最終回:電動ガンスタンダードタイプPSG-1【再注目! 東京マルイ名銃コレクション】

 

 東京マルイの製品の中から歴史的な1挺を紹介していく「再注目! 東京マルイ名銃コレクション」。ついに最終回となる今回は電動ガンスタンダードタイプ「PSG-1」だ。なお今企画は動画でも同時公開されている。少し毛色の違ったそちらもぜひご覧いただきたい。

 

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 レミントンM700に次いで有名なスナイパーライフルといえばヘッケラー&コックのPSG-1ではないだろうか。実銃のPSG-1は1972年に起きたミュンヘンオリンピック事件をきっかけに、当時の西ドイツ政府によってオートマチック式のスナイパーライフルの開発を銃器メーカーに依頼、ワルサーのWA2000を差し置いてG3をベースにしたPSG-1が採用された。ドイツの対テロ部隊GSG-9やイギリスのSASなどで使われた。誕生から45年以上が経過し、現在ではほとんどが現役を退いたとされている。その姿はまさに重厚長大だが、M4カービンをベースとしたオートマチック式のスナイパーライフルが多い今となっては逆に新鮮に映る。

 この希代のスナイパーライフルを東京マルイが電動ガンとして製品化したのは1995年の年末。トイガンとして初めて再現された。1996年4月からアームズマガジンの編集作業に携わっている筆者より、業界関係者(?)としてはちょっとだけ兄貴分だ。誕生から25年、四半世紀以上経っていることになるのだが、1991年に東京マルイの電動ガンが誕生したことを考えると、わずか4年足らずでPSG-1が誕生したことになる。ちなみに当時のラインアップはFA-MASやM16A1&XM177E2、MP5A4&A5、AK47&AKS47、G3A2&A4となっており、メカボックスもPSG-1が登場する前はバージョン3が最新だった。

 東京マルイのPSG-1はPSG-1そのものをエアガン化したこともすごいことなのだが、最大の特徴はPSG-1専用に開発されたバージョン4メカボックスを採用していることだ。実銃と同様のセミオートオンリーなのだが、単にセミしか撃てないようになっているわけではなく、ピストンがあらかじめコッキングされた状態、いわゆるプリコック状態から発射されるのだ。電子化が進んだ現在は電子制御によってプリコック状態に設定しているのに対して、PSG-1の場合は電子回路ようなものは存在せず、カットオフのタイミング変更とモーターの余剰回転を抑制する電気的ブレーキによるメカニカルなシステムでプリコックを実現しているのだ。

 当時のPSG-1のレポート記事を読むとプリコックという単語は登場せず、「ピストンが後退した位置からBB弾が発射される」と記述されている。一般的な電動ガンはトリガーを引いてからピストンがコッキングしてBB弾が発射されるシステムなので、この記述のほうがわかりやすいといえばわかりやすい。発射プロセスはトリガーを引くとピストンがわずかに後退してコッキングが完了してピストンが前進、BB弾が発射され、前進しきったところでコッキングが開始されてピストンがコッキングポジションで止まる。コッキングされているピストンをリリースするレバーが付属しており、ピストンがリリースされている場合は一度トリガーを引いてピストンをコッキングする必要がある。またコッキングハンドルを引いて初弾を送り込まないと1発目が空撃ちになってしまう。

 バージョン4メカボックスはPSG-1が誕生する前に開発されたバージョン1~3とは異なり、シリンダーユニット、ギアユニット、スイッチユニットが別々に構成されている。ギア類、シリンダー、ピストンもPSG-1専用となっており、非常に手間がかかっている。さらにBB弾の発射にあわせてダミーボルトが前後動するギミックも搭載されている。それまでの電動ガンにはないメカニズム的特徴が凝縮されているのだ。可変ホップアップシステムはG3からの流用だが、インナーバレル長は589㎜もある。セミオートオンリーのメカニズムとあわせて命中精度は高かった。

