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2021/04/18

旧ソ連「赤軍」の塹壕(小銃掩体)に迫る!【リエナクトメントのススメ vol.19】

 

 月刊アームズマガジンで連載している「リエナクトメントのススメ」。そこでは「リエナクトメント」を歴史的な事象の再現と定義し、テーマを第2次世界大戦としている。現在、世界中で第2次世界大戦をテーマとしたさまざまな「リエナクトメント」が行なわれているが、比較的参加しやすい国内のイベントを中心に紹介するとともに「リエナクトメント」の楽しさを伝えたいと考えている。

 WEB版第19回では、前回に引き続き、2018年5月25日から27日に行なわれた、サムズミリタリ屋主催のイベント「MVG2018-ASAMA(WW2 Military Veagle & Game Event)」から、戦史研究クラブ「赤侍」とReenactmentGroup「BCo/100Bn」による共同企画「WW2各国歩兵小銃掩体~ざんごーExpo'18展示」をレポートする。

 

前回の記事はこちら

 


 

MVG2018 イベントレポート「WW2各国歩兵小銃掩体」~その2~

 

 

 今回も、2018年5月25日から27日に行われた、サムズミリタリ屋主催のイベント「MVG2018-ASAMA(WW2 Military Veagle & Game Event)」から、戦史研究クラブ「赤侍」とReenactmentGroup「BCo/100Bn」による共同企画「WW2各国歩兵小銃掩体~ざんごーExpo'18展示」のレポートである。

 

 「掩体えんたい塹壕ざんごう)」とは、敵の攻撃から人員・装備を防護あるいは隠蔽するために構築する防護施設である。前回紹介したアメリカ軍に引き続き、今回は赤軍(ソ連軍)の展示から、その教範の抜粋と実際に掘って再現された「2人用小銃掩体」「軽機関銃掩体」を紹介する。


赤軍の教範より

 

座り撃ち用の掩体を解説した図。実際の使用イメージがしやすい図が示されている

 

 これは赤軍の教範に掲載されている、「座り撃ち用の掩体」を解説した図である。掩体内での射撃姿勢――壕の周囲に土手状に土を盛って胸墻きょうしょうを作り、左腕をのせて小銃を保持する――が、具体的にイメージしやすい図版である。また、赤軍の教範には各種掩体の構築に要する時間の目安が記されていて、座り撃ち用の掩体構築ならば所要時間は、20~25分とされている。


掩体構築要領

 

土工具類の寸法を覚えていれば、巻尺や定規類で計測しなくとも掩体構築が可能なように工夫されていた

 

 これは赤軍の教範に掲載されている土工具類の図版の一部である。この図版には兵士や部隊管理の土工具類の規格寸法が記されている。各種掩体の深さや幅などは、こうした土工具の寸法を基準に決められているので、掩体構築の際には巻尺や定規類は不要となっていた。


2人用小銃掩体

 

赤軍の教範に示されている、小銃用立ち撃ち掩体の断面図

 

 上の図版は赤軍教範に掲載されている、「小銃用立ち撃ち掩体」の断面図である。この図を見ると、掩体の底部より上の方が広く掘られている理由が理解しやすい。また、赤軍の教範では、この掩体構築の所要時間は1時間とされている。

 

「WW2各国歩兵小銃掩体~ざんごーExpo'18展示」にて実際に再現された2人用小銃掩体

 

 写真は今回の展示で、実際に掘って再現された2人用小銃掩体である。写真手前側(掩体の後方側)には、掩体に出入りするための階段が構築されている。もっと大規模な掩体では、より深く掘った部分を階段状に作り、深い所は“退避用”、浅い部分は“射撃時”に使用すると記されている。


軽機関銃掩体

 

機関銃手と小銃兵の2人用の軽機関銃掩体。円盤型弾倉が特徴的なDP28軽機関銃と小銃が置かれている

 

 この写真は「軽機関銃掩体」で、機関銃手と小銃兵の2人用掩体である。写真の軽機関銃は「DP28軽機関銃(デグチャレフ)」で、第二次世界大戦時の赤軍の主力軽機関銃である。1927年採用で、1928年から配備されたこの機関銃は、構造が単純で生産性と耐久性、メンテナンス性に優れていたが、上部に装着された47発入りの円盤型弾倉(パンマガジン)は携行性と強度に難点があったほか、二脚(バイポット)の強度不足、リコイルスプリングが熱膨張して作動不良を起しやすい欠点もあった。


休憩中の赤軍メンバー

 

掩体構築後の一幕。ちなみに、写真左に掲示されたロシア語の看板には「書類を提示せよ!」と書かれている

 

 掩体構築を終え、休憩中の赤軍メンバー。表情に疲れが見える者もいるが、手紙を書く者や、楽器を奏でる者がいたりと、全体的にはホッとした感じが印象的である。背後の樹木に掛けられている白い暖簾状の物は、展示内容を解説したパネルで、当時の教範をもとに掩体構築について、わかりやすく解説されていた。
 

PHOTO:赤侍

TEXT:STEINER

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