【実銃】ジョン・ウィックが使い倒したハンドガン「TTI 2011 COMBAT MASTER」

 

 2019年10月に日本公開された映画『ジョン・ウィック:パラベラム』。その「 ニューヨーク・コンチネンタル」のシーンにおいて、ジョン・ウィックに使い倒されたのが“TTI2011 コンバットマスター”であり、限定モデルは瞬く間に売り切れるほどの人気であった。今回は現在、オークションでは8,000ドルを超える価格で流通しているモデルを紹介したい。

 


 

TTI 2011 COMBAT MASTER

 

 そのリアルなガンアクションで何かと話題の映画『ジョン・ウィック』シリーズ。筆者も毎回、公開を心待ちにしているシリーズである。友人でもあるタラン・バトラー率いるTTI(タラン・タクティカル・イノベーションズ)のカスタムガンがどしどし登場し、キアヌ・リーブス氏演ずるジョン・ウィックがタラン仕込みの血沸き肉躍る本格的なガンアクションを、これでもかと見せつけてくれる。

 私にとっての憧れのハンドガンであるが、未だに手に入れられない。問題は、カリフォルニア州のガンコントロールとその価格で、合法的にこれらのガンを所有するには、カリフォルニア合法の2011のフレームを持つハンドガンを入手し(これだけでも2,000~3,000ドル)、TTIに持ち込んでフルカスタマイズしてもらう(さらに2,000ドル以上…)という方法しかない。到底、手が出ない額なのは言うまでもない。

 そんなある日、友人のポリスオフィサーから「コンバットマスターが定価で売りに出ていたので、手に入れた。見てみたいかい?」という驚愕のオファーが入ってきたのだ。その知らせに当然のごとく拝み倒して撮影をさせてもらうことにした。というわけで、今回はこの銃をレポートする。

 

TTI 2011 COMBAT MASTER

 

TTI 2011 COMBAT MASTER

  • 全長:9.06インチ
  • 高さ:5.55インチ
  • 重量:36.8oz(約1,043g)
  • キャリバー :9mm×19
  • フレーム:カーボンスチール2011タクティカルレールフレーム
  • グリップ:2011DVC フルレングス
  • バレル:5.4インチ・マッチグレイド・ブルバレル・ブロンズDLCフィニッシュ
  • リコイルシステム:Dawson Toolless ガイドロッド
  • トリガー:STIロングカーブ・トリガー2.0~2.5lb トリガープル

 

 この銃を撮影用に借りてきて、まず驚いてしまったのは、どこにも手抜きがないそのカスタマイズ度である。スライドとフレーム間のガタは一切ない。バレル/スライドのフィッティングも完璧だ。完璧すぎて心配になってしまうほどだ。以前、某セミカスタム1911を手に入れた際「最低でも1,500発はブレイクイン(慣らし作動)をさせてください。初めは各部のフィットがタイトなので、ジャムが起きることがあります」という注意書きがあった。確かにそれはフィッティングなどというものではなく、スライドを引くだけで「ふんっ!」と気合を入れる必要があるほどタイトだったのだ。

 それに比べて、このTTI 2011は、スライドを引くとバレルとスライドのロックアップが解除される際の抵抗がほんの少し感じられた後、意外な軽さとスムーズさでスライドを後退させることができる。まだ1発も撃ってない状態でこれなので、従来のカスタムとは隔世の感がある。とにかくスムーズな上に、そのトリガープルは圧巻で、重さそのものは2ポンドほどと軽すぎるくらいだが、その節度は素晴らしく抜群のコントロールが可能なのだ。

 

TTI 2011 COMBAT MASTER

TTI 2011コンバットマスターのキモともいえるカスタマイズがこの部分だ。各部のコーナーはあくまでも丸く磨き上げられ、ビーバーテールセーフティは握り込んだ状態で、完全にブレンドインしてしまう。また親指の股が接する部分は、ハイグリップに適応して、ぎりぎりまで削り上げられている

 

TTI 2011 COMBAT MASTER

思わずため息が漏れる上からのカット。斜め部分に入ったフロントセレーションの効果は絶大だ

 

TTI 2011 COMBAT MASTER

通常分解。ブルバレルの存在感が凄い。各部に擦れなどはまったくなく、工作精度の高さが証明されている

 

 見れば見るほど分かるが、オペレーターの手が触れる場所は、スライドの前後セレーション以外はすべてのエッジがことごとくスムーズなのだ。これこそカスタムガンだろう。以前タランが言っていた。


「手に入れた状態で100%ファンクショナル(機能的)でなければ、優れたガンとはいえない。トリガーやマガジンのチューン(2011ファクトリーモデルはマガジンのチューンが必要不可欠だった)、グリップ周りのチェッカーやスティップリングが必要なガンは、完成品でなく素材でしかない。そんなガンを売っているメーカーは詐欺みたいなもんだ」


 痛烈ではあるが、同感である。

 この画になる銃の全容は「月刊アームズマガジン10月号」で細かく紹介しているので、ぜひ確認していただきたい。後編のレポートではいよいよ実射を行なう。ジョン・ウィックの使った銃の実力をぜひ、ご覧いただきたい。

 

Text & Photos: Hiro Soga

 

 


この記事は月刊アームズマガジン2020年10月号 P.112~119より抜粋・再編集したものです。

 

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