 外装はG3をベースとしており、樹脂製のレシーバーは左右張り合わせ式のモナカ構造なので、全長約1,200㎜もある長さとあいまって現在の視点からするとさすがに剛性不足は否めない。実際に構えてみるとミシミシ、キシキシと音がする。しかしタスコ製4倍率4×40スコープが標準装備されていたり、アジャスト可能なストックやグリップ、トリガーシューなど実銃の豪華な装備を余すところなく再現している。マズルまでピシッと伸びるアウターバレルはアルミ製。先端にはオートバイのマフラーのような構造のバレルホルダー(サイレンサーではなくおそらくスリーブ効果を狙ったもの)が内蔵されている。

 メーカー小売希望価格54,800円は次世代電動ガンシリーズが登場するまでは東京マルイのエアガンとしては最高値で、まさにフラッグシップモデルだった。現在の技術で作れば価格はおそらく10万円は超えるかもしれないが、実銃は1挺7,000ドルすると言われており、それ相応なのかもしれない。これからもPSG-1はスタンダード電動ガンシリーズの頂点に君臨し続けることだろう。

 

まさに重厚長大という言葉が似合うPSG-1。当時の西ドイツ軍の制式採用小銃のG3をベースにして作れており操作系やマガジンは共通。セレクターレバーはセミオートオンリーとなっている。

 

グリップやストックは「精密射撃小銃」という名のとおりどことなく射撃競技用ライフルの雰囲気を感じさせる。この姿に憧れる方も多いはず。

G3A4に似たハンドガード下面にはオプションの専用バイポッド(販売終了)を装着するためのレールが設けらている。

 

タスコ製4×40スコープがあらかじめ装着された状態で販売されている。対物レンズ側には跳弾からレンズを保護するハードコーティング・ポリカーボネイトフィルター、対眼レンズ側にはラバーアイピースが標準装備されている。

 

レシーバー右側にはボルトを手動で閉鎖できるローノイズ・ボルト・クローズデバイス

が追加されている。東京マルイはその機能はないものの形状はリアルに再現されている。

 

射撃競技用ハンドガンのアナトミカルグリップのようなハンドレストが付いたグリップ。実銃は木製だが、東京マルイは樹脂製ながら滑り止めのテクスチャーなどリアルに再現している。もちろんハンドレストは調整可能だ。

 

PSG-1のアイコンといっても過言ではないストック。チークピース、バットプレートは実銃同様に調整できる。左側にはスリングアタッチメントが付属する。

 

付属の調整レンチを使ってバットプレートのロックを解除して90度回転させるとバッテリーコンパートメントにアクセスできる。8.4Vニッケル水素1300mAhミニSバッテリーもしくは8.4Vニッケル水素1300mAh AKバッテリーが収納できる。

 

トリガーシューが装着されているのもPSG-1の特徴。トリガー付け根右側に出っ張っているのはラッチレバーで、後退状態で保持されているピストンを前進させるためのもの。

 

付属のショートマガジン。装弾数は実銃は5発だがエアガンは15発。スナイパーライフルとはいえ、なかなか男気溢れる装弾数だ。装弾数が物足りない場合はG3用マガジンが共用できる。

 

最後の1発まで撃ち切れるようにマガジンフォロワーが長くなっている。現在でも採用されている電動ガンは少ないが、東京マルイ製の電動ガンではPSG-1で初めて採用された。

 

パッケージには精密射撃用スーパーグレード0.25g弾(500発)が付属していた。当時別売されており、命中精度にこだわるシューターから好まれた。

 

PSG-1専用に開発されたバージョン4メカボックスを取り出したところ。電気的ブレーキシステムを採用しているためスイッチ部分が大きくなっている。外装はG3だが、G3に採用されていたバージョン2メカボックスとの互換性はない。

 

バージョン4メカボックスを分解したところ。ギア周りやカットオフレバーの形状やレイアウトがバージョン2とかなり異なるのがわかる。シリンダー、ピストンも通常の電動ガンよりも長い。

 

DATA

  • 全長:1,208mm
  • 重量:4,300g(バッテリー含む)
  • 装弾数:15発
  • 価格:¥54,800
  • お問い合わせ先:東京マルイ

 

TEXT:毛野ブースカ

 

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