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2020/11/23

リエナクトメントのススメ vol.10【WEB版:オストフロント1944イベントレポート その6】

 

 月刊アームズマガジンで連載している「リエナクトメントのススメ」。そこでは「リエナクトメント」を歴史的な事象の再現と定義し、テーマを第2次世界大戦としている。現在、世界中で第2次世界大戦をテーマとしたさまざまな「リエナクトメント」が行なわれているが、比較的参加しやすい国内のイベントを中心に紹介するとともに「リエナクトメント」の楽しさを伝えたいと考えている。

 WEB版第10回では、2018年12月に行なわれたリエナクトメント・イベント「オストフロント1944 ~グナイゼナウラインの攻防」の2日目に実施された戦闘再現の最終局面の様子を紹介する。

 

前回の記事はこちら

 


 

「オストフロント1944」イベントレポート~その6~

 

 

 赤軍はドイツ軍陣地内へ突入し、戦闘はいよいよ最終段階を迎える。突破口から進入した赤軍はただちに左右に展開し、ドイツ軍陣地のある土手を駆け上がる。ドイツ軍陣地内では激しい白兵戦が繰り広げられ、赤軍はとうとうドイツ軍陣地制圧に成功したのである。

 

発煙弾の煙のなか突破口に殺到する赤軍兵士

 

 赤軍による午前中の攻撃はドイツ軍の火網につかまり頓挫したが、鉄条網を部分的に切断することができた。この突破口からドイツ軍陣地へ突入、制圧を企図し、攻撃が再開された。迫撃砲による突撃支援射撃が実施され、ドイツ軍陣地を直接射撃で叩くなか、最終弾を待たず赤軍の突撃は開始された。

 

写真はドイツ軍陣地右端の前面に開けられた突破口を通過する赤軍の兵達である

 

 可能な限りのスピードで突破口を通過しないと、ドイツ軍の機関銃の餌食となってしまう。通過後即座に左右に展開しドイツ軍陣地の土手に張り付く。ばらばらに土手を登ると各個撃破されてしまうため、部隊全員が揃って登らなければならない。

 

土手を登ってくる赤軍兵士に射撃を加えるドイツ軍

 

 赤軍の迫撃砲による突撃支援射撃を援体の中でやり過ごしたドイツ軍は、陣地突入を目指す赤軍にMG42軽機関銃を中心とした火力で応戦した。突破口に殺到している赤軍に射撃を加えれば、敵の攻撃を頓挫させることもできたかもしれないが、迫撃砲弾と煙幕によって、その絶好のチャンスは失われていた。

 

写真はドイツ軍陣地右端の土手を、小銃を手によじ登る赤軍兵達。決してなだらかではない斜面を装備を身に着け、かつ小銃を持ったまま登るのは楽ではなかったと思われる

 

 赤軍の指揮官による突入命令が発せられ、赤軍の兵達は一斉に土手をよじ登る。迫撃砲による突撃支援射撃による損害やショックから、ドイツ軍が充分に態勢を整え直す前に攻撃を仕掛けることが肝要で、ここは時間との戦いともいえる。

 

 

 障害を突破して土手を登りきった赤軍はドイツ軍陣地内へと突入し、ドイツ軍陣地内で至近距離での激しい白兵戦が展開された。戦闘の勝敗を競う過去のイベントでは、特に白兵戦になると“ぐだぐだ”になるケースもあったが、戦闘の目的が勝敗を競う以上に、部隊運用の実施を目的としていることが参加者にしっかり浸透していたため、今回のイベントでは比較的スムーズに戦闘が終結した印象がある。

 

 

 ドイツ軍側は、赤軍の突撃支援射撃でかなり損耗していたが、最終的に赤軍に投降したのはごく一部で、多くのドイツ兵は死ぬまで戦った。東部戦線では過去の経験から、捕虜になることへの恐怖感があったためかもしれない。

 こうした犠牲を払って稼いだ時間で連隊主力は後退することができたが、半月後にはクリミア半島全域は赤軍に奪還された。

 

 この模擬戦闘は、独ソ両軍で70名が参加した国内では規模の大きなものであったが、主催の努力と参加者の協力で部隊行動がある程度再現できていた。こうした運用再現に主眼を置いたイベントがますます発展することを願い、6回に分けてお届けした「オストフロント1944 ~グナイゼナウラインの攻防」イベントレポートを終えたい。

 

取材協力:関西ヒストリカルイベント運営事務局

TEXT&PHOTO:STEINER

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