MAC11サブマシンガン【無可動実銃の魅力】

 

戦後のアメリカ製で一番成功したSMG

 

MAC11サブマシンガン【無可動実銃の魅力】

 

 設計者であるゴードン・イングラム氏は、第二次世界大戦での従軍経験から銃器の設計に興味を持ち、戦後すぐに短機関銃の開発を始めた。自身が立ち上げた会社で幾つかの短機関銃を設計した後、単純さを重視したSMGとして、9mm弾仕様のM10を完成させた。
 しかしM10は販売不振に陥り、イングラム氏は官給用サイレンサーの設計・製造を手掛けるSIONICSに転職。すると状況が変わってくる。SIONICSはM10にサイレンサーを装着できれば特殊作戦用短機関銃になりうると考え、米軍向けの営業を開始。こうして誕生した45ACP弾仕様のM10は、サイレンサー装着可能かつM3グリースガンとマガジンの互換性を持つという利点を兼ね備え、米軍に試験運用された。
 さらにSIONICSは消音効果の高い380弾の銃が米軍にないことに気がつき、M10をスケールダウンしたM11を開発。2挺は好調な販売実績を残し、SIONICSからM10とM11の部門が独立してMACとなった。

 

MAC11サブマシンガン【無可動実銃の魅力】

 

MAC11 短機関銃 (#002087)

  • 全長:248mm(460mm)
  • 口径:.380auto
  • 装弾数:16/32発
  • 価格:税込¥737,000

 

MAC11サブマシンガン【無可動実銃の魅力】
近接戦闘に特化した設計でリアサイトはレシーバープレートに穴を開けただけの簡素なものだ。クラウントップのボルトレバーはレトロな仕様だが軍用での実績があり信頼性が高かった

 

MAC11サブマシンガン【無可動実銃の魅力】
グリップやトリガーガードなど各ブロックがプレスボディに溶接され、セレクターとセーフティーは別々に配置されるなど前世代のデザインの集大成となっている

 

MAC11サブマシンガン【無可動実銃の魅力】
グリップ後部にはイングラムで唯一の樹脂パーツが配置され、熱を手に伝えない工夫がされている

 

 M11は外見・内部構造ともM10と同様だったが、反動を制御しきれない可能性があったために弱装弾の380ACP弾(9mmx17弾)を使用できるように再設計したものだ。これによりサイズは大型拳銃並みとなり、ボルトの後退距離が短くなったことでより連射速度が高速化された。
 シンプルなオープンボルトで確実に作動し、状況に応じたセミオート/フルオート射撃の実現など特殊作戦に特化させた構造とした。欠点と言われる高速の発射速度も一瞬で状況を打破しなければならない場面では有効であり、コントロールの難しさも高水準の訓練を受けた兵士やエージェントが使用すると考えれば大きな問題はなかった。
 サイレンサーの使用を前提としていたのは、SIONICSのオーナーだったミッチェル・ウェーベル氏の意向が反映されている。彼は元OSSエージェントで、消音器の効果の高い銃器は軍が必ず購入すると踏んだのだろう。

 

MAC11サブマシンガン【無可動実銃の魅力】
イングラムと言えば段付きのサイレンサーを連想するが、M11に関してはフラットなサイレンサーの方がポピュラーであった。射撃時には高熱を発するため断熱性のカバーで覆い、火傷と蜃気楼による視界の妨げを防止する

 

MAC11サブマシンガン【無可動実銃の魅力】
サイレンサーの使用を前提としていたためバレルには標準でネジが切られていた

 

 70年代には安価なM11が注目されるようになり、各国の法執行機関もM11を採用した。だが同時にテロリストや犯罪者といった反社会勢力の手にも渡ってしまった。75年には武器輸出禁止国にM11が送られたことでMACへの輸出許可が取り消されてしまう。さらに、セミオートのみの民間バージョンを違法改造でフルオートにしたものが犯罪に使用されたことで銃規制の対象になってしまう。このダブルパンチによりMACは倒産の憂き目にあった。
 M11が発売された同時期に名銃MP5が登場したこともあり、比較対象としてM11はチープなSMGの代表のように扱われてきた。しかしそれは考え方が違うのではないだろうか。当初の理念に照らせばM11は充分にその要求を満たしており、事実としてMACが倒産した後もいくつもの会社が製造を引き継ぎ、現在まで製造が続いている。

 

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TEXT:IRON SIGHT/アームズマガジンウェブ編集部

 

この記事は月刊アームズマガジン2021年5月号 P.122~123より抜粋・再編集したものです。