳銃射撃能力を持つ特殊部隊員が使用することで、より高い攻撃力を発揮できる専用の「攻撃向け拳銃」の開発を目的としたものである。USSOCOM JCPは、米陸軍によるFuture Handgun System(FHS/先駆的拳銃システム)プログラムと、Special Operations Forces Combat Pistol(特殊部隊向けコンバットピストル)の結果を反映して行なわれた。一方でJCPは、1990年にUSSOCOMによって行なわれ失敗に終わったOffensive Handgun Weapon System(OHWS)の第2弾だとも囁かれた。OHWSではH&KのMk23が採用されたが、現場でのあまりの不評により短期間の配備期間を持って使用が中止され、予算に見合う効果がなかったと米議会でも問題視されたいわく付きのプログラムであった。

 

 USSOCOM JCPシステムが求めたスペックは以下のものである。

 

  • マニュアルセーフティ付き及び
    マニュアルセーフティなしモデルの2種類
  • .45ACP口径
  • ハイキャパシティーマガジン
  • サプレッサーの取り付け
  • ピカティニーレール装備

 

 これはOHWSでは非現実的なスペックを提示したことで、無理なデザインを銃器メーカーに強いることになった反省があったため、シンプルで現実的なスペックを示したと言われる内容であった。USSOCOM JCPシステムに選ばれた拳銃は、USSOCOMが最大で45,000挺のマニュアルセーフティなし、600,000挺のマニュアルセーフティありを含め、多くのマガジン、ホルスター、サプレッサー等のアクセサリーを購入することを提示していたため、H&K、シグ、ルガー、スミス&ウェッソン、グロック、ベレッタ、タウルス、FN、スプリングフィールド、パラオーディナンス等、多くのメーカーがJCPシステムのスペックに応じた拳銃を開発し、セレクションに参加することを表明した。しかしながら、最終的にJCPシステムに準じた機能を持つ拳銃を提示したのは、H&KのHK45及びHK45C、そしてFNX-45 Tacticalのみであった。

 

 

FNH FNX-45 Tactical 実銃レポート

FNX-45を含め、JCPシステムに求められたのは、サプレッサー、レーザー&ライトモジュール、ドットサイトといった様々な最新のアクセサリーを簡単に取り付けることのできるプラットフォームを持つことでもある

 

 

FNH FNX-45 Tactical 実銃レポート

バックストラップは簡単にサイズ、形状の異なるものと交換ができる。FNX-45のグリップは.45ACP弾が15発装填されているとは思えないほど握りやすい

 

 

FNH FNX-45 Tactical 実銃レポート

サプレッサーを使用しても使用できるように、また小型のドットサイトをスライドに取り付けてもレンズを通してサイティングが行なえるように特に高さを持つフロントサイトが使用されている

 

 

FNH FNX-45 Tactical 実銃レポート

スライド上部には、マイクロドットを取り付けるために加工が施されている。今回はトリジコン製RMRを装着した。RMR用の他に取り付け方の異なるドクターサイト用のアダプターも付属している

 

 

FNH FNX-45 Tactical 実銃レポート

少し見難いが、RMRのレンズを通して照準が行なえるよう、リア&フロントサイトが高いものとなっている。これはサプレッサーを取り付けた際にも遮られることなく使用できる「サプレッサーサイト」と呼ばれるデザインのものだ。RMRのドットがフロントサイトの少し上に位置しているのがわかる

 

 

FNH FNX-45 Tactical 実銃レポート

マガジンには15発が装填できる。厚みのあるスチールを使ったマガジンは頑丈でしっかりとした出来である。マガジンバンパーは特に大型であり、装弾数を稼ぐとともに、手袋をした手でも取り扱い易い

 

 

FNH FNX-45 Tactical 実銃レポート

フィールドストリッピングはディスアッセンブリーレバーを90度下にさげるだけで瞬時に行なえる。紛失する可能性のある部品はすべて外れないようになっており、手入れは非常に単純化されている

 

 

 通常、拳銃は護身や抵抗する犯人に対しての応戦のために設計されているのに対し、JCPシステムは特殊部隊が敵を攻撃するために作られた、よりアグレッシブなピストルという新しいコンセプトを生み出した。しかし残念ながら、2007年にはJCPプログラム自体が中止となってしまい、優れた性能を持つFNX-45やHK45はUSSOCOM全体への配備は見送られてしまった。HK45は民間市場で高い人気を誇り、HK45Cはネイビーシールズを中心に、複数のSOCOMに所属する部隊が限定的に採用している。サブマシンガンよりも携行しやすく、様々なオプションで戦闘力を向上できるJCPシステムというアイデアは、今後も特殊作戦の場で重要な役割を果たしていくことになるだろう。

 

 

TEXT&PHOTO:SHIN

 

 


この記事は月刊アームズマガジン2019年6月号 P.048~051より抜粋・再編集したものです。

 

月刊アームズマガジン6月号のご購入はこちら