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2020/12/11

【陸上自衛隊】想定された任務を遂行せよ! レンジャー課程行動訓練

 

4週間にわたる行動訓練!!

待ち受ける9つの「想定」

 

陸上自衛隊 レンジャー課程行動訓練

 

 


 

3段階9想定の行動訓練

 

 基礎訓練を終えると、いよいよ実戦状況を想定した「行動訓練」に移る。行動訓練では9つの想定(いわゆる仮想シナリオ)が実施され、これらは大きく分けて3段階で構成される。

 

  • 1段階:「基礎想定」

徒歩潜入による比較的単純な任務が与えられる第1 〜第3想定。

 

  • 2段階:「応用想定」

2つの任務が組み合わされた複合的な内容に変化し、潜入方法も水路や空路が加わっていく。

 

  • 3段階:「総合想定」

長期間で複雑な任務が課される第7 〜最終(第9)想定

 

 教官・助教の指導も3段階で変化し、基礎想定では細かいところまで学生を指導するが、応用想定では学生に考えさせるよう指導を減らし、総合想定では必要最低限の指導(危険性がある場合など)に止めるという。

 


 

いつ始まるかわからない

 

 学生たちには、いつ想定が開始されるのか具体的な時間が告げられない。教官による「状況開始宣言」以降、学生たちは就寝中でも、入浴中でも、食事中でも、非常呼集があれば10分以内に準備を整えて集合することが求められる。今回、第1想定は朝5時に開始された。

 

陸上自衛隊 レンジャー課程行動訓練

想定は突然開始される。非常呼集がかかると学生たちは10分で集合しなければならないため、みな手早く準備を整えて隊舎を飛び出していく

 

陸上自衛隊 レンジャー課程行動訓練

状況に入ると自由に飲食ができなくなるため、集合前に大急ぎで食事を摂る者もいる

 


 

第1想定:敵兵站施設を襲撃せよ

 

 集合した学生たちに“状況が付与”される。つまり、どこに敵がいて、いつまでに何をしなければいけないか、という想定が伝えられる。今回、与えられた任務は敵の兵站施設襲撃。距離にしておおよそ5km、時間は14時間である。
 学生たちは与えられた想定に対して、各自で部隊の移動経路と時間など、部隊行動のための計画を立案する。これは本来は部隊の指揮官1人が行なうことだが、すべての学生が指揮官となれるように全員に考えさせるそうだ。
 最終的に指導部から指揮官である「戦闘隊長」が指名され、彼の計画で状況を進めることになる(なお、学生たちによる部隊は「戦闘隊」と呼ばれる)。

 

陸上自衛隊 レンジャー課程行動訓練

計画を作成する学生たち。与えられた想定に対して、目的地までの経路と所要時間、偵
察の必要性や回数、爆破薬など追加で必要な装備などを考える

 

陸上自衛隊 レンジャー課程行動訓練

指名された戦闘隊長の計画に従って、携行品の取捨選択が行なわれる。爆破薬のような追加で必要なものは指導部に請求する。こうした一連の荷物の確認を「隊容検査」という

 

 第1想定では、まだ学生側も未熟であるため教官の指導も多い。最終(第9)想定までを通して、学生たちが自主的に判断できるように教官たちは導いていくのだ。

 


 

第6想定:水路による潜入。敵部隊を伏撃せよ

 

 想定がより複雑となる「応用想定」──第6想定では、湖を使った水路潜入から山地への移動、敵部隊への伏撃と離脱という任務が与えられた。用語について簡単に解説しておくと、第1想定で指示された「襲撃」は、指揮所や通信施設など特定の場所を攻撃すること。今回の「伏撃」とは、移動する部隊への待ち伏せ攻撃を意味する。
 応用想定となり、全行程で30時間と長い。訓練も演習場から広がり、さまざまな山野を使って行なわれる。

 

陸上自衛隊 レンジャー課程行動訓練

湖上でボートをリンクアップ(連結)させ、上陸地点の状況など最新の敵情を共有する

 

陸上自衛隊 レンジャー課程行動訓練

上陸したらボートを陸揚げし、目立たない場所に隠蔽する

 

 次回はついに最終想定。そのシナリオは4日間の長距離潜入訓練となる。そのレポートもぜひご覧いただきたい。

 

続きはこちら

 

TEXT:笹川英夫

PHOTO:陸上自衛隊第34普通科連隊広報班/笹川英夫

特別協力:陸上自衛隊第34普通科連隊広報班

 


 

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この記事は月刊アームズマガジン2019年2月号 P.98~107より抜粋・再編集したものです。

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