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2020/09/11

リエナクトメントのススメ vol.5【WEB版:オストフロント1944イベントレポート その1】

 

 月刊アームズマガジンで連載している「リエナクトメントのススメ」。そこでは「リエナクトメント」を歴史的な事象の再現と定義し、テーマを第2次世界大戦としている。現在、世界中で第2次世界大戦をテーマとしたさまざまな「リエナクトメント」が行なわれているが、比較的参加しやすい国内のイベントを中心に紹介するとともに「リエナクトメント」の楽しさを伝えたいと考えている。

 WEB版第5回では2018年12月に行なわれたリエナクトメント・イベント「オストフロント1944 ~グナイゼナウラインの攻防」を紹介することにする。

 

前回の記事はこちら

 


 

「オストフロント1944」イベントレポート~その1~

 

 

 このイベントは戦史から時期と場所、部隊を選んで、戦場の再現を試みるイベントであり、視覚的な再現よりも実際の軍隊がどのような行動をしていたかを体感してもらうことを目指している。

 具体的な設定は1944年4月13日~14日のクリミア半島セヴァストポリ近郊で行なわれた独ソ両軍の戦闘である。当時のドイツ軍は防御戦を行なっていたため、初日は陣地構築から始まった。

 

中隊長(写真左)に現在の状況を説明する小隊長(写真右)

 

 軍隊の行動は命令を元に実施される。中隊長は大隊からの方針に従い作戦を立案し、各小隊に陣地構築の命令を出した。

 

 

 小隊長より中隊からの命令が各分隊長に下達された。ここでは具体的に作戦の概要と各分隊の配置、射線などが指示され、それに従った陣地構築が行なわれる。今回の防護陣地は有刺鉄線と木杭を使用した鉄条網による障害と、迫撃砲陣地と機関銃座を中心とする掩体群から構成されたものである。

 

 

 障害は敵の進出を止め、防御側の射線に誘導する目的で敷設する。通常の歩兵部隊が敷設する障害には、有刺鉄線を使用して作る鉄条網や、対人地雷などがある。こうした障害と塹壕線を組み合せて構築された陣地は、敵の歩兵攻撃に対して極めて有効である。

 

完成したドイツ軍防御陣地前の鉄条網

 

 鉄条網は比較的短時間で敷設できる上、風が抜ける構造から、敵の砲撃に対しても壊されにくい特徴がある。歩兵攻撃前に行なわれる砲兵の準備砲撃でも、木杭ごと鉄条網を吹き飛ばさない限り、鉄条網の無力化は困難であったため、敵方に陣地を目の前にした進路啓開を強いることができた。

 

フィールドの右端に配された第3分隊の機関銃座構築風景である

 

 掘った土を土嚢に詰めているが、雨に濡れた土は重く、かなりの重労働であった。土嚢は掩体の胸墻として積むほかに、足元にも敷き詰めることで、掩体の中が泥濘になることを防ぐことができた。

 

第1分隊の機関銃座

 

 今回はフィールドの丘の上に掩体群が構築された。第1分隊の機関銃座は丘の上左隅に位置していた。土嚢で作った胸墻は、そのままではかなり離れた所から見ても目立ってしまう。敵から機関銃座の位置が容易に発見されないようにするために、土や草で充分な偽装を施さなければならない。

 

取材協力:関西ヒストリカルイベント運営事務局

TEXT&PHOTO:STEINER